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店長に「レジの差額は自腹で」と言われました…これって「違法」ではないのですか?

ファイナンシャルフィールド / 2023年4月6日 10時20分

店長に「レジの差額は自腹で」と言われました…これって「違法」ではないのですか?

スーパー、コンビニ、飲食店などでレジのお金を集計したとき、記録されている売上と、レジに残っているお金が合わなくなる「違算」は珍しくありません。クレジットカードなどのキャッシュレス決済手段が整っている店舗では発生しにくい事態でしょう。   しかし、現金決済が中心の店舗でレジ担当者が手作業によって精算していて、レジのお金が足りない場合、そのスタッフに自腹で補てんさせることは違法ではないのでしょうか。

レジ違算は、従業員だけの責任ではない

もし、お金の種別や数量を、機械で自動的に読み取る機能があるレジを導入していれば、売上とレジ残金に差額が生じる違算は、ほぼなくなります。
 
とはいえ、そのようなレジは導入コストがかかりますので、手作業でレジ打ちをしている店舗も多いのではないでしょうか。人は必ずミスをします。客数が多くて忙しい店舗ならば、なおさらミスが増えても不自然ではありません。
 
記録されている売上と、レジのトレイなどに実際にある残金とで差額が生じた場合、それもレジ残金が大幅に足りない場合は、担当していたスタッフが責任を感じることもあるでしょう。
 
しかし、そのスタッフに責任を取らせて、差額を自腹で補てんさせることは違法である可能性が高いです。たとえ、スタッフが自ら補てんを申し出たとしても、店舗の責任者は拒否しなければなりません。
 

レジ違算の補てんをルール化している店舗は、違法となるおそれ

レジで違算が生じたとき、わざとやったのでない限り、店側が負った損害を担当スタッフにだけ補てんさせてはいけません。なぜなら、店舗や運営会社は、そのスタッフを従業員として使用していることによって利益も得ているからです。
 
「利益(メリット)があるところには損失(リスク)も帰する」というのが、この社会で人々の関係を規律する民事法の基本的な考え方だとされています。スタッフを雇用して使っている以上、通常起こりうるミスの損失は、会社もかぶるべきなのです。
 
そもそも、違算によって残額がプラスになった場合、店側は厳しく注意しないにもかかわらず、残額がマイナスになったときだけ法的責任を追及するのでは筋が通りません。
 
労働基準法16条は「使用者は、……損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めていて、労働者に対し、あらゆる賠償予定ルール(罰金ルール)を課すことを禁じています。この規定に違反した会社に対しては、労働基準監督署の厳しいチェックが入りますし、会社の責任者に最高で懲役6ヶ月の刑が科される場合もあります。
 

レジ違算の損害を、給料から天引きするのも違法

レジ違算によって足りなくなった差額を、給料からの天引きでまかなおうとすることも違法です。なぜなら労働基準法24条1項により、給料は全額払いが原則だと定められているからです。
 
たとえ従業員がわざと犯した不法行為であっても、その損害賠償を天引きによって得ようとする会社は違法だとする最高裁判所の判例も1961年に示されています。わざとやったわけではないレジ違算なら、なおさらスタッフは店側から責任を問われる筋合いがありません。
 

レジ違算は、店舗やその運営会社の責任が大きい

記録されている売上と、レジの残額に差が生じていても、その責任をスタッフに負わせることはできないことがわかりました。レジ違算が起きるのは、店舗や運営会社の責任です。
 
スタッフのヒューマンエラーに対して、特別に対策をしていないから起きることなのです。レジ違算をどうしても避けたいのであれば、現金の種別や数量を自動的に読み取れるレジもありますから、たとえコストがかかっても導入した方がいいでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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