【50代の悩みどころ?】早期退職すると年金にどう影響する?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月12日 3時20分
「働き続けるのに限界を感じている」「子育ても一段落したからゆっくりしたい」と早期退職を考える方も多いのではないでしょうか。 退職金が割り増しされる場合もあり、迷う方もいるようです。年金への影響を中心に、早期退職を考えてみます。
早期退職には2種類ある
早期退職と一口にいっても、2種類あります。
1つが「早期退職制度」といわれるもので、自主的に退職することで、優遇措置を受けられます。もう1つが「希望退職制度」といわれるもので、企業が人員整理を目的に行います。
早期退職による年金への影響
年金は2階建て構造になっています。1階部分は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金。2階部分は、会社員や公務員の方が加入する厚生年金です。
65歳以降になると、老齢基礎年金を生涯受け取れます。そして、厚生年金に加入していた場合には、老齢厚生年金が上乗せされます。早期退職をすることで、年金に次の3つの影響があります。
(1)老齢厚生年金の支給額が減る
(2)配偶者の年金支給額が減る
(3)加給年金が受け取れなくなる可能性がある
(1)老齢厚生年金の支給額が減る
年金の2階部分である老齢厚生年金の支給額は、加入している期間や給与額によって計算されます。
早期退職することで、加入期間が短くなったり、給与額が少なくなったりすれば、当然、支給額が減ることになります。
ほかにも、毎年、日本年金機構から届く「ねんきん定期便」について、50歳以上の方は気を付けなければいけない点があります。裏面にある「老齢年金の種類と見込み額(年額)」の部分は、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定して計算されているということです。
早期退職で加入条件が変われば、年金の支給額も変わることになる点には注意が必要です。
(2)配偶者の年金支給額が減る
影響があるのはご自身だけと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、配偶者の年金にも影響があります。
配偶者を扶養し、配偶者が第3号被保険者になっていた場合、退職することで、第1号被保険者となります。今までは会社が払っていた保険料を、配偶者自身で負担することになります。負担が大きい場合には、免除申請も可能ですが、その分年金額も減ります。
ほかにも、ご自身が亡くなったとき、遺族に支給される遺族年金にも影響があります。遺族年金も2階建て構造になっており、遺族基礎年金と遺族厚生年金で構成されています。遺族厚生年金を受け取るには条件がいくつかあります。
中でも、老齢厚生年金の受給権者だった方が死亡したとき、老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したときの2つは、保険料納付済みと免除期間、合算対象期間が25年以上ある方に限られています。
さらに、受け取れる年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額です。報酬比例部分は加入期間や給与額で変わるため、早期退職で減れば、その分減ることになります。
(3)加給年金が受け取れなくなる可能性がある
加給年金とは、老齢厚生年金における扶養手当のようなものです。厚生年金の加入期間が20年以上ある方が、65歳になって老齢厚生年金を受け取れるようになったときに、配偶者や子の生計を立てている場合に加算されます。
配偶者と年の差があり、配偶者の収入が少ないときにもらえるものです。もし、早期退職で加入期間が20年を下回ると、もらえなくなる可能性があります。
早期退職しても年金を増やす方法
今回は、早期退職による年金の影響をみてみました。意外とダメージが大きいと思われた方もいるのではないでしょうか?
早期退職しても年金を増やす方法は、厚生年金に加入する形で働くことです。「仕事から離れたい……」と思われるかも知れませんが、法律が改正されて、短時間労働者でも厚生年金保険に加入できるようになりました。
具体的には、被保険者の総数が100人超の特定適用事業所であること、週の所定労働時間が20時間であること、月額8万8000円であること、2ヶ月以上働く見込みがあることです。
無理のない範囲で働くことが、健康増進や社会への貢献、収入の安定にもつながります。人生100年時代、ご自身や家族と相談しながら納得のいく道を選びましょう。
出典
厚生労働省・日本年金機構 知っておきたい年金のはなし
日本年金機構 「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)より 50歳以上の方
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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