400万円の奨学金を一括返済! メリットとデメリットは? もし返還に困ったら?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月10日 7時0分
奨学金の貸与期間が終わり、社会人になって返還が始まると、誰もができるだけ早く返還したいと思うでしょう。奨学金は一括返済(一括返還)することができますが、一括返済にはメリットとデメリットがあることを知っておかなければなりません。 本記事では、一括返済とはどういうものかを解説します。そして、奨学金の返還に困ったときの対処法についても合わせて解説します。
奨学金の一括返済とは
奨学金は、一括返済(全額繰上返還)や一部繰上返還をすることができます。一括返済とは、返還期日の到来していない割賦金を繰り上げて全額返還することをいいます。一部繰上返還とは、文字通り全額ではなく一部だけ返還することです。
一部繰上返還をする際には、注意しなければならないことがあります。一部繰上返還をしても、次回からの返還は減額されず通常どおりの割賦金額となります。返還後の残額を残期間で均等にすることはありません。有利子である第二種奨学金については、繰上返還をした場合、その繰上にあたる期間は利子がかかりませんが、繰上返還をしても据置期間利息だけはかかってしまいます。
しくみをしっかりと理解したうえで、一括返済を行うようにしましょう。
400万円の奨学金を一括返済した場合は?
一括返済のしくみを解説したところで、本題にある400万円の奨学金を一括返済したらどうなるかを考えてみましょう。
日本学生支援機構のホームページ上で、シミュレーションをすることができます。貸与総額400万円、金利0.905%、返還期間20年でシミュレーションした場合、総返済額は439万2058円となります(月賦返還にて算出)。初回の返還が始まる前であれば、39万2058円の利息軽減効果を図ることが可能です。
一括返済することのメリットとデメリット
奨学金の一括返済について、メリットとデメリットをみてみましょう。
一括返済のメリット
一括返済のメリットは、次の通りです。
●返済期間が短縮できる
●返済総額を少なくできる
返済が終了し毎月の決まった支出がなくなれば、生活費に余裕が生まれます。長期間の返還から解放されれば、精神的な負担も軽減されるでしょう。
有利子である第二種奨学金については、利息の軽減が図られることで、返済総額を少なくすることが可能です。利息は残高に利率(年率)を掛けて計算されることから、残高が減れば減るほど利息は少なくなります。
毎月の返還は少額でも、全期間での返還総額は大きなものになることを知っておきましょう。
一括返済のデメリット
自由に使えるお金が減少することが、一括返済の大きなデメリットになります。ただし、奨学金は民間のローンに比べて金利が優遇されています。一括返済を選択したばかりに奨学金返還で生活に困り、消費者ローンやカードローンなどを契約しては本末転倒です。
返還誓約書の通り毎月の返還を履行しているかぎり、一括返済を求められることはありません。一括返済は、将来必要になるお金を十分に見積もってから行うことが大切です。
奨学金を返還できないときはどうする?
返還での一番の問題は、延滞が発生してしまうことです。奨学金が返還できないときは、速やかに日本学生支援機構へ相談をしましょう。機構には、減額返還制度と返還期限猶予の制度があります。審査があるため、延滞が発生していると対応が難しくなるケースがあります。少しでも返還に不安を感じれば早めに対処することが肝心です。
減額返還制度
減額返還制度とは、毎月の返済額を少なくすることです。対象は、災害、傷病、その他経済的理由により返還が困難になった方のなかで、当初約束した割賦金を減額すれば返還が可能となる方です。
毎月の割賦金を2分の1、あるいは3分の1に減らすかを選択できますが、返還期間は、割賦金2分の1は2倍に、3分の1は3倍になってしまいます。返還期間は延びますが、無理のない割賦金で返還を続けることができます。
返還期限猶予制度
返還期限猶予制度とは、返還を待ってもらうことです。災害、傷病、経済困難、失業などで返還が困難な事情が生じた場合、毎月の返還を先延ばしにすることができます。返還すべき元金や利息が免除されるわけではありませんが、減額返還制度を利用していても返還できない場合、やむを得ない事情がある場合は速やかに願い出ることが肝心です。
まとめ
400万円の奨学金を返還するには、最長で20年かかります。長い期間を要するのが奨学金の返還です。一括返済を利用することで返還負担を軽減でき、心にゆとりをもたすことができます。メリットとデメリットをよく理解して、大切な資金の使い道を慎重に考えていきましょう。
返還についての不安が生じたならば、一人で抱えることなくすぐに日本学生支援機構に相談するとよいでしょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 繰上返還について
独立行政法人日本学生支援機構 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)
独立行政法人日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
独立行政法人日本学生支援機構 返還が難しくなった場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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