異次元の少子化対策の柱とされる、児童手当の所得制限について考えてみよう
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月3日 23時0分
![異次元の少子化対策の柱とされる、児童手当の所得制限について考えてみよう](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_204093_0-small.jpg)
政府が2023年の年頭に「異次元の少子化対策」を方針として掲げ、その内容をまとめた「たたき台」が3月末に発表されたことにより、柱の1つとされる児童手当の動向に注目が集まっています。 ここでは、現行の児童手当制度の概要や所得制限などについて、確認してみたいと思います。
児童手当とは
児童手当とは、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に支給され、児童1人当たりの月額は年齢によって以下のとおりです。
・0歳から3歳未満は1万5000円
・3歳以上で小学校修了前の第1子・第2子は1万円、第3子以降は1万5000円
・中学生は一律1万円
児童の誕生日の違いによって、15歳までに支給される月数は異なりますが、総額では児童1人当たりでおおむね200万円強が支給されることとなります。
児童手当には所得制限がある
現行の児童手当の所得制限について確認してみましょう。
児童手当の所得制限は「児童を養育している親」、つまり、夫婦共働きの場合には原則、いずれか収入が多い方を基準として判定されます。夫婦の収入を合算した世帯収入ではない点に注意が必要です。
【図表1:給与所得者を想定した所得制限限度額および収入額の目安】
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2023/05/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715.jpg)
※内閣府 「児童手当制度のご案内」より筆者作成
※扶養親族等の数は、手当を受け取る人の前年(1~5月分の手当の場合は前々年)12月31日時点での所得税法上の扶養親族等の数に応じて設定されます。
※図表1はあくまでも目安であり、実際は給与所得控除、医療費控除、雑損控除などを控除した所得金額で判定されます。
図表1の「(1)所得制限限度額」未満の場合には、前述した児童1人当たりの月額が支給されます。
(1)以上で「(2)所得上限限度額」未満の場合は、「特例給付」として児童1人につき月額で一律5000円の支給となります。
また、2022年10月支給分からは、所得が(2)以上の場合には、児童手当が支給されないこととなっています。ただし、支給の停止後に所得が(2)を下回った場合は、改めて認定請求書を提出することができます。
新聞やニュースなどの報道でよく聞かれる「年収1200万円以上は児童手当の対象外」というのは、上表の扶養親族等の数が3人、夫婦と児童2人の世帯を想定しており、年収960万円未満は満額支給、960万円以上1200万円未満では、児童1人に5000円の特例給付、1200万円以上は不支給となります。
児童手当と扶養控除
児童手当の対象が15歳までの児童であるのに対し、16歳以上の扶養親族(一般の控除対象扶養親族)については、所得税等における扶養控除の対象として、所得税では1人当たり38万円(特定扶養親族の場合は63万円)の所得控除を適用することができます。
つまり、子どもを養育する方は、15歳までは児童手当で、16歳以降は税制面での優遇を受けることになります。
現在、調整の方向で進んでいる児童手当の支給対象年齢の引き上げ(18歳まで)については、この所得税等の扶養控除との兼ね合いも論点となるものと思われます。
児童手当の寄付
年収1200万円以上の場合には、児童手当が不支給となることは前述のとおりですが、受給資格がある方でも、申請により児童手当の全部、または一部の支給を受けず、市区町村に寄付をすることができます。寄付を行った場合は、所得税等の寄附金控除の適用を受けることが可能です。
児童手当の所得制限の撤廃などの議論の中で、高所得者には児童手当を支給する必要はないといった意見があることは確かですが、市区町村への寄付という選択肢もあります。
まとめ
報道によると、前述の扶養親族等が3人の世帯の場合、特例給付(5000円)のみ、または支給対象外となっている児童は、全体の約1割に相当する160万人程度に及ぶとのことです。
2023年4月11日時点で、政府は少子化対策のうち、児童手当の対象年齢の引き上げや支給額の増額、そして所得制限の撤廃などについて、今後3年間を集中的に取り組む期間としています。
いずれにしろ、深刻な少子化問題への対策は、国の社会保障制度にもつながる最重要の課題といえるでしょう。
出典
内閣府 児童手当制度のご案内
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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