「年金払って」と言われても手取り18万では払えません…このままだと「差し押さえ」になりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月3日 10時20分
日本では国民年金(以下「年金」という)の加入は義務であり、20歳以上60歳未満の人は保険料を納めなければなりません。とはいえ、人によって経済的な事情はさまざまで、生活が苦しくて払えないケースも見受けられます。 例えば、手取りが少ない、親への仕送りや借金や奨学金の返済などのせいで、年金保険料納付の余裕がない場合もあるでしょう。そこで本記事では、年金保険料未納のリスクを詳しく紹介し、対応方法についても説明します。
年金保険料未納の代表的なリスク
年金保険料未納の状態を放置していると、自分が受けられる恩恵が以下のように小さくなってしまいます。
・年金の減額や不支給
年金の保険料を20~60歳までの480ヶ月分支払った場合は、老齢基礎年金を満額受け取れます。一方、未納期間がある場合は、その月数に応じて減額される仕組みです。その場合は老後の生活資金を別の手段で確保する必要性が高まります。
また、まったく年金を支給されないケースもあるので注意しましょう。具体的には、受給資格期間、つまり納付や免除・猶予などの期間が10年に達してないと、そもそも受け取る資格すら得られません。
・関連制度の対象外
大きなけがで生活に制限が生じた場合などに、障害年金を受け取れる制度があります。また、被保険者が亡くなったとき、扶養されていた親族は、一定の条件を満たす場合に遺族年金の受給が可能です。
ところが、年金の保険料を納めていないと、このような万が一の事態において、どちらの制度も対象外になりかねないのです。例えば、障害年金の要件として、初診日を含む月の前々月までに、3分の2以上の期間で保険料が納付済みであることが定められているのです。
財産を差し押さえられるのか?
年金保険料未納の状態が続いていると、最終的に財産を差し押さえられる可能性もあります。ただし、問答無用でいきなり実施されるわけではありません。まず、文書や電話で何回か連絡があり、戸別訪問が行われるケースもあります。
文書とは、未納期間などが記載された国民年金未納保険料納付勧奨通知書です。それでも支払わなければ、特別催告が送られてきます。差押えや延滞金のことも記載されており、警告としての意味合いが強いものです。こちらも無視してしまうと、最後の警告として最終催告状と督促状が届きます。
そして、具体的な処分が決まり次第、差押予告通知書を受け取るのが一般的です。これに基づいて財産の差押えが執行されるのです。
納付が難しい場合の対策
上記のような事態を招きたくないなら、年金保険料未納の現状を放置するのは得策ではありません。納付するお金が手元にない人は、「免除」もしくは「猶予」の申請を検討しましょう。これらが承認された対象月は、受給資格期間の計算に加えてもらえます。
つまり、納付済みの期間と見なしてもらえるため、前述の障害年金の要件なども満たしやすくなるのです。
免除については、全額を含む4つのパターンがあり、適用の主な判断基準は本人・世帯主・配偶者の前年の所得額となっています。猶予のほうは、本人・配偶者の前年所得で判断されます。また、免除・納付猶予された期間の保険料を後から納付(追納)することにより、年金の受給額を満額に近づけることができます。
早めの相談が大切! アドバイスを受けて対応しよう
未納の問題を自分だけで抱え込むのはよくありません。ずっと納付せずにいる場合、後ろめたい気持ちになるだけでなく、年金を受給できなくなったり、財産を差し押さえられたりするリスクも生じます。お金に余裕がないなら、免除などの申請を行うために、まず年金事務所の窓口や「ねんきんダイヤル」に相談しましょう。
出典
日本年金機構 障害年金
日本年金機構 「国民年金保険料の強制徴収の取組強化」について
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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