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「この契約書にはいくらの印紙を貼るの?」 事例で見る印紙税の基礎知識

ファイナンシャルフィールド / 2023年4月4日 23時0分

「この契約書にはいくらの印紙を貼るの?」 事例で見る印紙税の基礎知識

印紙税とは、日常のさまざまな取引において作成される契約書や金銭の受取書(領収書)などの文書に課税される税金(国税)です。   課税される文書の種類は印紙税法に20種類が定められています。これらを印紙税の「課税文書」といいます。課税文書の種類ごとに、その文書に記載された金額(記載金額)に応じて印紙税の額が決定されます。   本記事では、比較的われわれに身近な事例をもとに、印紙税額や基礎的な知識について確認してみたいと思います。

売上代金に係る金銭または有価証券の受取書

印紙税法の課税文書で第17号文書に区分されるものです。分かりやすく言うと領収書のことです。この場合の印紙税額は受け取った金額(記載金額)によって決定されます。
 
記載金額が5万円未満の場合は非課税となり、印紙を貼付する必要はありません。100万円以下の場合、印紙税額は200円となります。100万円超の場合は、金額が大きくなればなるほど印紙税額も高くなります。
 
よくある事例として、「クレジットカードで支払った取引で受け取る領収書に印紙の貼付は必要であるか」との疑問がありますが、クレジットカードでの決済は信用取引であり、直接金銭を受け取った事実がないため印紙税の貼付は不要となります。
 
また、消費税額等が記載され把握できる場合、記載金額はその消費税等を含まない税抜価格で判断することになります。例えば、領収書に「金額5万2800円(うち消費税等4800円)」と記載されている場合、税抜価格4万8000円が記載金額となります。この例では記載金額が5万円未満のため、印紙税は必要ありません。
 

不動産や消費貸借に関する契約書、請負に関する契約書

印紙税法の課税文書で第1号文書、第2号文書に区分されるものです。第1号文書は不動産や消費貸借に関する契約書で、具体的には「不動産売買契約書」や「金銭消費貸借契約書」が該当します。第2号文書は請負に関する契約書で、「工事請負契約書」などが該当し、プロ野球選手や俳優、アーティストなどの契約も該当します。
 
共通した事項として、記載金額が1万円未満の場合は原則課税されません。第1号文書は10万円以下、第2号文書は100万円以下の場合には印紙税額は200円となり、金額が大きくなればなるほど印紙税額が高くなります。なお、令和6年3月31日までに作成された契約書は、軽減措置が適用される場合があります。
 
また、一部の取引に関する契約書の場合、記載金額の判断は以下のとおりになります。
 

(1)交換の場合(不動産交換契約書など)

交換する不動産双方の金額が記載されている場合は、いずれか高いほう(等価の場合はいずれか一方)の金額が、交換の差額(交換差金)のみが記載されている場合は、その交換差金がそれぞれ記載金額となります。
 
例えば、借金1000万円に代えて1500万円の土地を債権者に引き渡し、差額500万円を債権者が債務者に支払うという交換契約の場合、双方の金額が記載されているため、記載金額は1500万円となります。
 

(2)金額の変更の場合(変更契約書)

・変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかな場合
変更により金額が増加するときは、その増加金額が記載金額となり、逆に減少するときは、記載金額はないものとされます。また、変更後の金額のみが記載され、変更金額が明らかでないときは、その変更後の金額が記載金額となります。
 
・変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかでない場合
変更後の金額が記載されているときは、その変更後の金額が記載金額となります。変更金額のみ記載されているときは、増額および減額のいずれでもその変更金額が記載金額となります。
 

継続的取引の基本となる契約書

第7号文書に区分され、業務委託契約書などが該当します。この場合の印紙税額は4000円となります。
 

まとめ

具体的な印紙税額は、記載金額に基づき、20の課税文書の種類ごとに決められており、国税庁の「印紙税額の一覧表」で確認することができます。表記の印紙税額は1通または1冊の金額のため、当事者双方で契約書を作成する場合は2通分の印紙税が必要となります。
 
本記事で紹介した事例は比較的単純なケースですが、例えば、住宅ローン契約の際の契約書は、通常、金銭消費貸借契約書(第1号文書)と抵当権設定契約書(第15号文書:債権の譲渡)に該当します。また、贈与契約に関する取り扱いについては、原則対価となる金額がないため記載金額がないものとして取り扱われます。
 
取引が複雑で判断できないケースでは、税務署や税理士などに事前に確認することをお勧めいたします。
 

出典

国税庁 No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
国税庁 No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで
国税庁 No.7122 文書の記載金額
国税庁 No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額
国税庁 No.7124 消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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