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前職で「95時間分」の残業代が未払いです…1年経っていても請求できますか?

ファイナンシャルフィールド / 2023年4月5日 10時40分

前職で「95時間分」の残業代が未払いです…1年経っていても請求できますか?

残業などの時間外労働をさせた従業員に対し、会社は通常より高い割増賃金(残業代)を支払う義務があります(労働基準法37条)。もし、残業代を支払わない会社があるなら、いわゆる「ブラック企業」であることは間違いありません。   もし、その会社を辞めた後、未払いから1年たっている95時間分の残業代を請求することはできるのでしょうか。できるとすれば、どのように請求すればいいのでしょうか。

未払い給与の消滅時効は3年

労働基準法115条により、未払い給与の消滅時効は3年と定められています。つまり、未払いから1年しかたっていない95時間分の残業代は、問題なく請求する権利があります。
 
すでに会社を辞めていても同様です。かつて未払い給与の消滅時効は1年だったのですが、弱い立場になりがちな労働者を保護すべきであるとの世間の価値観が広まるにつれて、2年、3年と延びていったのです。
 
ただ、民法や商法では、賃金などビジネス上で発生した請求権の消滅時効を5年と定めています。将来的には労働基準法の規定も改正され、未払い残業代の消滅時効が5年に統一される可能性もありますが、この記事を執筆した2023年現在では3年と定められていますので注意してください。
 

残業代の未払いの証拠を、前の会社が保管している場合

残業代が未払いになっている証拠といえば、タイムカードやPCログイン履歴などの客観的な記録です。もし手元に持っているならば、それを根拠に請求すればいいでしょう。しかし、そうした記録は会社が保管している場合がほとんどではないでしょうか。会社には従業員の労働時間などの記録を最低でも3年間保管する義務があるからです。
 
もし、未払い残業代を請求するなら、こうした証拠記録の保全や開示請求をするといいでしょう。難しい手続きですので、弁護士に依頼するのが得策です。
 

実際どのように請求すればいいのか

1つの基準として、請求する未払い残業代が、95時間分で140万円を超えている場合は弁護士に、140万円以下なら簡裁代理権がある司法書士に依頼すると良いでしょう。訴額140万円以下の民事事件は簡易裁判所の管轄ですが、140万円を超えている場合は地方裁判所の管轄となり、弁護士の資格者しか代理人になれません。
 
もっとも、弁護士や司法書士に依頼せず、自分だけが法廷に立って争う本人訴訟も可能です。本人訴訟なら、支払いは裁判費用だけで済むので、経費を節約することができます。
 
ただ、基本的には法廷で誰にも頼らず、ひとりで戦わなければなりません。もし、相手方の会社が代理人弁護士を付けてきた場合、裁判官がフォローを入れて味方してくれることもありますが、そうではないこともあります。
 
なお、法廷ではなく非公開の労働審判という場で争うこともできます。この場合は基本的に3回以内に決着させるので、より早い解決を見込むことができるでしょう。
 

残業代は、あなたが人生の一部を費やして仕事をした対価です!

前職での未払い残業代の請求を後ろめたいと感じる人もいるかもしれません。しかし、会社で働くということは、自分の時間を会社に切り売りすることでもあります。全ての人にとって時間は有限なのですから、命を切り売りしていることにも等しいのです。その正当な対価を支払おうとしない会社は、社会的に許されるべきではありません。正々堂々と請求しましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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