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【婚姻期間30年】離婚後にもらえる年金はいくら?

ファイナンシャルフィールド / 2023年4月21日 9時40分

【婚姻期間30年】離婚後にもらえる年金はいくら?

近年、熟年離婚が増えているそうです。熟年だけに、結婚後30年以上を経過して離婚する夫婦も多いようです。離婚にともなう大きな問題が財産分与です。実際に現在ある財産を分けるのではなく、将来もらえる年金も分割可能です。今回は、婚姻期間30年で、離婚後にもらえる年金はいくらになるか検証してみます。

夫の年金も分割できる

日本の年金制度は複雑です。まして、分割するとなると、さらに複雑になります。離婚協議を適切に進めるためにも、年金の正しい分割の知識を持っておくと分割がスムーズになります。
 

分割できるのは厚生年金だけ

専業主婦が離婚する場合、離婚後の金銭面はとても不安です。離婚の財産分与では、夫の年金も分与の対象にできます。
 

年金の構造

年金は3階建てといわれています。1階部分は20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)です。2階部分は、会社員や公務員の方が加入する厚生年金です。さらに、3階建て部分として、厚生年金基金、確定拠出年金、個人年金保険などがあります。
 
年金は加入者によって異なっています。1階部分だけの方や、1階部分と2階部分に加入している方がいます。さらに、特定企業では、1階部分から3階部分すべて加入しているケースもあります。
 

厚生年金は分割できる

離婚して分割できるのは厚生年金の部分だけです。2015年(平成27年)までは、公務員や私立学校教職員は共済年金がありましたが、同年の10月に厚生年金に統一されています。
 
請求できる年金の種類が厚生年金に限られることから、配偶者が結婚してからずっと自営業で国民年金のみの加入で、厚生年金に未加入という場合は、年金分割が請求できない可能性が高くなります。
 

厚生年金は完全に「2分の1」がもらえないことも

厚生年金は分割対象ですが、必ず2分の1がもらえるわけではありません。分割対象になるのは相手が厚生年金に加入していた期間の内、婚姻していた期間が分割対象になります。
 

3号分割は妻側から一方的に請求できる

厚生年金の分割は当事者間の話し合いで按分割合を決める「合意分割」があります。さらに、「3号分割」と呼ばれている分割方法もあります。
 
3号分割は、当事者間の合意や裁判所の決定がなくても、按分割合が2分の1に決められる分割方法です。要件がそろっていれば、相手方に知らせることなく、単独で年金分割の申請が可能です。
 
会社印や公務員の妻で、専業主婦かパート勤務の主婦などの国民年金第3号被保険者が申請可能な制度から「3号分割」と呼ばれています。
 

3号分割は 2008年4月1日以降が対象

3号分割は、分割の対象となるのが2008年(平成20年)4月1日以降の厚生年金のみです。なお、厚生年金の分割はケースバイケースで、合意分割と3号分割のどちらが有利か、年金事務所で相談することをおすすめします。
 

年金分割の参考例

厚生労働省年金局の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」の29ページに実際に年金を分割した方の実績が掲載されています。実際に離婚後にもらえる年金の参考にしていただくために、以下の図表1、図表2に詳しくまとめました。
 
図表1

    

    

    

第2号改定者(受ける側)
件数(人)
平均年金月額(円)
改定前 改定後 変動差
2331 5万4281 8万5394 3万1112

厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況を基に作成
 
図表2

    

    

    

女  子
件数(人)
平均年金月額(円)
改定前 改定後 変動差
292 4万1197 4万7196 6000

厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況を基に作成
 
この資料によれば、分割によって年金額が増えるのは、離婚分割といわれる当事者同士の合意や裁判所の決定で決められた場合の方が、第3者分割よりも金額が多くなっています。
 

加入年月のうち、婚姻期間だけが分割対象となる

そもそも年金は個々人のケースでさまざまですので、30年間結婚し、離婚後の年金額の算定は極めて困難です。
 
ただ計算方法自体は定まっており、たとえば夫の年金支払期間が40年のうち、婚姻期間が30年分ある場合は、あくまでも「婚姻期間30年」の分についてのみ分割が認められます。そのため、こちらのケースでは実際に夫がもらう年金額の4分の3しか分割されないということになるのです。
 
なお、令和3年度末の厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給権者の平均年金月額は、併給する老齢基礎年金の額を含めて老齢年金が「14万4千円」です。
 

事前に年金事務所に行きましょう

離婚を考え、年金の分割を行った場合に、自分の年金がどれだけ増えるのか気になるはずです。その金額を調べるためには年金事務所に出向いて「年金分割のための情報通知書」の請求が必要です。この通知書は相手に知られずに、1人で請求することが可能です。
 
分割後の年金見込み額が分かるのは資料を請求する方が50歳以上で、見込み額の照会を希望した場合のみです。
 

まとめ

離婚にともなう財産分与で、夫の厚生年金が分割できることを紹介しました。もしも離婚となったときには年金の分割まで話し合うことをおすすめします。年金について何か不明な点があれば年金事務所に出かけて相談してみるとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 

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