【2023年5月から値下げ?】電気料金の明細書に小さく書かれている「再エネ賦課金」って何?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月26日 23時20分
毎月送られてくる電気料金の明細書に、「再エネ賦課金」という項目があるのをご存じでしょうか。この賦課金、実は2012年から徴収されているものです。しかし、詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、今さら聞きにくい再エネ賦課金についてと、2023年度の改正後、5月からの徴収料金にどのような変化があるのかについて解説します。
再エネ賦課金とは
再エネ賦課金は「さいエネふかきん」と読み、正式名称は、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。これは、電力会社が買い取りする再生可能エネルギー費用の一部を消費者が負担するものであり、毎月の電気料金から徴収されています。
再生可能エネルギーとは、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」の5つ。国は、再生可能エネルギーの普及に努めることは日本のエネルギー自給率の向上につながるとして、2012年に「固定価格買取制度(FIT)」を設けました。
再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取り、私たちが使う電気の一部に供給することで、消費者もその一部を「再エネ賦課金」という形で負担するという仕組みです。
再エネ賦課金の「単価」は年度ごとに経済産業大臣によって決定されており、単価 × 1ヶ月の使用電力量で計算されます。これは全国一律であり、請求する電力会社や電気料金プランによって異なるということはありません。
日本の再エネ導入比率は諸外国と比較してもまだ途上にあり、発電コストも割高であるため、再エネ賦課金は2012年度のスタート時から2022年度まで、年々少しずつ値上がりしてきているのが現状です。
例えば、電力を月400kWh使用した場合の一般的な家庭の賦課金は、2012年度で88円だったのが、2017年度で1056円になり、2022年度においては1380円にまで膨れ上がっています。
再エネ賦課金が2023年5月以降値下げになるって本当?
年々増加傾向にあった再エネ賦課金ですが、2023年度の単価が1kWh当たり1.40円と決定され、2022年度の3.45円よりなんと2.05円も安くなることが分かりました。
これを月400kWhの電力を使用する一般家庭モデルで計算すると、月560円となり、2022年度より月820円も安いということになります。経済産業省は、この理由をウクライナ危機による電気の市場価格高騰などによると発表しました。
つまり、再エネで発電した電気が高く売れるようになってきたため、それに伴い賦課される負担額も減り、引き下げにつながったというのが理由の1つです。
加えて、政府によるエネルギー価格の負担軽減策として、2023年2月請求分から電気・ガス・ガソリン料金の値引きを実施しているのをご存じでしょうか?
電気料金に関しては、月400kWhの電力を使用する一般家庭モデルで月2800円が値引きされる計算となります。つまり、再エネ賦課金の値下げ分を入れると、2023年5月以降は2022年度に比べて3620円安くなるということです。
ただし、この政府による負担軽減策は、2023年4月現在、9月使用分までを対象(9月使用分のみ単価が半減)としています。
今後の動向を注視しよう
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーの電力買い取りの一部を、消費者側も負担しているものです。単価は年度ごとに決定され、毎月の電気料金から引かれていますが、2023年度から適用される賦課金は、再エネ賦課金がスタートして以来、初めての値下げとなりました。
しかしながら、大手電力会社数社が電気料金の値上げを国に申請しているため、この電力値下げの状態がいつまで続くかは未定です。今後の動向を注視していきましょう。
出典
経済産業省 FIT・FIP制度 制度の概要
経済産業省 再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買い取り価格等と2023年度の賦課金単価を設定します
経済産業省 資源エネルギー庁 再エネのコストを考える
経済産業省 電気も都市ガスもガソリンもエネルギー価格の負担軽減策が始まっています
経済産業省 電気・都市ガスをご利用するみなさまへ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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