認知症による財産トラブルを回避しよう! 家族が事前に知っておくべき制度「家族信託」とは
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月6日 23時0分
高齢社会に突入している日本では、「認知症」は人ごとではありません。認知症により認知機能や判断能力が低下してくると、日常生活のことだけでなく財産の管理にも大きな影響を及ぼします。 そのような場合に、家族間でのトラブルを回避するのに有効なものが「家族信託」です。 本記事では、家族信託の概要や代表的なメリットとデメリット、成年後見制度との違いを紹介します。
家族信託とは
一般財団法人家族信託普及協会では、家族信託の定義を以下のように定めています。
「『家族信託』とは、一言でいうと『財産管理の一手法』です。
資産を持つ方が、特定の目的(自分の老後の生活・介護等に必要な資金の管理及び給付等)に従って、その保有する不動産・預貯金当等の資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みです」
本人の判断力が保たれるうちに家族・親族に管理を託すので、高額な報酬は発生しません。そのため誰でも利用できます。
メリット
家族信託は、利用を選んだ家族に対しすぐに財産管理を任せることができます。自分の判断力が正常なうちに信頼できる家族に財産管理を任せることができるのは大きなメリットです。そのため柔軟に財産の管理ができるでしょう。
不動産に関しても、管理処分権限を一人に集約できますので、不動産の共有問題・将来の共有相続への紛争予防にも活用できます。また二次相続以降の資産継承者の指定が可能というメリットもあります。
デメリット
デメリットとしては、税務上のメリットが発生しないことや、家族信託を託された方の負担が大きいこと、家族間での不平等感を生じやすいことがあげられます。
成年後見制度との違い
成年後見制度とは、知的障害や精神障害、認知症などにより、生活におけるものごとを、一人で決めることに不安や心配がある人が、財産管理などさまざまな契約や手続きをする際に、お手伝いをする制度です。
成年後見制度は家庭裁判所に申し立てし、家庭裁判所が後見人、保佐人、補助人を選任し、契約手続きや財産管理などの権限が付与されます。
それに対し家族信託は、先ほど紹介したように信頼できる家族を選び、当事者間で契約を締結します。また、成年後見制度は財産管理の内容について、財産の保全のために柔軟な管理ができないのも家族信託との違いになります。
成年後見制度を利用するにあたっては、本人の程度にもよるものの、家庭裁判所や医師の診断書、後見人などに選任された人に費用を払う必要があります。
まとめ
本記事では、家族信託の概要やメリット・デメリット、成年後見制度との違いについて紹介しました。
成年後見制度との大きな違いは、本人の判断力が保たれているうちに利用できる点です。財産によるトラブルはいつの時代でもある話ですが、近年では高齢社会により認知症により資産が凍結してしまうケースや、家族間による財産トラブルを招くケースがさらに多く聞かれるようになっています。
そのような事態を避けるため、判断力が正常なうちから利用できる家族信託を検討してみてはいかがでしょうか。
出典
一般社団法人家族信託普及協会 制度の概要
厚生労働省 成年後見はやわかり 成年後見制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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