【驚愕】退職後の住民税が「10万円」!? 退職月によって「高額請求」を防げる場合もあるの?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月28日 11時20分
会社を退職して新たな生活に踏み出したとたん、住民税の納付書が届き、その金額に衝撃を受けた人もいるかもしれません。会社員として働いていた人の場合、住民税が万円単位の請求になれば、退職後の家計を圧迫しかねません。 本記事では、退職後に住民税の請求が届く理由と、高額請求にならないための退職月の選び方について解説します。
住民税の仕組み
まず、住民税の仕組みについて簡単に確認しましょう。
住民税とは所得税と同様、個人に課される税金で、居住地の都道府県と市区町村へ支払います。住民税は定額の「均等割」と、課税所得に比例する「所得割」の2つで構成され、基本的には年収が高い人ほど住民税も高くなる仕組みとなっています。
住民税の納付方法
住民税の納付方法には「特別徴収」と「普通徴収」があります。
特別徴収とは、勤務先の会社が納税者本人に代わって納付する方法で、納税資金は納税者本人の給与から住民税を天引きする形で徴収されています。居住地と給与の天引きサイクルによって若干異なりますが、基本的に前年分の住民税が当年6月から翌年5月で天引きされる仕組みとなっています。
つまり、住民税は「後払い」なのです。例えば、2023年5月に天引きされる住民税は、2021年分の所得に対する住民税ということになります。
なお、会社員の給与に対する住民税の納付方法に選択肢はありません。会社が特別徴収義務者となり、会社員は強制的に特別徴収が適用される仕組みとなっているからです。
図表1
東京都主税局 個人住民税
これに対して普通徴収とは、納税者本人に直接住民税の納付書が届き、銀行窓口などで納付する方法です。一括払い、または4回の分割払いが選択できます。普通徴収は、個人事業主や年金受給者など会社員以外に適用される納付方法です。
退職後に住民税が届くのは普通徴収に変更されるから
特別徴収で住民税を支払っている人が退職した場合、会社は市区町村役場へ「給与所得者異動届出書」を提出します。届け出が受理されると住民税の納付方法が、特別徴収から普通徴収に切り替わります。そして、退職によって給与から天引きできなくなった住民税については、納税者本人が支払うよう住民税の納付書が届く仕組みになっています。
ただ、退職月によっては会社が残りの住民税についても特別徴収で納付する場合もあります。退職のタイミングによって手続きがどのように異なるか、それぞれ見ていきましょう。
6月1日~12月31日までの退職の場合
この場合には基本的に前述した通りの流れで、退職月以降の住民税は普通徴収によって支払います。ただし、会社へ残りの住民税を一括徴収してほしい旨を申し出ることもできます。退職後に自身で納めるのが面倒で、資金があるうちに支払っておきたいなどの場合には、あらかじめ会社に相談するとよいでしょう。
翌年1月1日~4月30日までの退職の場合
この期間に退職する場合には、原則として会社は納税者本人からの申し出がなくても残りの住民税を一括徴収することになっています。
ただし、「死亡退職の場合」や「一括徴収すべき住民税が退職手当等の金額を超える場合」は一括徴収不要という例外規定があります。退職金がない、あるいは最後の給与が税額より少ない場合には普通徴収に切り替えられるでしょう。
住民税は「高い」
住民税の所得割の税率は一律10%となっており、所得税の税率が5%になる可能性が高い年収400万円程度の人にとっては所得税の2倍の負担になります。
具体的な住民税の金額は、一般的な所得控除のみとした場合で17万円程度であり、特別徴収が5ヶ月済んだ時点で退職した場合には、残り7ヶ月分10万円の請求が届くことになります(※実際の請求額は状況によって異なる場合があります)。
特別徴収で住民税の負担を実感する機会が少なかった元会社員の人にとっては、こうした請求額を「高い」と感じるかもしれません。できるだけ住民税の負担を少なく退職したいという場合には、特別徴収の最終月である5月に近い月を選ぶとよいでしょう。
住民税は後払いであることを忘れずに
退職後の住民税を払った後、もう1回住民税の納付書が届くことにも注意が必要です。例えば、2023年3月に退職したとすると、特別徴収で支払っていない住民税は2023年4月と5月分になり、その分は一括徴収や普通徴収によって支払うことになるでしょう。
ただし、これは2021年分の住民税なので、2022年分の住民税はまだ支払っていない点を忘れないようにしましょう。2023年5月ごろには新たに1年分の住民税の納付書が届くことになります。
まとめ
退職後は住民税を給与から天引きできなくなるため、普通徴収へ変更され、住民税の納付書が退職後に届くことなります。特別徴収の最終月である5月に近いほど、未徴収の住民税は少なくなります。
反対に特別徴収の新年度になる6月の退職では、11ヶ月分の住民税が未徴収になるということです。直接的な支払いの負担を減らしたい場合には、住民税の残額を踏まえて退職のタイミングを選ぶとよいでしょう。
出典
東京都主税局 個人住民税
東京都主税局 個人住民税(区市町村民税・都民税) 特別徴収の事務手引き
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士
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