退職金が「2000万円」の場合、手取りはいくらになる? 勤続年数によっては「損」になる場合もあるって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月28日 11時20分
退職金は多くの企業で採用している制度です。特に定年退職の場合は、退職金を老後の生活費やローンの返済などにあてたいと考えている人も多いと思います。しかし、退職金は額面通りには受け取れません。金額や勤続年数によっては手取りが減ってしまうこともあります。本記事では、退職金の手取りの計算方法について解説します。
課税される退職金の計算方法
退職金は受け取り方によって控除が異なりますが、ここでは一時金として受け取った場合を想定します。一時金として受け取った退職金は退職所得としてみなされます。退職所得の金額は原則として、「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算します。
退職所得控除
退職所得控除は勤続年数によって計算式が異なります。勤続年数が20年以下の場合は「40万円×勤続年数」です。控除の金額が80万円未満の場合は80万円が退職所得控除の金額になります。勤続年数が20年を超える場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」です。勤続年数が長い場合は、控除の額が大きくなります。
退職金が2000万円の場合は?
退職金が2000万円、勤続年数が22歳から60歳までの38年の会社員を例に計算します。
まず、勤続年数が20年を超えているので、計算式は800万円+70万円×(38年-20年)となり、2060万円が退職所得控除の金額です。この場合は、退職金の2000万円よりも控除額が大きいので、課税対象になりません。そのため、退職金が原因で所得税や住民税がかかることもないといえます。
退職金が2000万円、勤続年数20年の場合
退職金が同じく2000万円で、勤続年数が20年の場合はどのようになるのでしょうか?
勤続年数が20年以下となるので、計算式は40万円×20年で800万円が退職所得控除の金額です。この金額を収入金額から引き、半分にしたものが課税される退職金の金額です。つまり、(2000万円-800万円)×1/2となり、600万円が課税対象となります。
退職所得が600万円の場合は「600万円×20%-42万7500円」で77万2500円が所得税として引かれてしまいます。また、住民税は「所得金額×10%」の所得割と一律5000円の均等割で計算されるので、60万5000円です。
合計額として137万7500円が引かれることになります。2000万円からこの金額を引くと、1862万2500円です。同じ2000万円の退職金だったとしても、大きな差があることが分かります。
申告書の提出が必要
基本的に退職金は源泉徴収によって課税されます。しかし、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出することが必要です。退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合は確定申告をする必要があります。
また、この場合は退職金に20.42%の税金がかかってしまうので注意が必要です。退職金が2000万円の場合は81万6800円が源泉徴収されるので、1918万3200円の手取りとなります。
勤続年数を意識して退職金を考えてみましょう
退職金で重要なのは金額と勤続年数です。特に勤続年数が20年を超える場合と20年未満の場合では、退職所得控除の計算式が変わってきます。そのため、退職金を多く受け取るためには勤続年数を21年以上にするとよいでしょう。
1年未満の端数は切り上げられるので、例えば、勤続年数が20年1ヶ月の場合は21年となります。勤続年数が20年ちょうどの場合と20年1ヶ月の場合では退職所得控除の計算式が変わるので、注意しましょう。
出典
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 退職金と税
国税庁 No.2732 退職手当等に対する源泉徴収
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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