4~6月に残業をすると手取りが減るのは何故?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月26日 13時0分
4月~6月に残業を多くしたものの、同年9月から急に手取りが減ってしまったと悩んでいませんか? 9月、10月頃から急に給与額が減ったのは、標準報酬月額が関係しています。標準報酬月額が高くなればなるほど9月以降の給与に影響を及ぼすため、残業時間を考慮する必要があります。 ここでは、4~6月に残業をすることで手取りが減る理由について解説します。標準報酬月額が上がることでのメリットも紹介しましょう。
「標準報酬月額」について
安定していた給与が突然減額されて困っている人も多いでしょう。9月、10月から減額された場合は、標準報酬月額が関係している可能性が高いといえます。ここでは、標準報酬月額とは何か、手取りとどのような関係があるのかを解説します。
標準報酬月額とは?
標準報酬月額とは、勤務先から受け取る給与を区切りのよい幅で区分したものです。これとは別に、税額を差し引く前のボーナス額を1000円未満で切り捨てる標準賞与額があり、これらの2つから健康保険と厚生年金保険の額が設定されます。
標準報酬月額の決まり方
標準報酬月額は、毎年7月1日に4~6月の平均給与額から算出されます。毎年7月1日に算出されることを定時決定といい、結果は同年9月~翌年の8月まで適用されるため、1年間は同じ手取り額だと思っておきましょう。
被保険者の固定賃金の改定が行われた場合は随時改正が行われます。増額、減額された金額が3ヶ月間続いた場合、再度標準報酬月額を決定して、同年8月まで適用されます。
「標準報酬月額」と手取りの関係性
標準報酬月額と標準賞与額によって健康保険と厚生年金の額が決まるため、9月から差し引かれる金額に応じて手取り額が決まります。会社に勤務している人は、毎月の給与から社会保険料と厚生年金の費用が天引きされているでしょう。給与から差し引かれたものが手取りとなります。
手取り額は差し引かれる金額に応じて異なります。固定賃金が変わっていなくても、差し引かれる額が高くなれば給与も減額するのです。次の例を見ましょう。
東京都に住む会社員のAさんは、固定賃金として24万円の給与をもらっています。標準報酬月額は24万円、社会保険料として1万2000円、厚生年金保険料として2万1960円を月々納めなければなりません。
基本的には残業のないAさんですが、4~6月の期間中は特に忙しく、毎日残業をして月々の給与が28万円でした。この場合は標準報酬月額が28万円、社会保険料として1万4000円、厚生年金保険料として2万5620円を納める必要があります。
標準報酬額が4万円アップすると、月々に差し引かれる金額が3万3960円から3万9620円に上がります。そのため、手取り額にも大きく影響するのです。
標準報酬額が上がることでのメリット
標準報酬額が上がると9月、10月からの手取り額が減るデメリットがあるものの、見逃せないメリットもあります。得られるメリットは以下の通りです。
●傷病手当金の支給額がアップする
●各厚生年金額がアップする
●出産手当金の支給額がアップする
3つは標準報酬額を元に算出されるため、高ければ高いほど受給できる金額も上がります。万一の際に活用できる傷病手当金、出産のために仕事を休む際の出産手当金、老後に欠かせない各厚生年金額がアップするため、場合によっては大きなメリットとなるでしょう。
標準報酬額のアップにはメリットもデメリットもある
標準報酬額や標準賞与額が上がると9月からの手取りが少なくなることは、働き手にとって大きなデメリットです。残業をしている月に多くの収入を得たとしても、同年9月から翌年8月まで手取り額が低くなることを考えると、大きな損失になるでしょう。
標準報酬額が上がれば傷病手当金や出産手当金がアップするメリットもあります。老後の助けとなる各厚生年金額も上がるため、デメリットばかりではないことを覚えておきましょう。
出典
日本年金機構 年金Q&A(厚生年金保険の報酬月額と保険料納付額、国民年金保険料の納付状況について)
全国健康保険協会 標準報酬月額・標準賞与額とは?
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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