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年収が「120万円」も減額!? 定年後の「再雇用」での給与減額は違法なのか解説

ファイナンシャルフィールド / 2023年5月4日 3時0分

年収が「120万円」も減額!? 定年後の「再雇用」での給与減額は違法なのか解説

日本企業の多くは60歳で定年退職を迎えます。しかし、60歳であればまだまだ現役で働けるという人も少なくはないでしょう。そういった人たちの中には、再雇用制度を利用して定年退職後も働き続ける人も多いでしょう。   しかし、再雇用後の1ヶ月当たりの賃金は平均10万円程度減額されてしまうことが多いです。定年退職前から見ると約23%の減額です。定年退職前と同等の業務を行っているにも関わらず、23%もの減額に納得ができない人も多いのではないでしょうか。   そこで今回は、定年退職後の再雇用による給与の減額は違法なのかについて解説します。

定年後の再雇用で年収120万円減額!?

厚生労働省の調査によると、2021年6月の男性55歳~59歳の平均賃金は41万3600円でした。
 
しかし、60歳~64歳で見ると、平均31万8100円となり、月収で約10万円、年収では平均120万円程度下がってしまいます。定年退職制度を導入している企業のうち、72.3%が退職年齢を60歳に設定しています。
 
このことを考えると、定年退職間近で賃金が最大になり、再雇用をきっかけに10万円程度引き下げられるということがわかります。
 

再雇用時の給与減額は違法となる場合がある

再雇用時の賃金減額は契約方法や再雇用時の業務内容等によって、違法性が判断されます。また、それぞれの事案ごとに判断する必要があるため、明確に「〇〇を基準に違法となる」といったものはありません。
 
しかし、過去に行われた裁判例(名古屋地判令和2年10月28日労働判例1233号5ページ[名古屋自動車学校事件])では、原告側の生活保障の観点から見ても、60%を下回る限度で違法と判断されました。
 
すべての事案でこの基準が適用されるわけではありませんが、今後は1つの基準になり得るでしょう。
 
なお、上記事案は再雇用により役職の退任はあったものの、実際に行っている業務に大きな変化はなかったことが挙げられます。同一労働同一賃金の観点から見ても、違法性があると認められた事案です。
 

違法・合法の判断基準は待遇差

賃金の決定を行う上で、「同一労働同一賃金の原則」という考え方があります。これは、同一の労働をしているのであれば、雇用形態等に関わらず同一の賃金を支給すべきというものです。
 
定年退職後の再雇用により、仕事内容が大幅に変わった場合は、その範囲内で給与の減額が認められるでしょう。しかし、定年退職前と同等の業務を行っているのであれば、同程度の賃金を支給すべきです。
 
ただ、定年退職をきっかけに役職を退任し、負う責任なども軽減されるため、そういった部分を考慮して最終的な賃金を決定すれば良いです。そのため、賃金の減額が違法かどうかを判断するためには、個別事案ごとに待遇差を精査して判断する必要があります。
 

再雇用後の賃金に納得できない場合は交渉が有効

定年退職後の再雇用時に賃金を減額すること自体に違法性はありません。しかし、賃金を著しく下げた場合は、違法として認められる場合があります。
 
「〇〇%以下を超える減額は禁止」といった基準はないため、明確に判断することはできません。ただ、再雇用時の賃金に不満を抱えているのであれば、交渉をしてみると良いでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査の概況
厚生労働省 令和4年就労条件総合調査 結果の概況
厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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