フリーランスのほうが会社員よりも老後が不利? 理由と今すぐできる対策を解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月6日 23時20分
老後の生活を考えたとき、フリーランス(自営業者)は会社員よりも不利で厳しいといわれています。その理由と、今すぐできる対策を解説します。
フリーランスが受け取れる年金
老後にもらえるお金としてまず考えられるのが年金ですが、フリーランスとしてのみ働いてきた場合は、老齢基礎年金しか受け取ることができません。
年金額は物価の状況などで毎年変わる可能性があり、2023年(令和5年)4月からは月額6万6250円です。これは保険料を満額払った場合の金額で、過去に保険料の免除や未納の期間があると、さらに少なくなります。
夫婦2人分の、老齢基礎年金を含む厚生年金加入者の標準的な年金額は、2023年(令和5年)4月時点で月額22万4482円のため、その差は歴然です。
家賃や食費などをどれだけ節約したとしても月6万円程度で生活するのは現実的ではありません。
総務省統計局の家計調査年報(家計収支編)で発表された、2022年(令和4年)の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月額23万6696円、65歳以上の単身無職世帯の場合は月額14万3139円でした。
実際は生活費だけでなく、趣味や娯楽、冠婚葬祭、家電製品の買い替えなどの支出も発生するため、さらに赤字が膨らむ可能性があります。そう考えると、年金のみで生活を維持するのは非常に厳しいといえるでしょう。
今すぐできる対策
老後のお金を国民年金のみに依存するのは、今すぐやめましょう。フリーランスは公的年金が少ない以上、自分で準備する私的年金を構築する必要があります。
フリーランスが利用できる主な制度は、小規模企業共済、個人型確定拠出年金(iDeCo)、国民年金基金の3つです。
小規模企業共済
意外と知らない人も多いのが、中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する「小規模企業共済」です。小規模企業の経営者や役員が、退職時や廃業時の生活資金を準備するために積み立てる制度で、フリーランスも加入できます。
掛け金は月1000円から最大7万円までの範囲で、500円単位で自由に選べます。掛け金は全額所得控除できるので、節税にもつなげられるのはうれしいですね。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
iDeCoは私的年金制度の1つで、国民年金第1号被保険者にあたるフリーランスは、最大月6万8000円まで掛けることができます。
こちらも掛け金は全額所得控除が可能で、運用益も非課税になるメリットがあります。ただし、60歳になるまで原則引き出せないので注意しましょう。
国民年金基金
厚生年金に加入する会社員などとの「年金格差」を解消するために作られた、公的年金制度です。いわゆる「2階建て」部分を自分で積み上げる形です。
掛け金は最大月6万8000円です。ただしiDeCoにも加入している場合は、2つ合わせて最大6万8000円以内にする必要があるので注意しましょう。
国民年金基金の利用は、あくまで国民年金の保険料を納付していることが前提です。そのため、未納はもちろん保険料の免除や納付猶予制度、学生納付特例制度の利用申請をして適用されている間は加入できません。
加入後は途中で任意に脱退はできない点にも注意しましょう。
まとめ
今回は老後の生活を考えたときに、フリーランスが会社員よりも不利な理由と、今すぐできる対策を解説しました。
どの制度を使うか迷ったら、比較的自由度の高い小規模企業共済から検討してみましょう。
コツコツ積み立てるだけでなく、契約者はいざというときに低金利で貸付制度を利用できるのも大きなメリットです。種類によっては即日貸し付けも可能なので、一時的に事業資金が足りないときなどに便利です。
フリーランスは国民年金の老齢基礎年金だけでは生活が困難になる可能性が高いからこそ、今から私的年金を構築していきましょう。
出典
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
総務省 家計調報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要
独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済の制度概要
厚生労働省 iDeCoの概要
厚生労働省 iDeCo
国民年金基金連合会 国民年金基金制度とは?
国民年金基金連合会 加入条件・資格
国民年金基金連合会 掛金について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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