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高校実質無償化でラクになった? 幼稚園から高校まで「15年間の学校教育費」公私別の合計額

ファイナンシャルフィールド / 2023年4月24日 0時0分

高校実質無償化でラクになった? 幼稚園から高校まで「15年間の学校教育費」公私別の合計額

教育費は、人生の三大費用のひとつです。高校の授業料が実質無償になり、どれくらい家計が楽になったのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。   本記事では、幼稚園から高校までの15年間の学校教育費(公私別合計額)と、高等学校等就学支援金制度の影響について解説します。

15年間の学校教育費は全て公立なら190万4142円、全て私立なら1160万5719円

文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校までの「学校教育費」(令和3年度における年額)は、図表1のとおりです。なお、同調査では、学校教育費を「学校教育のために各家庭が支出した全経費で、学校が一律に徴収する経費及び必要に応じて各家庭が支出する経費の合計」と定義しています。
 
図表1

公立 私立
幼稚園 6万1156円 13万4835円
小学校 6万5974円 96万1013円
中学校 13万2349円 106万1350円
高等学校(全日制) 30万9261円 75万362円

※文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」より筆者作成
 
これらの金額を基に、幼稚園(3歳)から高等学校卒業(18歳)までの15年間の学校教育費を算出すると、図表2のようになります。
 
図表2

公立 私立
幼稚園(3年間) 18万3468円 40万4505円
小学校(6年間) 39万5844円 576万6078円
中学校(3年間) 39万7047円 318万4050円
高等学校(全日制)(3年間) 92万7783円 225万1086円

※筆者作成
 
ここから、子どもの進路に応じて必要な、おおよその学校教育費を計算できます。例えば、全て「公立」に進学した場合は190万4142円(=18万3468円+39万5844円+39万7047円+92万7783円)、全て「私立」に進学した場合は1160万5719円(=40万4505円+576万6078円+318万4050円+225万1086円)と計算できます。
 

高等学校等就学支援金制度とその影響

公立高校の授業料は“実質無償”といわれますが、これは“不徴収”とは異なります。不徴収とは、そもそもの費用が発生しないため、自己負担はないということです。一方、実質無償とは、費用は発生するものの、同額の給付を受けることにより、結果として自己負担がないということです。
 
授業料を実質無償にする制度が、「高等学校等就学支援金制度」です。ただし、高等学校等就学支援金制度を利用するには、所定の要件を満たす必要があります。
 
高等学校等就学支援金制度を利用したときの授業料の考え方は、公立に進学したときと私立に進学したときでは、少し異なります。公立に進学した場合、授業料と同額の支援金(年額11万8800円)を受けられます。
 
このため、高校の授業料は“実質無償”となります。一方、私立に進学した場合、所得に応じた支援金(年額最大39万6000円)を受けられます。授業料が支援金を上回る場合、その差額分は自己負担となります。
 
さて、図表1(令和3年度における年額)において、高等学校(全日制)の学校教育費は、公立が30万9261円、私立が75万362円でした。この金額をさらに詳細に見ていくと、図表3のとおりです。
 
図表3

出典:文部科学省 「令和3年度子供の学習費調査(2.調査結果の概要)」
 
図表3のなかに、「授業料」という区分があり、公立5万2120円、私立28万8443円となっています。高等学校等就学支援金制度を利用した場合、この金額に影響を与えます。公立の授業料が「0円(無償)」となっていないのは、この調査の対象者に、高等学校等就学支援金制度を利用していない方もいるためと考えられます。
 
高等学校等就学支援金制度を利用する場合、公立高校の授業料は“実質無償”のため、「5万2120円」を「0円」と読み替えても差し支えないでしょう。一方、私立の授業料については、制度の利用の有無だけでなく学校ごとに異なる授業料なども影響しているため、金額を読み替えることは控えます。
 
すると、高等学校等就学支援金制度を利用した場合、公立高校の学校教育費は年額25万7141円、3年間で77万1423円と考えられます。これにより、全て公立に進学した場合の学校教育費は174万7782円と試算することができます。
 

まとめ

幼稚園から高校までの15年間の学校教育費(公私別合計額)は、全て公立なら190万4142円、全て私立なら1160万5719円です。この金額は、文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」に基づいて計算したものです。
 
高校の授業料の負担を軽減する制度として、「高等学校等就学支援金制度」があります。この制度は、所定の要件を満たすことで、高校の授業料に充てるための支援金を受け取れるというものです(支援金を受け取るのは都道府県や学校であり、学生本人ではありません)。
 
この制度を利用することで、公立高校の学校教育費は、年額25万7141円と試算できます。ただ、この金額を根拠に「高校実質無償化によって家計が楽になった」とはいえないでしょう。なぜなら、公立高校の授業料は、以前の制度でも“不徴収”であり、それが「高等学校等就学支援金制度」によって“実質無償”になったところで、家計に与える影響に変化はないからです。
 
「高等学校等就学支援金制度」の恩恵を受けるのは、むしろ私立高校に入学した場合ではないでしょうか。私立高校に進学した場合、この制度を利用することで年額最大39万6000円の支援金を受けることができます。もちろん、公立高校の授業料に比べれば負担は大きいですが、支援金の恩恵が大きいのも事実です。
 
教育費は人生の三大費用といわれるように、その負担は大きいです。しかし、その発生時期は予測可能であるため、早めに計画を立てることで対応することができます。本記事を参考に、無理のない資金計画を立てていただけたら幸いです。
 

出典

文部科学省 令和3年度子供の学習費調査 令和3年度子供の学習費調査の結果について
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査 1.調査の概要
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査 2.調査結果の概要
文部科学省 高等学校等就学支援金制度
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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