配当控除の対象について確認してみよう!
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月22日 0時20分
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NISAを利用せず、株式等の配当金を受け取っている場合、配当控除の申告が可能なケースがあります。 通常、配当金に対しては20.315%の源泉徴収税額があり、確定申告をする必要はありません(=申告不要の選択)。ですが、配当金について総合課税で確定申告を行うことにより、配当控除を受けられる場合があります。 なお、「源泉徴収あり」の特定口座でも、配当控除を受けるためには確定申告が必要です。来年の確定申告に備えて確認しておきましょう。
配当控除の対象となる配当金
配当控除の対象は配当金で、債券等から生じる利息は対象外です。では、配当金ならすべて対象なのでしょうか?
配当控除の対象となる配当金の定義は、「日本国内に本店のある法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配、証券投資信託の収益の分配など」で、確定申告において総合課税の適用を受けた配当所得に限られます。
つまり、配当金を分離課税で確定申告した場合には、配当控除は受けられません。配当金を分離課税で確定申告した場合には、株式等の売却損との損益通算の対象となります。
日本国内に本店のある法人が対象で、外国株式等から得ることができる配当金は、配当控除の対象外です。また、日本国内に本店のある法人から受ける剰余金の分配の場合、REIT(=投資法人)から得ることができる分配金は、配当控除の対象外です。
配当金は「株主に対する企業の利益の分け前」です。その利益に法人税等を課税した後の、残りの利益の一部を株主が所有する株数に応じて配当します。
また、株主は先述のとおり、20.315%の源泉徴収税額を引かれた後に配当金を受け取ることになります。法人税と源泉徴収税(所得税・復興特別所得税と住民税)の、いわば国内で二重課税のようなイメージですので、その国内の二重課税を緩和する趣旨もあります。
外国株式の場合、もし法人税が課されるとしたら、基本的には日本国内ではないでしょう。そして、日本国内にいる株主が受け取った配当金に所得税・復興特別所得税と住民税が課されたとしても、少なくとも国内での二重課税の問題は生じないでしょう。
また、REITは「利益の90%超を投資主(=株主)に分配することにより、分配金は法人税を課さない」ということになっていますので、こちらも二重課税の問題は生じません。
外国株式やREITが配当控除の対象ではありませんが、配当控除の趣旨から推察すると、対象外ということもうなずけます。
配当控除の対象となる投資信託
先述の配当控除の対象となる配当金の定義には、「証券投資信託の収益の分配」とあります。つまり、「投資信託の分配金」も配当控除の対象です。
ところが、投資信託でも配当控除の対象となるものもありますし、配当控除の対象とならないものもあります。
例えば、「NYダウ・インデックスファンド」は外国株式だけを対象にした投資信託で、配当控除の対象外です。ところが、「日本優良成長株オープン(米ドル投資型)」は、対象は日本株式なのですが、配当控除の対象外です。
MMFのような、中身がすべて債券だけで組成している投資信託は、もちろん配当控除の対象外ですが、国内外の株式や債券をミックスした「バランス型ファンド」の場合は、配当控除の対象です(債券から得られるのは配当金ではなく利息ですので、配当控除の対象外です)。
投資信託の分配金の場合、配当控除の対象になるか否かは、交付目論見書にある「税金・手数料」のページの「課税関係」という欄に『配当控除はありません』と明記している場合もありますので、「課税関係」という欄を確認しておく必要があります。交付目論見書は、投資信託の運用を行っている運用会社の商品ごとのページ等で、PDFで閲覧できます。ぜひ参考にしましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1234 配当所得があるとき(配当控除)
一般社団法人投資信託協会 J-REITの基礎知識
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
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