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「足音がうるさい」とアパートを追い出されるのは「仕方ない」? 引っ越し代は請求できる?

ファイナンシャルフィールド / 2023年4月29日 10時20分

「足音がうるさい」とアパートを追い出されるのは「仕方ない」? 引っ越し代は請求できる?

アパート(賃貸住宅)に住んでいると、下の階の住人から「足音がうるさい」という苦情が出ることがあります。もちろん、普通に生活しているだけなので、苦情が出たからといって黙って退去する必要はありません。   では、もし階下の住人や大家ともめるのが嫌で退去するとしたら、その引っ越し代を請求することは可能なのでしょうか。「足音がうるさい」という苦情を言われたときの対応策とともに解説します。

苦情があっても黙って退去する必要はないケースとは

階下の住人から「足音がうるさい」という苦情が出されても、その音が「受忍限度」の範囲内や賃貸借契約違反でなければ退去する必要はありません。
 

・普通の足音は「受忍限度」の範囲内?

うるさいと感じる音量は人によって異なるため、アパートにおいて音を問題として退去を命じるためには、客観的な指標が必要になります。その際の目安として用いられるのが「受忍限度」です。
 
受忍限度は「社会生活を営む上で、被害の程度が社会通念上我慢するべき限度」と定義されています。まったく足音を発生させずに生活するのは不可能です。
 
階下に気を付けながら生活している人の足音が受忍限度を超えるとは考えにくいため、その程度の音は退去を命じられるほどの騒音ではないと考えられます。
 

・賃貸借契約違反でなければ退去の必要なし

アパートを借りる際には賃貸借契約書にサインをします。賃貸借契約書には賃料や契約期間だけでなく、賃借人が守るべき複数のルール(用法遵守義務)が明記されていて、契約の解除規定もその1つです。
 
例えば、その規定の中に「小さな足音であっても苦情が出れば契約を解除できる」といった文言があれば退去命令に応じる必要が生じますが、そのような規定がなければ退去する必要はありません。一般的に、賃貸借契約書にはそのような文言は書かれていません。
 

取りあえず応急的な対策を施してみよう

普通に生活していて発生する足音に対する苦情で退去する必要はありません。ただし、階下の住人が音に敏感であるならば、苦情対策として厚めのカーペットや防音コルクマットなどを敷いたり、底が厚めのスリッパを履いたりしてみてもいいかもしれません。
 

引っ越しを決めた場合には「立ち退き料」を請求しよう

応急的な対策を施しても苦情が止まらない場合は、足音が原因ではない可能性があります。正当な理由がないのに文句を言うクレーマーの可能性もあるため注意が必要です。
 
また、足音が受忍限度の範囲内で賃貸借契約書にも違反していないのに、このような苦情を受け入れて退去を求める大家の対応も非常識であるといえます。
 
このような人たちともめるのは精神衛生上良くないため、さっさと引っ越すのが得策かもしれません。問題は、その場合の引っ越し代です。足音が受忍限度の範囲内で賃貸借契約違反でもないのに、自分が引っ越し代を出すのは納得できないでしょう。
 
この場合は、大家の都合による退去ということで、立ち退き料の請求が可能です。立ち退き料は、家賃の6ヶ月~12ヶ月分程度が一般的で、引っ越し代の他にも新居の初期費用や慰謝料などを請求できます。
 
ただし、立ち退き料に法的な規定はないため、大家ときちんと話し合うことが大切です。折り合いがつかない場合は、民事訴訟の検討も必要になります。
 

引っ越す場合は、その費用とともに新居の初期費用や慰謝料も忘れずに請求しよう

足音が受忍限度の範囲内で賃貸借契約違反でもない場合は、階下の住人の苦情を受け入れた大家が退去を求めてきても応じる必要はありません。
 
ただし、このような住人や大家ともめ続けるのが嫌な場合は、大家に立ち退き料を請求した上で引っ越してしまう方法もあります。
 
その際には、引っ越し代だけでなく新居の初期費用や慰謝料も忘れずに請求してください。
 

出典

公益社団法人全日本不動産協会 アパートにおける騒音クレーム
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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