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会社員と自営業者、それぞれの妻が受け取れる遺族年金の違いは?

ファイナンシャルフィールド / 2023年4月30日 6時20分

会社員と自営業者、それぞれの妻が受け取れる遺族年金の違いは?

遺族年金とは、生計を維持していた公的年金の被保険者が亡くなった際に、残された遺族が生活を送るために支給される年金です。遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金に分類されており、受給するには一定の要件を満たさなければなりません。   また、亡くなった被保険者が加入していた年金によっては、遺族基礎年金のみの受け取りとなったり、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取ったりできる場合があります。   本記事では、遺族年金について詳しく解説します。遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件や、会社員と自営業者の遺族が受け取れる遺族年金の違いをまとめているので、ぜひ参考にしてください。

遺族年金とは?

 
遺族年金とは、国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなった際に支給される年金です。亡くなった被保険者に生計を維持されていた、子のある配偶者や子などが受け取り対象で、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類に分類されます。被保険者の年金の加入状況によって、いずれか、または両方の年金の受け取りが可能です。
 
遺族年金は老齢基礎年金と同様に2階建ての仕組みとなっており、1階部分は20~60歳までのすべての国民が加入する遺族基礎年金、2階部分は会社員や公務員が加入する遺族厚生年金の部分となります。
 

遺族基礎年金の受給要件

亡くなった国民年金の被保険者が以下の受給要件を満たしている場合、「子のある配偶者」または「子」が遺族基礎年金を受け取れます。

●国民年金の被保険者(保険料納付済期間が、免除期間を入れて国民年金加入期間の3分の2以上ある)
●国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の者で、日本国内に住所を有していた者
●老齢基礎年金の受給権者
●老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている(保険料納付済期間と、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある)

遺族基礎年金の受け取り対象となる子とは「18歳になった年度の3月31日までの人」「20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の状態にある人」が該当します。
 
子のある配偶者が遺族基礎年金を受給している場合、子の分も合わせて支給されます。子のある配偶者が亡くなっている場合、子に対して遺族基礎年金が支給されます。
 
なお、配偶者に子がいない場合、遺族基礎年金の受給対象ではありません。
 

遺族厚生年金の受給要件

遺族厚生年金とは、以下の要件を満たす人が死亡した際に、その遺族に対して支給されます。

●厚生年金保険の被保険者(保険料納付済期間が、免除期間を入れて国民年金加入期間の3分の2以上ある)
●厚生年金の被保険者期間内に初診日がある病気やけがが理由で死亡した(初診日から5年以内)
●1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている者
●老齢厚生年金の受給権者
●老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている(保険料納付済期間と、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある)

遺族厚生年金は、死亡した被保険者に生計を維持されている遺族の中から、優先順位の高い人が受け取れます。優先順位は図表1のとおりで、同じ「配偶者」でも、妻と夫のどちらかで順位が変わる点に注意が必要です。
 
【図表1】

優先順位 続柄 備考
1 ・子のない30歳未満の妻の受給期間は5年間
2 ・18歳になった年度の3月31日までの人
・20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の状態にある人
3 ・死亡当時に55歳以上
・受給開始は60歳から
・遺族基礎年金と合わせて受け取る場合に限り、55~60歳の間でも遺族厚生年金を受給できる
4 父母 ・死亡当時に55歳以上
・受給開始は60歳から
5 ・18歳になった年度の3月31日までの人
・20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の状態にある人
6 祖父母 ・死亡当時に55歳以上
・受給開始は60歳から

 

会社員と自営業者の妻が受け取れる遺族年金の違い

子のある配偶者が遺族基礎年金を受給する場合、令和5年度では以下の年金額を基準に、子の人数に応じた加算額を受け取れます。

●67歳以下の方:79万5000円+子の加算額
●68歳以上の方:79万2600円+子の加算額
※子の加算額は1人目および2人目までの子の1人につき22万8700円、3人目以降の子は1人につき7万6200円

子が遺族基礎年金を受け取る場合は79万5000円ですが、2人目以降の子がいる場合は、加算額を加えた子の数で割った額が受給額となります。
 
遺族厚生年金は、遺族基礎年金に加えて、亡くなった被保険者の老齢厚生年金の報酬比例部分(年金額の計算の基礎となるもので、年金の加入期間や過去の報酬等に応じて決まる)のうち、4分の3の額を受け取れます。報酬比例部分を計算する際に、厚生年金保険の被保険者期間が300月未満の場合は、300月と見なして計算します。
 
また、遺族厚生年金は、一定の要件に該当する妻なら、中高齢寡婦加算(年額59万6300円)や経過的寡婦加算が上乗せして支給されます。
 

遺族年金の受給要件や受給額を理解しておこう

遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類に分類されており、そのうち会社員や公務員などの第2号被保険者は、要件を満たすことでそれぞれの遺族年金を受け取れます。被保険者の死亡など、万が一の事態に備えるためにも、生計を維持する人の年金の加入状況や受給資格期間を確認しておくとよいでしょう。
 
また、厚生年金に加入できない自営業者などの第1号被保険者は、遺族年金だけでは生活費の確保が難しい場合や、子がいないために遺族年金を受給できない場合に備えて、国民年金基金への加入なども検討してみてください。
 

出典

日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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