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【FP相談】「FIREしたいけど、可能かどうか知りたい」という相談者に対してFPからアドバイス

ファイナンシャルフィールド / 2023年5月4日 23時0分

【FP相談】「FIREしたいけど、可能かどうか知りたい」という相談者に対してFPからアドバイス

会社を辞めてお金にとらわれず、自由な生き方をするFIRE(Financial Independence, Retire Early)にあこがれる人は多いと思います。   50歳になるAさん(女性)もそんな一人です。Aさんは独身で子もいません。「自宅のマンションは住宅ローンを完済して、株や投資信託などの投資用資産と預貯金を合わせると5000万円ほどあります。   これからは、会社を辞めて自由気ままに暮らしたいと考えていますが、FIREは可能でしょうか? 」という相談です。

FIREを実現するには

FIREは米国発祥で、運用資産の4%以内で年間支出をまかなえば、資産を減らすことなく自由に暮らしていけるという考え方です。これを4%ルールと言っています。
 
なぜ4%ルールかと言うと、米国株式市場の年間成長率が7%で、インフレ率が3%であるという経験則に基づいて、「7%-3%=4%」の年間支出であれば、実質資産を減らすことがなく運用益だけで生活できるという理由からです。
 
この4%ルールを当てはめると、年間支出が200万円であれば5000万円(5000万円×4%=200万円)の運用資産が必要で、年間支出が400万円であれば1億円の運用資産が必要という計算になります。
 
資産を運用して得られる運用益としては、株や投資信託などから得られる配当金や売却益のほかに、賃貸マンションの家賃から得られる不動産所得などもあります。
 

サイドFIREという考え方

運用資産として5000万円や1億円も貯めることは難しいと思う人は、サイドFIREという選択肢もあります。これは、アルバイトやパートなどの副収入を得ながらFIREをするという考え方です。
 
つまり、運用資産から得られる運用益は、副業から得られる収入分だけ少なくて済むというわけです。もし年間支出が200万円とすると年収100万円の副収入があれば、半分の2500万円の運用資産で足りることになります。
 

投資リスクや病気、けがなどのリスクへの備え

FIREは確かに魅力的かもしれませんが、いくつものリスクがあります。その代表的なものを列挙します。
 
1)4%ルールはあくまでも米国での経験則をもとにしたもので、日本では事情が違います。株や投資信託などによる資産運用では投資リスクがあり、毎年4%以上の運用益を得るのは大変です。
 
2)賃貸マンションによる資産運用では、常に満室というわけではないので、入居していないときの家賃の欠落、部屋の管理や修繕などにかかる費用、税金などを考慮しなければなりません。
 
3)病気やけがなどで入院したりすれば、思わぬ出費がかかります。また、サイドFIREの場合では、アルバイトなど働けない期間で副収入を得られなくなります。
 
4)会社を退職して厚生年金保険に入らなくなった場合、老後に受け取れる年金額が減ってしまいます。また、国民年金保険や国民健康保険などの社会保険料は自ら全額払わなければなりません(会社では厚生年金保険料や健康保険料は労使折半です)。
 
これらのリスクに備えるためには、余裕をもった資産運用が重要となります。
 

社会とのつながりや将来の人生に希望がもてるか?

会社を辞めたあとで、社会と疎遠になってしまうことがあります。友達・仲間やサークル活動などで人と触れ合う機会が多ければ良いのですが、そうでない場合は、孤独感からうつ病などを発症する恐れもあります。
 
また、FIREによって何をしたいか人生の目的を明確に持てないと、「何のためにFIREを選んだのか、FIREを選んで本当に正しかったのか。」と、将来において挫折感を味わうことになります。
 

終わりに

FIREを希望しているAさんは、生活費などの年間支出は200万円程度とのことで、5000万円の運用資産があることからFIREの4%ルールを満たしています。
 
しかし、FIREを実現するには上記のようないくつものリスクがあることを十分に認識する必要があるでしょう。
 
執筆者:村川賢
一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)

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