正社員と派遣社員「同じ年収」なら将来もらえる年金額も同じ?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月10日 3時30分
年金は、老後における主要な収入です。現役時代にいくら保険料を納めたかによって、将来受け取れる年金額は異なります。ご自身が将来、いくら年金を受け取ることができるのか、関心をもたれている方は多いことでしょう。 本記事では、年収が同じであれば、正社員であっても派遣社員であっても受け取れる年金が同じであるかどうかについて、解説します。
基本的に、年収が同じであれば、正社員であっても派遣社員であっても受け取れる年金額は同じ
結論からいえば、年収が同じであれば、正社員であっても派遣社員であっても受け取れる年金は同じです。ただし、これには以下のような条件があります。
・保険加入期間が同じであること
・加入している保険(国民年金、厚生年金保険)が同じであること
・保険加入期間中に納めた保険料が同じであること
「年収が同じであれば、受け取れる年金額は同じ」といっても、この「年収」の比較を現時点でのみ行ってはいけません。後述するように、受け取れる年金額の計算は、保険加入期間やその期間中に支払った保険料によって異なります。
現時点での年収だけでは、将来受け取れる年金額を比較することはできません。これは、将来受け取れる年金額の計算をするときも同じです。受け取れる年金額は、突き詰めれば「年金を受け取るまでにいくら保険料を納付したかによって異なる」といえます。
つまり、その期間中、正社員であるか派遣社員であるかといった雇用形態は、年金額に影響しません。このことは、老齢基礎年金や老齢厚生年金の年金額の計算式から確認することができます。
老齢基礎年金の年金額の計算内容
令和5年度分の老齢基礎年金の年金額は、20歳から60歳までの40年間、保険料を全て納めた場合、以下の計算式によって算出されます。
図表1
出典:日本年金機構 「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
この式から、老齢基礎年金の受給額について、以下のことが分かります。
・老齢基礎年金は満額で79万5000円
・老齢基礎年金の額は、加入可能年数や保険料納付済月数などにより変化する
・雇用形態は影響しない
老齢厚生年金の年金額の計算内容
令和5年度分の老齢厚生年金の年金額は、以下の計算式によって算出されます。
年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
この式のうち、「報酬比例部分」は、以下の計算式によって算出されます。
図表2
出典:日本年金機構 「は行 報酬比例部分」
また、「経過的加算」は、以下の計算式によって算出されます。
図表3
出典:日本年金機構 「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
「加給年金」は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が、65歳到達時点で生計を維持している配偶者や子がいるときに加算されるものです。
以上のことから、老齢厚生年金の受給額について、以下のことが分かります。
・老齢厚生年金の額は、平均標準報酬月額・平均標準報酬額や加入期間などにより変化する
・雇用形態は影響しない
まとめ
年収が同じであれば、正社員であっても派遣社員であっても受け取れる年金は同じです。ただし、「年収が同じ」というのは「現時点での年収が同じ」という意味ではなく、「年金を受け取るまでに納付した保険料が同じ」という意味です。
また、これは「平均標準報酬月額・平均標準報酬額」が同じであるということを前提としています。したがって、一口に「年収が同じ」といっても、さまざまな条件が同じでないと、受け取れる年金額が異なる可能性があります。
受け取れる年金額は、簡単にいえば保険加入期間、保険料納付期間、その間の給料などによって計算します。雇用形態は影響しません。
近年、働き方は多様化しています。これにより、年金に影響が出るのではないかと不安になる必要はありません。受け取れる年金額は、雇用形態の影響を受けないからです。それよりも大事なのは、ご自身が加入している保険と納付している保険料です。国民年金に加入しているのか厚生年金保険に加入しているのか、保険料をいくら納付しているのか、保険料の未納はないかなどです。
この点を確認できるのが「給与明細」や「ねんきん定期便」です。年金に不安を感じるようであれば、これらの書類も確認してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
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