【税制改正】 相続税の「生前贈与加算期間」が7年に延長!今後相続税対策はどうするべき?
ファイナンシャルフィールド / 2023年4月29日 0時30分
![【税制改正】 相続税の「生前贈与加算期間」が7年に延長!今後相続税対策はどうするべき?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_203396_0-small.jpg)
昨年12月、令和5年度税制改正の大綱が発表されました。そこには例年どおり税制改正についての内容が盛り込まれています。その中の目玉のひとつに生前贈与に関する加算期間があります。 生前贈与加算期間の変更が今後相続税対策に与える影響について考えていきます。
3年以内の贈与に関しては相続税がかかる
相続税対策として多くの方が利用されている方法に暦年贈与があります。相続税対策における暦年贈与とは贈与税が非課税となる年間110万円の範囲で贈与を続けて相続時の財産価格を圧縮するという手法です。
しかし、それを修正するルールに「贈与財産の加算」といわれるものがあります。それは、相続や遺贈で財産を取得した方が、亡くなった方から亡くなる前3年以内に受けた贈与は贈与時の価格で相続税の課税価格に加算するというものです。
例えば、親が亡くなり、子が4000万円の財産を相続したという事例で考えてみましょう。この場合、亡くなる3年前から親が子に毎年100万円ずつ、合計300万円を贈与していればその300万円を加えた4300万円に相続税がかかるということになります。
なお、直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金の非課税制度の適用を受けている部分など一定の贈与については例外となる場合もあります。
令和6年から相続税の生前贈与加算期間が3年から7年になる
「贈与財産の加算」による相続税の生前贈与加算期間は令和6年1月1日以降に贈与された分から7年へと期間が長くなることが決定しました。これによって今までに比べて相続税対策における暦年贈与が少々弱くなってしまいました。
今回の改正の背景には、若い世代への資産の移転を推進したり海外と税制を合わせたりする政府の思惑が考えられます。2022年に行われた「第1回 相続税・贈与税に関する専門家会合」によれば、2019年時点では金融資産のおよそ65%を60歳以上が保有しています。
図表
出典:内閣府 第1回 相続税・贈与税に関する専門家会合(2022年10月5日)資料
加えて、今の相続は老老相続といわれる高齢者から高齢者への相続が多くなっており、若年層への資産移転が全く進まない状況です。
また、海外では資産の移転時期にかかわらず贈与税と相続税の価格が同じになるような制度になっているものの、日本はいつ資産を移転させるかによって税負担が異なる制度になっており中立性・公平性を欠きます。
そういった状況を改善するための一助として相続税の生前贈与加算期間が3年から7年へと延長されたのです。
今後の相続税対策はどうすればいい?
今後の相続税対策においても暦年贈与は一定の有効性を有するものの、節税力が弱くなったのも事実です。
そこで検討したいのが各種特例の利用です。
●相続時精算課税制度
●直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度
●直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度
●直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度
上記のような制度を使って大きな額をまとめて子や孫といった若い世代に資産移転していくのです。
特に相続時精算課税制度の利用価値は大きく飛躍します。2500万円までの贈与は非課税で相続時に相続税として精算するというものなのですが、これまで110万円以下の少額の贈与であっても申告が必要であるといった弱点がありました。
しかし、令和6年からは相続時精算課税制度が改正され、制度の利用中であっても年間110万円の贈与なら暦年贈与のように非課税となります。これをうまく活用することで相続税の生前贈与加算期間の変更をカバーすることができます。
相続税対策を行うなら常に税制の動向をキャッチするべき
相続税に関する税制は時と共に変化していきます。今後も社会情勢などに合わせて変更されていくことでしょう。
相続税の生前贈与加算期間の変更はあくまでもその一部にしかすぎません。相続税対策について関心があるのであれば今後も税制の動向を追い続けるとともにまずは今回の改正についての対応を考えてみてください。
出典
内閣府 第1回 相続税・贈与税に関する専門家会合(2022年10月5日)資料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
実家に帰省したら、父から「生前贈与」の話が!「年110万円」までなら非課税らしいけど、相続税がかかる場合もあるって本当? 注意が必要な“ポイント”を解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月25日 5時0分
-
父が「今から相続に向けて準備したい」と、毎年100万円を贈与してくれるそうです。「税金がかからなくて得」らしいですが、本当に大丈夫なのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月21日 4時30分
-
むしろ“今までより効果的”な相続税対策に…改正後も「生前贈与」を利用すべき理由【税理士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月16日 11時15分
-
孫、父母、祖父母みんなが喜ぶ! 「教育資金の一括贈与の非課税制度」を知っておこう!
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月14日 12時30分
-
相続税の生前贈与の加算期間の延長は実質「増税」!? 65歳の「定年前」に備えておくべきことはありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月8日 22時50分
ランキング
-
1スーパーの大胆な節電方法が話題 猛暑の中、飲料の冷蔵ショーケースを丸ごとオフに… ネットでは賛否の声
よろず~ニュース / 2024年7月31日 7時20分
-
2水道水はそのまま飲めない…令和の子育て世代、煮沸して飲む人増加 その背景には「水道管の劣化に対する不安も」
まいどなニュース / 2024年7月31日 7時20分
-
3自動車シートの老舗「RECARO」破産!? SNSは「マジかよ」の声多数 もう製品の入手は無理なのか?
乗りものニュース / 2024年7月31日 9時12分
-
4【実食】“進化”にSNS歓喜「最強すぎ」「チーズは正義」! マクドナルド新商品「チーズベーコンポテトパイ」を食べてみた
オトナンサー / 2024年7月31日 21時10分
-
5パリ五輪〝初老ジャパン〟活躍でわく疑問「40歳って初老なの?」 皆がイメージする年齢は...
Jタウンネット / 2024年7月30日 21時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)