年齢別に見た保育園や幼稚園、認定こども園に通っている子どもの割合
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月5日 8時0分
厚生労働省が公表した「人口動態統計速報」(令和4年12月分)によれば、昨年1年間に生まれた子どもの数は、統計を開始して以来、初めて80万人を下回りました。こうした状況に危機を感じてか、政府は「異次元の少子化対策」というキャッチフレーズのもと、いくつかの政策を提案しています。 前回に引き続き、政府の「こども政策の強化に関する関係府省庁会議」で参照された資料について確認していきたいと思います。
保育園や幼稚園などに通っていない未就園児の割合
今回は、こども政策の強化に関する関係府省庁会議の資料から、「年齢別の未就園児の割合」(令和4年9月に開催された全世代型社会保障構築会議資料)を見ていきます。
未就園児とは、端的にいうと保育園や幼稚園、認定こども園に通っていない子どものことで、図表1のグラフは年齢別の未就園児の割合を示したものです。なお、企業主導型保育事業(企業内保育)や認可外保育施設(認可外保育園)を利用している子どもについては、未就園児に含まれている点にご留意ください。
図表1
〇年齢別の未就園児の割合
出典:内閣官房こども家庭庁設立準備室 「こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識」
0歳では全体の84%が未就園児となっています。これが1歳では55%、2歳になると49%と、年齢が上がるにつれて未就園児の割合は少なくなっていき、3~5歳の場合、ほとんどの子どもが保育園や幼稚園、認定こども園に通っていることが分かります。
データから推察する子育て世帯ごとの選択
図表1から読み取れることは、もう一つあります。1歳、2歳から就園している子どもの割合がほぼ半数になっていることから、これらの年齢の子どもを育てる家庭のうち、半数が共働き世帯である可能性が高いという点です。
家庭の事情や職業、家族の形態、教育観、その他の理由で結果的に共働き世帯か、専業主婦世帯かの選択に至っていると考えられますが、データの裏側では、本音は共働きをせずに専業主婦として家庭で子どもの世話をしたいと思っている方もいるでしょうし、逆に共働きをしながら子どもを就園させたいという家庭もあるかと思います。
前者の場合、共働きをしなければ子どもを育てるのが難しいと考えているのかもしれません。また後者の場合、仕事上のキャリアを中断させたくないと心のなかでは思っていると推察することもできるでしょう。
データだけでは家庭ごとの事情や深層心理までは読み込めませんが、1歳と2歳において就園児と未就園児の割合がほぼ拮抗(きっこう)していることを考えると、こうした推察もできるのではないでしょうか。
まとめ
現行の制度では、幼児教育・保育の無償化により、3~5歳までの子どもの保育園、幼稚園(月額上限あり)、認定こども園などの利用料を家庭で負担しなくてもいいことになっています。
0~2歳が最も子どもに手がかかる時期とよくいわれますが、これらの年齢において就園児がほぼ半数に及んでいるデータを見ると、最低限、子どもが2歳を終えるまで育児休業(育休)を取得できるようにしたほうがいいという声や、幼児教育・保育の無償化の範囲を住民税非課税世帯にかぎらず0歳からに広げたほうがいいという声があがっているのも、一理あるような気がします。
これが少子化の中心的な理由になっているとはいえませんが、仮に子育ての環境を整えることが重要と国が本当に考えるのなら、可能なかぎり、0~5歳までを無償化の対象にする、育休の範囲を広げるなどの思い切った政策を打ち出すことも必要なように思います。
乳幼児期の子どもを育てることを想定した場合、子どもが生まれる前から、または生まれた後に、保育園や幼稚園などの就園についてどのように考えるかも、ライフプランを描くうえで重要な要素になってきます。
国の制度では、いかに全体を最適化させるかに視点が置かれますが、個々人においては良くも悪くも、どういった選択をするかで人生が大きく変化します。
今回取り上げた「年齢別の未就園児の割合」というデータは、その真意を家庭単位で考え、子育て観や教育観と照らし合わせ、どのように働き方とのバランスを保っていくかを探るうえで重要なヒントになるように思います。
出典
厚生労働省 人口動態統計速報(令和4年12月分)
内閣官房こども家庭庁設立準備室 こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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