【老後2000万円問題】物価高騰に備えて年金を上乗せする方法
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月6日 6時10分
2019年に金融庁が高齢社会における資産形成・管理の報告書で発表した試算によると、老後に毎月約5万5000円の赤字が生じ、30年間にすると約2000万円不足すると報告したことで老後2000万円問題として大きな話題になりました。また、コロナ禍後は日本でも物価高騰が続いている状況です。 本記事では、老後の主な収入源が年金だけで、生活ができるのか不安を感じている方へ、老後に備えて年金を上乗せする方法を紹介します。
2023年の年金支給額は国民年金の満額で月額6万6250円
2023年度に年金の受給を開始する場合、自営業者らの国民年金は月額6万6250円となります。夫婦2人の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金の年金額は月額22万4482円で、前年度から2.2%増です。
総務省の家計調査(2021年)によると、65歳以上で夫婦のみの無職世帯の消費支出は月額22万4436円です。年齢が上がると消費支出の額も減少傾向にありますが、公的年金だけではぜいたくどころか生活費もギリギリの状況になってしまうといえます。
国民年金に上乗せできる方法は?
公的年金の受給額が満額支給されるとしても、貯金はおろか生活費をまかなうだけでも厳しいといえます。特に国民年金しか加入していない自営業者らの第1号被保険者と会社員らの給与所得者では、年金受給額に大きな差が生まれてしまいます。
この年金額の差を埋めるための制度として、国民年金に上乗せする方法が「付加年金」と「国民年金基金」の2種類です。付加年金と国民年金は重複して加入することができないため、それぞれの特長を詳しく解説します。
付加年金とは
付加年金とは、国民年金の保険料に毎月400円の付加保険料を上乗せして支払うことで、200円×納付月数分を付加年金額として老齢基礎年金に上乗せして受給できるものです。
・年金に追加する保険料:毎月400円
・将来追加される年金額:月200円×付加保険料を納めた月数分
40歳から60歳まで30年間支払った場合、支払う保険料は(400円×12ヶ月×20年間=9万6000)です。1年間に受け取れる年金額は(200円×240ヶ月(20年)=4万8000円)となり、年金の受給が2年を超えると支払った金額よりも、受給額が上回る計算になります。
支払った付加保険料の金額は、所得控除を受けることができるため老後資金の積み立てと節税が同時にかなう制度です。
国民年金基金とは
国民年金基金とは、自営業者やフリーランスなどの国民年金の第1号被保険者と任意加入被保険者が加入できる公的年金制度です。掛金の上限は、月額6万8000円です。個人型確定拠出年金にも加入している場合は、合わせて6万8000円が掛金の上限金額になります。
加入は口数制で、年金額・保証期間の有無・給付は選択が可能です。例えば39歳から40歳の男性の場合、1口目は1万5000円で2口目からは5000円が基本額となっています。付加年金と同様に支払った掛金は全額社会保険料控除の対象になります。
原則、任意の脱退や中途解約はできないため加入の際は注意が必要です。
私的年金も活用して老後に備えよう
将来受け取る年金額を増やす方法として、私的年金という選択肢もあります。公的年金は国が用意した年金制度のことですが、私的年金は企業が福利厚生として用意する年金や個人が任意で加入する年金のことです。主に、企業年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)などがあります。
年金制度は種類がたくさんあるため、どれがいいのか迷ってしまいます。まずは、現状でいくら年金を受け取れるかを把握することから始めましょう。
平均の受給額をお伝えしましたが、加入月数や収入によって受給額は変動します。自身の加入歴と、年金の見込み額はねんきん定期便に記載があります。現状の生活費がいくらかかっており、どのくらい年金を上乗せしたら不安がなくなるか確認することをおすすめします。
出典
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 高齢社会における資産形成・管理
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支
日本年金機構 付加保険料の納付
日本年金機構 令和4年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について
国民年金基金 加入条件・資格
国民年金基金 給付の種類
国民年金基金 掛金月額表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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