老親との同居で58万円の扶養控除!? 同居によるメリット・デメリットは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月27日 5時0分
納税者本人や配偶者の両親や祖父母で、同居をしているなら、扶養親族にすることが可能です。しかし、扶養親族にするとはいっても具体的にどんなメリット・デメリットがあるのかを理解していない人も多いのではないでしょうか。 所得税法上の老人扶養親族である同居老親等がいる場合、58万円の所得控除を受けられます。その他にも、保険料の負担なしで納税者本人の健康保険に加入することも可能です。 本記事では、老親との同居で受けられる扶養控除をはじめ、老親と同居するメリット・デメリットや注意点をまとめているので、参考にしてみてください。
老親との同居で受けられる扶養控除とは?
扶養控除とは、納税者に税法上の控除対象扶養親族がいる場合に受けられる所得控除です。納税者の子どもだけでなく、所得税法上の老人扶養親族である同居老親等がいる場合に58万円の所得控除を受けられます。
納税者の収入から扶養控除額を差し引き、所得税や住民税の税率が掛けられる課税所得金額が少なくなり、支払う税金の負担軽減が可能です。
老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち70歳以上(当年の12月31日現在の年齢)の人を指します。また、所得控除を受けるには以下の要件に該当する必要があります。
1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童や市町村長から養護を委託された老人である
2. 納税者と生計を一にしている(配偶者、青色事業専従者として給与の支払いを受ける人を除く)
3. 年間の合計所得金額が48万円以下である
※1に該当する人が給与所得を得ている場合、給与収入が103万円以下である
4. 青色申告者の事業専従者でその年に一度も給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でない
扶養親族に該当する同居老親等とは?
老人扶養親族の同居老親等とは、以下の要件を満たす人が該当します。
●納税者や配偶者の直系尊属である
●納税者や配偶者と常に同居している
直系尊属とは、納税者本人や配偶者の両親や祖父母を指します。また、常に同居していることが条件となるため、介護老人福祉施設などで入所している場合は該当しません。
老親と同居するメリットとは?
老親と同居するメリットは、以下のとおりです。
●扶養控除で節税を期待できる
●保険料の負担なしで納税者である子の健康保険に加入できる
メリット別に内容を解説します。老親と同居して納税者の扶養に入ることで、税負担が少なくなったり保険料を支払わずに健康保険に加入できたりするなど、節約効果が高い点がメリットと言えるでしょう。
扶養控除で節税を期待できる
老親を税法上の扶養に入れることで、納税者は扶養控除を受けて所得税や住民税の節税効果を期待できます。実際に節税できる金額は、納税者の課税される所得によって所得税の税率が異なるため、一概にどのくらいなのかは言い切れません。
なお、老親の給与収入が年間103万円を超えるなど、扶養親族から外れた場合は規定通りの納税が必要です。
保険料の負担なしで納税者である子の健康保険に加入できる
国民健康保険では、老親を扶養に入れられません。しかし、納税者である子どもが社会保険に加入していれば、同居する老親を健康保険上の扶養に入れることが可能です。その際に老親が負担する保険料を0円にできます。
ただし、老親が75歳に到達した際には、後期高齢者医療制度への加入義務が発生するため、社会保険の扶養からは外れます。
老親と同居するデメリット・注意点とは?
老親との同居にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットや注意点があります。
●高額療養費の自己負担額が高くなる
●介護保険料や介護サービスの利用料が上がる場合がある
デメリット・注意点別に、以下で内容をまとめています。老親との同居は、金銭的負担が増える場合があるため、メリットとデメリットのそれぞれを比較したうえで判断する必要があるでしょう。
高額療養費の自己負担額が高くなる
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口での支払額が1ヶ月あたりの上限額を超えた場合の超過分を支給する制度です。その際の自己負担上限額は所得に応じて決まります。
70歳以上の人の自己負担上限額は「現役並み」「一般」「住民税非課税等」の3つに分けられていますが、老親を扶養親族に入れると納税者本人の所得で分類されます。年金収入のみで一般の区分に該当する人の1ヶ月あたりの外来上限額は1万8000円です。
しかし、納税者本人である子の扶養親族になることで、1ヶ月あたりの外来上限額が上がります。
介護保険料や介護サービスの利用料が上がる場合がある
老親と同居して扶養親族にすることで、介護サービスの利用料が上がる場合があります。なぜなら、前年の合計所得と公的年金収入の合計額が年間80万円以下の世帯なら、介護サービスの負担額の上限は2万4600円だからです。
しかし、老親を扶養親族にして生計を一にした場合は上限が4万4400円にまで上がり、月額で約2万円の負担増となります。
メリット・デメリットを十分に理解して老親を扶養親族にするか検討しよう
一定の要件を満たせば、納税者本人や配偶者の両親や祖父母を扶養親族にすることが可能です。老親の所得が大きいなどの一部のケースを除いて、支払う税金や健康保険の保険料を節約できるメリットがあります。
老親との同居を検討していたり、すでに同居をしていたりするものの扶養に入れていない人は、メリットとデメリットのそれぞれを把握したうえで老親を扶養親族にするかどうかを検討してみてください。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
厚生労働省 月々の負担の上限(高額介護サービス費の基準)が変わります
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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