独身で「年金受給前」に死亡すると「払い損」!? これまで払った年金保険料はどうなるの?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月25日 2時20分
現役世代が保険料を支払うことで、高齢世代など現在年金を受け取っている人の暮らしを支えるのが公的年金制度です。 現役世代にとっては、年金の保険料は日々の生活で負担に感じられることがあるかもしれませんが、保険料の支払いは国民の義務であり、将来、自身が年金を受け取るためにも支払う必要があります。それでは、年金を受け取る前に亡くなった場合は、どのようになるのでしょうか? そこで本記事では、年金を受け取る前に亡くなった場合に、受け取るはずだった年金はどのようになるのかについて解説します。独身の場合についても触れるので、参考にしてください。
遺族が遺族年金を受け取れる
年金を受け取る前に亡くなった場合、当然ですが保険料を支払っていた人は受け取ることはできません。しかし、要件を満たせば、その遺族が遺族年金として受け取ることができます。遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。
遺族基礎年金
「死亡した際に国民年金の被保険者であること」、「日本国内に住所がある人で、死亡した際に国民年金の被保険者だった60歳以上65歳未満の人であること」、「死亡した人が老齢基礎年金の受給権者であること」、「死亡した人が老齢基礎年金の受給資格を満たしていること」という4つの要件を1つでも満たしている場合に、遺族が受け取れる年金です。
遺族厚生年金
遺族厚生年金とは以下の5つの要件のうち、1つでも満たしている場合に遺族が受け取れる年金です。
●死亡した際に厚生年金保険の被保険者である
●厚生年金の被保険者である期間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡した
●1級もしくは2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている人が死亡した
●死亡した人が老齢厚生年金の受給権者である
●死亡した人が老齢厚生年金の受給資格を満たしている
遺族年金の対象者
遺族年金は、受け取れる対象者が決まっています。遺族基礎年金と遺族厚生年金で異なるので注意してください。
遺族基礎年金の対象者
遺族基礎年金の対象者は、死亡した人に生計を維持されていた「子のある配偶者」と「子」です。「子」については、18歳になった年度の3月31日までの人、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の人です。
生計を維持されていた、という状態は、同居している場合だけでなく、別居をしていても仕送りを受けている場合も含まれます。また、前年の収入が850万円未満であること、所得が655万5000円未満であることも必要な要件です。これらの要件を満たすと、生計を維持されていたとみなされます。
遺族厚生年金の対象者
死亡した人に生計を維持されていた人で優先順位の高い人です。妻、子、夫(死亡した時点で55歳以上である場合)、父母(死亡した時点で55歳以上である場合)、孫、祖父母(死亡した時点で55歳以上である場合)が対象で、妻の優先順位がもっとも高くなっています。
独身の場合はどうなる?
独身者の場合はどうなるのか、あてはめてみると、子のある配偶者や子がいないため、遺族基礎年金については対象者がいないことになります。そのため、遺族基礎年金を受け取ることはできません。しかし、遺族厚生年金については対象者がいる場合が考えられます。例えば、55歳以上の父母や祖父母が存命の場合です。
また、生計を維持されていた父母や祖父母、兄弟姉妹については、死亡した人が国民年金の第1号被保険者として保険料を36ヶ月以上納付している場合は、死亡一時金を受け取れます。老齢年金を受け取る前に死亡してしまうと、保険料の払い損と感じてしまうかもしれません。
しかし、「遺族年金」「障害年金」として受け取れる場合もあるため、万が一の保険と考えておくと良いでしょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 さ行 生計維持
日本年金機構 死亡一時金を受けるとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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