「定年後の健康保険で一番お得なのはどれ?」そんな質問にバシッとお答えします!
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月2日 10時10分
会社を退職した後は、今まで使用していた健康保険証は使用できません。そのため、新たに加入する健康保険を自ら探す必要があります。 定年退職後もすぐに再就職するのであれば、再就職先の健康保険に加入すればよいですが、退職後しばらくは働く気がないという場合は、何らかの健康保険に加入することが一般的です。 本記事では、定年退職後に再就職をすぐにしない場合、健康保険にどのような選択肢があるのか、どうすれば一番得をするのかについて解説しています。
定年後に「健康保険」に入る必要性
日本は「国民皆保険」のため、退職後も何らかの医療保険に加入しなければなりません。
また、加入していれば3割の負担ですむ医療費も、未加入であれば全額負担する必要があります。高額な医療費がかかった際にも、健康保険に加入していることで控除が申請可能です。
このように、健康保険に加入することは義務であると同時に、自分や「家族を守る」有効な手段といえます。
定年退職後に加入する健康保険に関する3つの選択肢
定年退職後すぐに働かない場合、健康保険に関しては「家族の扶養に入る」「任意継続被保険者になる」「国民健康保険に加入する」という3つの選択肢があります。
それぞれの保険料や特徴を確認してみましょう。
(1)家族の扶養に入る
家族の扶養に入った場合、自らの保険料負担はありません。そのため、可能であれば家族の扶養に入るのが一番経済的負担がないといえます。
そのためには、例えば、夫が退職し妻の扶養に入る場合、下記をすべて満たさなくてはなりません。
・妻が社会保険に加入している
・夫自身の年収見込みが180万円未満(夫が60歳以上の場合)
※年収見込みには年金収入も含む
・夫の年収見込みが妻の年収の半分未満
なお、加入先の健康保険によっては独自に追加要件を設定している場合もあるので、事前に要件を確認しておくのがよいでしょう。
そして、この要件を満たしていない場合、これから説明する「任意継続被保険者になる」と「国民健康保険に加入する」を総合的に比較かつ検討の上、どちらのほうがよいかを判断する必要があります。
(2)任意継続被保険者になる
任意継続被保険者制度は、退職した後も最大2年間、退職前に加入していた健康保険の被保険者になれる制度です。
任意継続被保険者になると、以前の会社で支払っていた保険料の2倍を負担することとなります(そもそも、以前は保険料の半分を会社が負担していたため)。
保険料の2倍は決して安くありませんが、メリットとしては現役時代とほぼ同じサービスを受けられる点があげられます。
例えば、健康診断や人間ドックなども引き続き受けられるかもしれません。
また、保険料が2倍といえども、保険料には上限金額が定められています。上限金額は、主に中小企業が加入している全国健康保険協会(通称:協会けんぽ)と、大企業やそのグループ企業が中心となっている組合健保によって異なりますが、基本的には、協会けんぽの方が低い設定です。
ただし、保険料が高い組合健保の場合、付加給付という、1ヶ月間の医療費の自己負担限度額を決めておき、超えた分は高額医療費に上乗せして払いもどす制度があります。
(3)国民健康保険に加入する
国民健康保険制度とは、他の医療保険制度に加入していないすべての人を対象とした制度で、都道府県や市町村が保険者となる市町村国保と、業種ごとに組織される国民健康保険組合から構成されます。
国民健康保険の保険料は世帯単位で計算され、家族の人数や所得によって金額が変わり、さらに自治体によっても計算方法はさまざまです。
保険料の金額は、住民登録されている市区町村の窓口に連絡することで確認できます。
なお、保険料は前年の所得を基に計算されるため、退職した年の翌年の保険料は高額となる傾向にあります。また、国民健康保険の保険料は所得などの事情により、減額や猶予、免除できる制度が存在します。
保険料だけを考えるなら家族の扶養一択だが、状況に応じて選択しよう
要件さえ満たせば、家族の扶養に入るのが最も経済的な負担がありません。
とはいえ、扶養に入るのには条件がありますし、任意継続被保険者にもメリットがあり、国民健康保険の保険料は人によります。保険料を参考にしつつ、それぞれの特徴をふまえた上で、自分にとって最善の選択をしましょう。
出典
日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
日本年金機構健康保険組合 任意継続被保険者制度
全国健康保険協会 加入期間について
厚生労働省 国民健康保険制度
厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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