【国民年金】学生納付特例制度を使用すると、将来の年金額は年6万円減る?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月24日 23時40分
日本に居住する全ての人は、20歳になると国民年金に加入する義務があります。国民年金に加入すると、定められた額の国民年金保険料を納めなければなりません。学業をこなしながらお金を貯め、毎月保険料を納めるのは負担だと感じる方も多いのではないでしょうか? そんな方のために、保険料の支払いを猶予する「学生納付特例制度」というものがあります。ただ、この制度を使用すると、将来の年金額が減ってしまうという話も! 一体、どういうことでしょうか? 本記事では、学生納付特例制度について紹介し、制度によって将来の年金額が減るのか、もし減る場合はどれだけ減るのか解説します。 これから20歳を迎える方やその親御さんは、ぜひ参考にしてください。
「学生納付特例制度」とは
「学生納付特例制度」とは、大学や短大、高専などに在学する学生が申請することによって、在学中の国民年金保険料の支払いが猶予される制度です。本人に扶養家族がおらず社会保険料控除もない学生の場合、所得が128万円以下であれば制度が利用できます。
勘違いしないでいただきたいのは、この制度は支払いを免除するものではなく、あくまでも支払いを「猶予」するだけのものであるということ。猶予されていた分を後からさかのぼって納付しないと、老後に受け取れる国民年金額が減ってしまいます。
では、学生納付特例制度を申請する意味は何なのでしょうか?
それは、制度が適用されていた期間は国民年金の受給資格期間に含まれる、ということです。老後に年金を受け取るためには、最低10年、国民年金に加入している必要があるのですが、学生納付特例制度を利用していた期間も加入期間に含めることができるのです。
さらに、国民年金が給付されるのは老後だけではありません。病気やけがで身体に障害が残ってしまったときや、一家の働き手が亡くなってしまった場合にも、障害基礎年金や遺族基礎年金が給付されます。学生納付特例制度を申請せず未納のままでいると、これらの給付も受けられなくなってしまいます。
学生納付特例制度を使うと、将来の年金額はいくら減るか計算
学生納付特例を使い、後から猶予されていた分を納付(追納)しなかった場合、将来の年金額はいくら減るのでしょうか? 4年制大学に通い、2年生の4月に20歳を迎えたAさんの例を考えてみましょう。
厚生労働省の発表によると、令和5年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は79万5000円。2年生の4月から4年生の3月まで学生納付特例を利用すると、まるまる3年間保険料を納付していないことになります。国民年金は40年間加入すると満額受給できますから、
79万5000円×(3年/40年)=5万9625円。
よって、1年に受給できる国民年金がおよそ6万円減ってしまうことになります。
年金額を減らさないために追納がおすすめ
学生納付特例制度を3年間利用することで、将来受け取れる年金の年額が約6万円減ってしまうと分かりました。月額にすると、約5000円減ることになります。国民年金の月の満額は6万6250円のため(令和5年度)、ここから5000円減額されるのはかなり厳しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
将来の年金額を減らさないためには、保険料の追納をするとよいでしょう。学生納付特例で支払いを猶予してもらっていた保険料は、10年以内であれば、さかのぼって納めることができます。
ただし、学生納付特例期間が終わって3年度目以降に追納する場合、支払額が加算されてしまいます。就職後、なるべく早いうちに追納することをおすすめします。
まとめ
国民年金保険料の支払いを猶予してくれる学生納付特例制度。あくまでも猶予のため、そのままにしておくと年金受給額が減ってしまいます。将来、満額の国民年金を受け取りたい方は、早めに追納することをおすすめします。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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