年金が少ない! 毎月15万円以内で暮らせるの?「持ち家」「賃貸」別に解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月22日 10時0分
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は公的年金に加入しており、原則65歳になると老齢年金を受け取ることができます。年金は老後の生活を支える大事な収入ですが、受け取れる金額によっては、どのような生活ができるか心配な人もいるでしょう。 本記事では、老後に月15万円の年金を受け取れるケースを目安に、生活や住まいにかかる費用について紹介します。
月15万円の年金を受け取れるケース
日本の年金制度は、20歳以上60歳未満の全員が加入する国民年金と、会社員・公務員などが加入する厚生年金保険で構成されています。
老後に月15万円の年金を受け取れるのは、どのような人でしょうか。例として、20歳から60歳までの40年間を会社員として就労し、40年間の平均年収が500万円のケースを考えてみます。
この場合、厚生年金に40年間加入しているので、満額の老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受け取ることができます。令和5年度の年金額を基にした試算では、65歳から受け取る老齢基礎年金は年額79万5000円、老齢厚生年金は年額109万6200円(500万円×40年×5.481/1000)となり、老齢年金の合計は年額189万1200円、月額に換算すると約15万7000円です。
別の例として、配偶者が先に亡くなり、遺族年金を受けているというケースで確認してみましょう。
夫・妻ともに65歳以上、子どもは独立している家庭とし、妻は専業主婦で老齢年金は年額79万5000円(満額)の老齢基礎年金のみ、夫は元会社員で年額144万円の老齢厚生年金を受け取っていたと仮定します。
夫が亡くなった場合、妻が受け取る遺族厚生年金は年額108万円(144万円×3/4)で、老齢年金と遺族年金の合計は年額187万5000円、月額に換算すると約15万6000円となります。
このように月15万円という年金額は、会社員などで厚生年金に加入していた人や、老齢年金と遺族年金を併給している場合など、単身の年金生活者が受け取る金額に近いと考えられます。
高齢単身無職世帯の収入と支出
年金生活者の家計について、総務省統計局の家計調査(令和3年)の結果から平均的な金額を見てみましょう。
65歳以上の単身無職世帯では、月の収入が13万5345円、そのうち社会保障給付は12万470円となっています。一方、支出では消費支出が13万2476円、税金や社会保険料の非消費支出が1万2271円です。平均の消費支出は約13万円ですので、少ない年金の範囲で生活をやりくりしている状況がうかがえます。
また、消費支出のうち、住居費は1万3090円となっていますが、この金額は持ち家と賃貸の平均である点に注意が必要です。
持ち家にかかる住居費はどれぐらい?
持ち家で定期的にかかる住居費としては、固定資産税・都市計画税、それに加えてマンションの場合は管理費・修繕積立金があります。
中古の一戸建てで、固定資産税評価額が土地2000万円、建物500万円の例で考えると、固定資産税・都市計画税はそれぞれ次のように計算できます(住宅用地特例を適用したケースで、円未満の端数は切り捨て)。
固定資産税(土地)2000万円×1/6×1.4%=4万6666円
都市計画税(土地)2000万円×1/3×0.3%=2万円
固定資産税(建物)500万円×1.4%=7万円
都市計画税(建物)500万円×0.3%=1万5000円
合計で年間15万1666円、月に換算すると1万2638円となります。マンションでは管理費・修繕積立金が追加でかかるため、合計で3~5万円になると考えられます。
賃貸なら公営住宅か、民間住宅か?
賃貸の場合、毎月の家賃の支出が生じます。家賃は立地や広さ、築年数などにもよりますが、民間住宅では少なくとも6~8万円程度になると考えられます。月15万円の年金収入では、別途、貯蓄を切り崩すなどしなければ、それだけの家賃を負担するのは難しいでしょう。
民間住宅の家賃では生活が厳しい場合、公営住宅という選択肢があります。公営住宅の家賃は所得によって変わることがありますが、例えば東京都の都営住宅では月2万円以下の物件もあります。希望者が多い物件は抽選となるものの、家賃の安さから老後の生活では候補に入れるといいでしょう。
老後の一時的な支出にも備えを
高齢単身無職世帯の平均的な家計の収支では、月15万円以下の年金収入でも、やりくりしながら生活している状況がうかがえます。住居費については、戸建ての持ち家であれば大きくかかりませんが、賃貸では公営住宅を選択するなどの工夫が必要でしょう。
また、長い人生では家屋の修繕費や病気やけがをしたときの医療費など、一時的に大きな支出が発生する可能性があります。毎月ギリギリの家計ではなく、多少でも余裕資金を持っておくために、現役時代に老後資金の蓄えをできるだけ作っておきましょう。
出典
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要
総務省 固定資産税
総務省 都市計画税
東京都住宅政策本部
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
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