【2023年10月スタート】インボイス制度に対応するときに使える支援制度や補助金とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月9日 23時0分
2023年10月からスタートする「インボイス制度」。中小企業の方や個人事業主の中には、インボイス制度への対応にかかる時間・手間・コストなどを負担に感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか。 制度導入に反対する声が大きかったことなどもあり、国はインボイスに対応する事業者に支援制度を拡充しています。詳しくみていきましょう。
そもそもインボイス制度とは
インボイスとは「適格請求書」のことです。売り手側が買い手側に対して発行する書類で、適用される税率や消費税額等が分かるように、必要な事項を記載したものを指します。2023年10月以降は、インボイスがないと買い手側が仕入税額控除(税金の軽減措置)を受けられなくなります。
売り手側がインボイスを発行するためには「インボイス発行事業者」として登録しておく必要がありますが、その登録を行うことで納税額が増えたり、経理事務が煩雑になったりする可能性があります。
インボイス制度に対応する事業者のための支援策
国はインボイスに対応しようとする事業者を支援するため、以下のような特別措置を用意しています。
■登録期日の延長
もともとは、2023年10月1日からの制度開始に間に合わせるには、2023年3月末までにインボイス発行事業者になるための登録申請を終えておく必要がありました。しかしその期日は延長され、現在は2023年4月以降に登録申請を行っても、制度開始に間に合うようになっています。
■少額取引ならインボイス不要に
例外的に、1万円未満の取引ならインボイス不要とするルールもできました。1万円未満の値引きや返品なら、対象者や期限の限定なくインボイス不要となります。1万円未満の課税仕入れについても、条件を満たせばインボイス不要(帳簿の保存のみ)で済みます。
・2年前(基準期間)の課税売り上げが1億円以下、または1年前の上半期(個人は1~6月)の課税売り上げが5000万円以下
・期間は、2023年10月1日(インボイス制度開始日)から2029年9月30日まで
■納税額を「売上税額の2割」に軽減
免税事業者(消費税を納税する必要がない事業者)からインボイス発行事業者(消費税を納税する事業者)になった場合、当面は税金や事務上の負担を減らすための特別措置があります。
「売上税率の2割」を納税額とするため、経費ごとの集計などは不要で、売り上げと消費税率さえ分かれば比較的かんたんに計算できます。
ただし、この特別措置を利用するためには「2年前(基準期間)の課税売り上げが1000万円以下」等の要件を満たしている必要があります。
また、恒久的な措置ではなく、2023年10月1日~2026年9月30日を含む課税期間(個人事業主は2023年10~12月の申告から2026年分の申告)までとされているので要注意です。
■各種補助金
それぞれの支援策で、対象となる事業者、補助額、期限などの条件が細かく決められているので、よく確認しておきたいところです。
インボイス対応で使える補助金
インボイス対応に使える補助金には、以下のようなものがあります。
・小規模事業者持続化補助金
・IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)
持続化補助金はもともと、小規模事業者が経営計画を策定し、商工会議所などの支援を受けながら販路開拓に取り組む場合などに受け取れるものです。
今まで免税事業者(消費税を納める必要がない事業者)だった人が、インボイスに対応するため新たに課税事業者(消費税を納める事業者)になった場合、補助額の上限が一律50万円上乗せされます。
IT導入補助金は、デジタル化やDX、サイバーセキュリティーなどへの対応にかかる費用の負担を軽減するための補助金です。会計ソフト、受発注システム、クラウド利用費、パソコンやタブレットの購入費などが補助の対象になります。
まとめ
インボイス制度のスタートまであと数ヶ月となりましたが、まだ「インボイスに対応すると負担が増える。でも対応しないと取引がなくなるかも。どうしよう……」と頭を悩ませている人もいるでしょう。
インボイスを発行できる事業者になるかどうか、各種支援策や補助金があることも踏まえてじっくりと検討してみましょう。
分からないことが出てきたときは、国税庁の「インボイス制度電話相談センター」や、最寄りの税務署に問い合わせれば教えてもらえますよ。
出典
(※)財務省 インボイス制度、支援措置があるって本当!?
国税庁 インボイス制度の概要
中小企業庁 インボイス制度への対応に取り組む皆様へ 各種支援策のご案内
国税庁 インボイスコールセンター(インボイス制度電話相談センター)
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表
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