年収300万円でも「月15万円」の年金を受け取れる?「60歳・65歳・70歳」で受給する場合で検証
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月9日 2時30分
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老後のお金が足りるかどうかは誰しもが気になると思います。一般的に、老後の収入となるのが「老齢年金」となりますが、仕組みが少し複雑なため、実際にどれくらい受け取れるかを把握している人は少ないかもしれません。 本記事では、年金を毎月15万円受け取るために必要な年収を解説します。
年金の種類
公的年金には、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」があります。
老齢基礎年金は、20歳から60歳まで保険料を満額払っていれば収入にかかわらず同額を受け取ることができます。一方、老齢厚生年金は納付期間と現役時代の年収によって受け取れる額が異なります。年収が高いほど多く、年収が低いほど受給額は少ないです。
年金受給タイミングによる必要な現役の年収
今回は以下を前提として、年金を月15万円受け取るために必要な年収を検証します。
・老齢厚生年金の加入期間は40年
・老齢基礎年金は満額受給できる(月6万6250円)
・老齢厚生年金の加入期間は平成15年4月以降
年65歳で年金を受給する場合
65歳で年金を受け取る場合、老齢厚生年金の計算式は、「平均標準報酬額×5.481÷1000×老齢厚生年金の加入期間(年)」です。
「平均標準報酬額」とは、平成15年4月以降の被保険者期間の各月の「標準報酬月額」と「標準賞与額」の総額を平成15年4月以降の被保険者期間の月数で割った金額です。標準報酬月額は、受け取る給与を1等級(8万8000円)から32等級(65万)まで区分した報酬月額に当てはめた金額であり、標準賞与額は、賞与の額を1000円未満の端数を切り捨てた金額になります。
月15万円を受け取るための老齢厚生年金の金額は、15万円-6万6250円=8万3750円です。老齢厚生年金の計算式に当てはめると、平均標準報酬額×5.481÷1000×40=83750となり、平均標準報酬額は約38万2000円になります。したがって、老齢厚生年金の加入期間中の平均年収は38万2000円×12=458万4000円です。
つまり、40年間の平均年収は約458万円必要になります。
年金受給開始を5年繰り上げて60歳から受け取る場合
年金を繰り上げて60歳から受け取る場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰上げ申請する必要があります。
繰上げ受給は1ヶ月当たり0.4%減額されるため、5年繰り上げると減額率は24%です(昭和37年4月1日以前生まれの人は1ヶ月当たり0.5%)。老齢基礎年金は繰り上げると「6万6250円×(1-0.24)=5万350円」になります。そのため老齢厚生年金は、「15万円-5万350円=9万9650円」必要です。
9万9650円は24%減額された金額のため、平均標準報酬額を求める際の計算式は、「平均標準報酬額×5.481÷1000×40=99650÷0.76」となり、平均標準報酬額は約59万8000円です。したがって、老齢厚生年金の加入期間中の平均年収は59万8000円×12=717万6000円です。
つまり、40年間の平均年収は約717万円必要になります。
年金受給開始を5年繰り下げて70歳から受け取る場合
年金を繰り下げて受け取る場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げることができます。今回は、老齢基礎年金を65歳から受け取り、老齢厚生年金を70歳から受け取ることとします。
繰り下げは1ヶ月当たり0.7%増額されるため、5年繰り下げると増額率は42%です。老齢基礎年金は6万6250円のため、老齢厚生年金は「15万円-6万6250円=8万3750円」必要です。
8万3750円は42%増額された金額のため、平均標準報酬額を求める際の計算式は、「平均標準報酬額×5.481÷1000×40=83750÷1.42」となり、平均標準報酬額は約26万9000円です。したがって、老齢厚生年金の加入期間中の平均年収は26万9000円×12=322万8000円です。
つまり、40年間の平均年収は約322万円必要になります。
まとめ
本記事では、年金を月15万円受け取るために必要な年収を、年金受給タイミングごとに紹介しました。
どれも月15万円の年金を受け取れますが、現役時代に必要な年収がそれぞれ異なります。自分の年収を確認して月15万円受け取るにはどれくらい年収が必要なのかを考え、不足するのであれば貯蓄やiDeCo、NISAの利用などで対応したり、定年後に支出を抑えられるよう対策しておきましょう。
出典
厚生労働省 令和5年度の年金額改定について
日本年金機構 は行 標準報酬月額
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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