「国民年金払えない…」1年間保険料が免除されると、将来年金はいくら減る?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月18日 9時30分
国民年金保険料を支払うことができない方のために、納付を「免除・猶予」する制度があります。お金がなくて生活が苦しい時にはありがたい制度ですが、これらを利用すると、将来受け取る年金額も減ってしまうのでしょうか。 この記事では、国民年金保険料納付の免除制度や猶予制度について紹介。それらの制度を利用すると、受け取れる年金額がどう変わるのかについても解説します。
国民年金保険料が支払えない場合の対応
経済的な理由で国民年金保険料の支払いができなくても、そのままにしておくのはNG。手続きをせず年金を未納にしていると、万が一の際に障害年金や遺族年金が受け取れなくなってしまいます。さらに、未納期間が長いと、老後に老齢年金を受け取るための資格も満たせなくなる可能性があります。
国民年金保険料が支払えない場合は、保険料免除制度や納付猶予制度の手続きを行いましょう。
国民年金保険料免除制度
前年の所得が一定額以下の場合、申請することで国民年金保険料を免除してもらうことができます。全額免除のほか、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の制度があります。
国民年金を受け取るためには最低10年間は国民年金に加入して受給資格期間を満たす必要がありますが、免除の承認を受けた期間も国民年金の受給資格期間に含めることができます。4分の3免除、半額免除、4分の1免除の場合は、免除された額を引いた分の保険料を支払うことで、受給資格期間に含めることが可能です。
続いて、免除を受けた場合に受け取れる年金額について。保険料が全額免除された期間分は、将来の年金額も0と計算されてしまうのでしょうか。
実はそうではなく、全額免除の場合でも、全額納めた場合の「2分の1」の年金額は受け取れるように計算されています。国民年金の財源は、我々が納める保険料負担が半分、国庫負担が半分であるため、保険料を免除されていても、国庫負担分は受け取れる、ということです。
同じように、4分の3免除の場合は全額払った場合の8分の7、半額免除の場合は8分の6、4分の1免除の場合は8分の5の年金を受け取ることができます。
国民年金保険料納付猶予制度
保険料納付猶予制度とは、申請することによって国民年金保険料の支払いを猶予してもらえる制度です。免除制度と同じく、猶予の承認を受けた期間も国民年金の受給期間に含めることができます。
ただ、免除とは異なり、猶予されて支払わなかった分を年金額の計算に反映することはできません。あくまでも納付「猶予」であるため、10年以内に追加で支払わないと(追納しないと)年金額の計算に反映されないことを覚えておきましょう。
「1年間」国民年金保険料が払えない場合
経済的な理由で1年間国民年金保険料が払えず、免除や猶予の手続きをおこなって承認された場合、受け取る年金額はいくら減るのか計算してみましょう。
国民年金保険料が払えず、1年分全額免除になった場合
厚生労働省の発表によると、令和5年度の国民年金受給額の満額は79万5000円(年額)。これは、40年間国民年金に加入して満額の保険料を納めた場合の金額です。40年のうちの1年間保険料が全額免除になった場合、その1年分は2分の1の年金額として計算します。
79万5000円×39年/40年+79万5000円×1年/40年×50%=約78万5063円
79万5000円-約78万5063円=約9937円
よって、国民年金保険料を1年分全額免除にした場合、1年に受け取れる年金が約1万円減るとわかりました。
国民年金保険料が払えず、1年分納付猶予になった場合
40年のうちの1年間保険料が猶予になった場合、追納しない限り、その1年分は年金額の計算に含みません。
79万5000円×39年/40年=77万5125円
79万5000円-77万5125円=1万9875円
よって、国民年金保険料の納付を1年分猶予すると、1年に受け取れる年金が約2万円減ることがわかります。
まとめ
国民年金保険料が支払えないときは、保険料免除の制度や納付猶予制度を利用しましょう。免除期間も猶予期間も年金受給資格期間に含めることができますし、免除期間は満額ではありませんが年金額の計算にも反映されます。
国民年金保険料を1年分全額免除にすると1年に受け取れる年金額が約1万円減り、1年分納付猶予にすると1年に受け取れる年金額が約2万円減ります。将来受け取れる年金額を減らしたくない場合は、10年以内に保険料を追納することをおすすめします。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 は行 保険料免除期間
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
日本年金機構 年金額の端数処理
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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