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「プリキュア」はタダで働いてるの?「給与」が支払われるならどのくらい?

ファイナンシャルフィールド / 2023年4月9日 2時10分

「プリキュア」はタダで働いてるの?「給与」が支払われるならどのくらい?

「プリキュア」シリーズは、女児向けに制作されており、日本でも屈指の人気を誇るアニメです。しかし、その主人公らは未成年であり、しかも、その戦闘シーンは無賃労働ではないかとの疑いが持たれているようです。   もし、プリキュアの世界に日本の法体系を適用するとしたら、どのような問題がありうるでしょうか。また、もし主人公らに給与を支払うとしたら、どれぐらいの水準がふさわしいでしょう。

そもそも、プリキュアとは?

特殊なアイテムを持っている少女たちが、伝説の戦士「プリキュア」に変身して敵と戦うのが、プリキュアシリーズの基本です。
 
主人公は単独で活躍することはなく、必ず複数人でチームを組んで戦うのが大きな特徴といえるでしょう。この設定によって、仲間同士でお互いの弱みをカバーし合い、強みを生かして活躍するチームワークの大切さを、世間の児童に教育する意図があるのかもしれません。
 
シリーズ第1弾が「ふたりはプリキュア」で、2004年に放送開始されました。活発でスポーツ万能の美墨なぎさ(キュアブラック)と、勉学が好きなお嬢様の雪城ほのか(キュアホワイト)という相反する個性の2人が、互いに協力しながら敵と戦うというストーリーが、多くの児童を夢中にさせました。
 

子どもが労働するのって大丈夫?

第1弾の「ふたりはプリキュア」の設定に沿うと、美墨なぎさと雪城ほのかは、ともに「光の園」の私立ベローネ学院女子中等部2年の14歳です。
 
「光の園」には君臨して統治する「クイーン」がいますが、主人公のふたりが日本名であることから、光の園に日本の法体系を適用できるとすれば、ふたりを「プリキュア」として戦わせることは違法の疑いがあります。14歳の女児は児童であり、原則として労働が禁じられているためです。
 
まず、日本国憲法27条3項は「児童は、これを酷使してはならない」と定められていますし、これを受けて労働基準法56条1項は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの間、労働を禁じています。
 
15歳までは義務教育の期間に相当し、子どもには働かせることよりも学業に専念させるべきだという政策方針が反映されています。また、成長途上の子どもは大人よりも相対的に心身が弱い傾向にあるため、社会的に保護しなければならない存在だという価値観も伴っています。
 
しかし、労働基準法56条2項には例外も定められています。たとえ満15歳に達した日以後の最初の3月31日より前であっても「児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なもの」か「映画の製作又は演劇の事業」ならば、労働を認めているのです。前者は早朝の新聞配達や牛乳配達の仕事で、後者は子役やアイドルが代表的な例として挙げられます。
 
プリキュアとしての戦闘任務が「児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なもの」かどうか、判断は微妙なところです。しかし、不思議なアイテムの力で守られることにより「児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なもの」に相当するものとします。
 

給与が発生するならいくら支払われるべき?

プリキュアと同様、戦う任務に就いている自衛官の俸給は、初年度で月額16万6500円と定められています。加えて、個別に著しく危険、不快、困難な特殊業務に従事したとき、日数や時間に応じ、特殊勤務手当が支給されます。
 
敵の襲来はいわば災害のようなものですが、例えば災害派遣等手当は、作業が著しく困難な場合、日額3240円が支給されます。福島第1原発事故の際は、敷地内での作業に日額4万2000円の手当が支給されたこともあるようです。
 
プリキュアが敵と戦う任務が、原発処理作業と同等の危険性があるものとし、週1回ペースで戦うことを前提とすれば、「光の園」当局はプリキュアのふたりに月額33万4500円を支払うのが相当です。
 

現実的に考えると14歳の子どもの労働は避けるべき!

児童を労働させることは原則として禁止されています。かつて、貧困のために幼い子どもを働かせなければならない家庭が少なくなく、その子どもは学ぶ機会を奪われて、成人してまた貧困に陥るという悪循環の歴史がありました。
 
プリキュアはフィクションではありますが、現実的に考えると14歳の児童らを酷使する場合、貧困に陥ることがない十分な給与を保障し、学校の授業がある時間帯は任務を避けるなどの配慮をする必要があります。
 

出典

朝日放送テレビ ふたりはプリキュア MaxHeart

e-Gov 日本国憲法

e-Gov 労働基準法

e-Gov 児童福祉法

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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