「ねんきん定期便」はどこを見ればいい? 忙しい人でも「必ずチェックしておきたいポイント」を解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月25日 23時30分
毎年の誕生月に日本年金機構から「ねんきん定期便」が送られてきますが、内容を確認していない人も多いのではないでしょうか。今回は、ねんきん定期便の種類のほか、必ずチェックしておきたいポイントについて解説します。
ねんきん定期便には2種類がある
ねんきん定期便は図表1のとおり、年齢によって送付される形式や記載内容が異なります。
図表1
日本年金機構 「ねんきん定期便をお届けしています」を基に筆者作成
通常、ねんきん定期便はハガキで届きますが、35歳、45歳、59歳の節目の年には封書で送られてきます。
ハガキのねんきん定期便には直近(13月)の月別の加入状況が、封書の場合は全期間の月別の加入状況が記載されています。
また、50歳未満の人に届くねんきん定期便には、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されていますが、50歳以上の人では、60歳まで今の働き方を続けた場合に受給が見込まれる年金額(見込額)の記載となります。
ねんきん定期便のチェックポイント
ねんきん定期便には多くの情報が記載されていますが、以下の項目については必ず確認しましょう。
1.「これまでの年金加入期間」
ねんきん定期便には「これまでの年金加入期間」という表があります。この表には、これまでに加入した年金制度とその加入月数が、国民年金、厚生年金、船員保険別に記載されています。
国民年金の欄に記載されているのは、第1号被保険者として保険料を納付および免除された期間の月数と、第3号被保険者の期間の月数です。
また、厚生年金の欄には会社員などの一般厚生年金、国家公務員や地方公務員の公務員厚生年金、私立の学校職員の私学共済厚生年金別に加入月数が記載されています。
そして、年金加入期間の合計と合算対象期間等を合わせた受給資格期間が記載されていますが、老齢年金を受給するためには、この受給資格期間が120月以上必要となります。
加入期間に応じて老齢年金の額が変わりますので、保険料の納付期間や加入期間といった年金記録に誤りや漏れがないか確認しましょう。
2. 「最近の月別状況です」(ハガキ形式)
ハガキ形式にある「最近の月別状況です」の欄には、直近13月の国民年金の納付状況や厚生年金の加入状況が月ごとに記載されていますので、漏れや誤りがないことをチェックしましょう。
3. 「これまでの『年金加入履歴』」(封書形式)
封書形式にある「これまでの『年金加入履歴』」の欄には、これまでの年金の加入状況が時系列で記載されていますので、漏れや誤りがないか確認してください。
特に、転職などにより加入する年金が切り替わったことがある人は、資格を失った年月日から次の資格を取得した年月日に空白の期間がないか、確認するといいでしょう。
この欄の下方には、受給資格期間の詳細な内訳が記載されていますので、国民年金の保険料が免除された月数や未納の月数も確認できます。
4. 「老齢年金の種類と見込額(年額)」(50歳以上)
50歳以上の方のねんきん定期便には「老齢年金の種類と見込額(年額)」が記載されています。見込額とは、60歳になるまで現在と同じ働き方を続け、年金の加入条件が継続すると仮定して計算された年金額です。見込額を確認して、老後の生活設計に役立てるといいでしょう。
ねんきん定期便をチェックした後の対処方法
ねんきん定期便を確認して、加入状況など年金記録の記載に漏れなどがあったときや、将来の年金見込額に不足を感じた場合などの対処方法について解説します。
1. 年金記録に漏れや誤りがあった場合
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務付けられています。
もし、20歳から最新のねんきん定期便を受け取った年齢までの年金加入記録に不連続の期間がある場合は、職歴などと照合して、その原因を確認しましょう。年金加入記録の記載内容に漏れや誤りがあったときは、お近くの年金事務所に相談してください。
なお、封書形式のねんきん定期便には「年金加入記録回答票」と返信用封筒が同封されていますので、必要事項を記入して返送することができます。
2. 受給資格期間を満たしていない場合
老齢年金を受給するためには前述したとおり、受給資格期間が120月(10年)以上あることが必要です。
59歳の節目の年に受け取るねんきん定期便で、受給資格期間が120月に満たないことが判明した場合は、60歳以降も国民年金に任意加入(厚生年金の被保険者を除く)して、65歳までに少なくとも120月を満たすようにしてください。
3. 老齢基礎年金の見込額が少ない場合
老齢基礎年金は、20歳から60歳まで40年間(480月)の国民年金の加入期間で保険料を納付した月数などに応じて年金額が計算されます。40年間の保険料をすべて納めた場合(厚生年金の被保険者または被扶養配偶者の期間を含む)、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。
国民年金保険料の未納期間があったり、免除や納付を猶予された期間があったりする場合は、50歳以上のねんきん定期便に記載されている老齢基礎年金の見込額が満額より少なくなります。
こうしたケースでは、満額の老齢基礎年金を受給するために免除・猶予を受けた期間については保険料を追納してください。保険料を追納できるのは、追納の承認を受けた月から前10年以内の免除・猶予期間に限られますので早めに手続きを行いましょう。
また、60歳の時点で国民年金保険料の納付済期間が480月に満たない場合、60歳以降も国民年金に任意加入(厚生年金の被保険者を除く)して老齢基礎年金を満額に近づけることができます。
「ねんきんネット」も活用
日本年金機構が運営している「ねんきんネット」は、インターネットを通じて年金の加入状況の確認や年金見込額の試算などをいつでも行える便利なサービスで、以下のようなことが可能です。
●年金記録の確認
●将来の年金見込額の試算
●追納などが可能な月数と金額の確認
●電子版「ねんきん定期便」の閲覧
●郵送された各種通知書の確認
●持ち主が不明な年金記録の検索
ねんきんネットを利用するためには、マイナポータルから登録、またはユーザIDを取得して登録する必要があります。
マイナポータルでの登録にユーザIDは不要ですが、マイナンバーカードを作成していない人などでユーザIDが必要となる場合でも、申込時にねんきん定期便に記載されている「アクセスキー」を使用すれば即時に取得できます。
ただし、アクセスキーの有効期限はねんきん定期便が届いてから3ヶ月となっている点に注意が必要です。
まとめ
毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」には、年金に関するさまざまな情報が記載されています。忙しい人でも、年金の加入状況と老齢年金の見込額(50歳以上の人)はチェックするようにしましょう。
年金の加入記録に漏れや誤りがあった場合はただちに年金事務所に届け出るほか、免除や猶予を受けている保険料はできるだけ早めに追納し、受給資格期間や保険料納付済期間が十分ではないときは国民年金の任意加入を検討してください。
出典
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
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