【要チェック】今月から「雇用保険料率」が引き上げ!「月給20万円」の手取りはどれだけ変わる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月8日 11時30分
2023年4月から「雇用保険料率」が引き上げとなります。これは、2022年12月19日に了承された保険料率の引き下げ終了にともなう決定です。これにより、一般の事業の場合、現在は賃金の1.35%の保険料率が、4月からは1.55%に上昇します。 今回の引き上げによって、給与にはどのくらいの影響があるのでしょうか。月収20万円の人を例に算出してみました。
雇用保険はどのような制度か?
雇用保険は、「労働者の生活や雇用の安定と就職の促進」のために設けられている社会保障制度です。
・雇用保険の概要
「1週間の所定労働時間が20時間以上」で「30日以上の雇用見込みがある」労働者は、原則として全員が雇用保険に加入します。パートやアルバイトの人も、要件に該当すれば加入しなければいけません。保険料は給与から天引きされ、失業した際には「失業等給付」や「育児休業給付」などが受給できます。
・雇用保険料の算出方法
雇用保険料は、賃金総額(賞与を含む)に保険料率を乗じて算出します。
・保険料率の決まり方
保険料率の見直しの審議と了承を行うのは、毎年開かれる厚生労働省の「労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)」です。保険料率は、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」による法定の原則にしたがって決定されます。ただし、財政状況によっては、厚生労働大臣が一定の範囲で変更することも可能です。
雇用保険料率が引き上げられる理由は何か?
2023年4月からの雇用保険料率の引き上げが決定しています。なぜ、このタイミングで雇用保険料率は引き上げされるのでしょうか。
・保険料率はどう変わる?
現在(2023年3月時点)の雇用保険全体の保険料率は1.35%(労働者0.5%、事業主0.85%)です。この保険料率が、4月からは1.55%(労働者0.6%、事業主0.95%)に変更されます。
・雇用保険料が引き上げされる理由
新型コロナウイルスの感染が拡大するまでは雇用保険財政に一定の余裕があったため、「失業等給付」にあてる保険料率も法定率より引き下げられていました。ところが、感染の拡大によって雇用調整助成金の支給決定額が6兆円を超えたことで、雇用保険財政は一転ひっ迫します。
そのため、厚生労働省は「失業等給付」にあてる保険料率を0.6%から法定率の0.8%にもどす方針を示し、2022年12月19日に開かれた「労働政策審議会」による審議と了承を経て、4月からの引き上げが決定したのです。その結果、雇用保険全体の保険料率が1.35%から1.55%に上昇することになりました。
なお、「育児休業給付」の保険料率は0.4%で変わりません。
給与が月額20万円の人の雇用保険料はいくらになる?
それでは、給与が月額20万円の人の雇用保険料が、2023年4月からいくらになるのか、算出してみましょう。
・2023年3月までの雇用保険料
2023年3月までの労働者の保険料率は0.5%のため、給与が月額20万円の人の保険料は、20万円に0.5%を乗じた1000円となります。なお、保険料率が0.85%の事業主の保険料は1700円です。
・2023年4月からの雇用保険料
2023年4月から労働者の保険料率は0.6%に変更されるため、20万円に0.6%を乗じた1200円となります。なお、保険料率が0.95%の事業主の雇用保険料は1900円です。
電気や食料品などの価格と同じように「社会保険料」の動向にも注目しておこう
雇用保険の保険料率が2023年4月から引き上げになります。これは、保険料率の上昇によるものです。
「失業等給付」の保険料率が0.6%から0.8%へ戻されることで、雇用保険全体の保険料率が1.35%から1.55%へ引き上がります。この結果、給与が月額20万円の人の保険料は、4月から200円上がって1200円になります。
雇用保険料に限らず、給与から天引きされている社会保険料は、「知らないうちに上がっていた」ということも少なくありません。そのため、電気や食料品などの価格と同じように、社会保険料の動向にも普段から注目しておきましょう。
出典
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク 令和5年度雇用保険料率のご案内
厚生労働省 労働政策審議会(職業安定分科会雇用保険部会)
厚生労働省 雇用保険制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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