【公的介護保険】公的介護保険以外に介護給付が受けられるって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月7日 9時10分
公的介護保険以外にも、要介護になった原因により他法から介護給付が受けられます。 民間の介護保険を検討する時は、これらの公的制度も考慮することが大切です。
公的介護保険の介護サービス
介護保険の被保険者は、65歳以上の人(第1号被保険者)および40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)です。
介護保険サービスは、65歳以上の人は原因を問わず要支援・要介護状態となったときに、40~64歳の人は末期がんや関節リウマチ等老化による病気(16種類の特定疾病)が原因で、要支援・要介護状態になった場合に受けることができます。
このことから分かるように、40歳未満は介護保険制度の対象外ですし、40~64歳の人は16種類の特定疾病以外で要支援・要介護になった場合も対象外です。
労働災害や交通事故での介護給付
労災保険とは、業務災害または通勤災害を被った労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。
業務上の事故や病気あるいは交通事故によって介護が必要な状態になった場合には、公的介護保険による給付ではなく、業務上の事故や病気による場合は労働者災害補償保険や公務災害補償制度(労災)、交通事故の場合は自動車賠償責任保険(自賠責)から介護給付が受けられます(他法優先)。
公的介護保険では、サービスの利用料の1~3割の自己負担が発生します。しかも、支給限度額があります。一方、上記労災や自賠責には自己負担や制限はありませんので、公的介護保険よりも手厚い内容になっています。
労働者災害補償保険の介護(補償)給付
介護(補償)給付は、業務災害・通勤災害で被災した従業員で以下の条件を満たした人に支給されます。
障害(補償)等年金または傷病(補償)等年金の受給者のうち、障害等級・傷病等級が第1級の方と第2級の「精神神経・胸腹部臓器の障害」を有している方が、現に介護を受けている場合、介護補償給付(業務災害の場合)を受けることができます。
ただし、以下の施設に入所している場合は対象外です。
・介護保険施設(特養、老健、介護医療院)
・障害者支援施設
・原子爆弾被爆者特別養護ホーム
・病院または診療所
支給額(令和5年度)は、「常時介護」と「随時介護」により以下のように異なっています。
(1)常時介護を要する方
・最高限度額:月額17万2550円
・最低保障額:月額7万7890円
(2)随時介護を要する方
・最高限度額:月額8万6280円
・最低保障額:月額3万8900円
自動車賠償保障法(自賠法)による給付
すべての自動車は、自賠責保険(強制保険)に加入することが法律で義務づけられています。自賠責保険で補償されるのは、交通事故などで他人を死亡させたり、ケガをさせたりした「人身事故」の場合です。
保険金額(支払限度額)は以下のとおりです。
<傷害による損害(治療費、休業損害、慰謝料等)>
120万円
<後遺障害による損害(逸失利益、慰謝料等)>
a.神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残し、常時介護が必要な場合は4000万円、随時介護が必要な場合は3000万円
b.上記a以外の後遺障害について、後遺障害の程度に応じた等級によって75万~3000万円
<死亡による損害(逸失利益、慰謝料、葬儀費等)>
3000万円
独立行政法人自動車事故対策機構「介護料」
独立行政法人自動車事故対策機構では、自動車事故により脳や脊髄などを損傷して介護を要する後遺障害を負われた方に介護料を支給しています。また、訪問して介護相談を行うなど在宅介護への支援を実施しています。
なお、介護保険法、労災保険法など他の法令に基づく介護料相当の給付を受けている方や法令に基づく施設に入所している方は対象外です。
1. 介護料の支給
在宅にて介護を受けている方が、ホームヘルプサービスやデイサービスなど一定の居宅サービスを利用したときや、一定の介護用品を購入、レンタルまたは修理(交換)したときには、その月の介護に要した費用として自己負担した額に応じ、受給資格の種別ごとに次の範囲内で介護料が支給されます。
なお、介護に要した費用として自己負担した額が下限額に満たない場合には、下限額が支給されます。
・特I種(最重度): 8万5310円~ 21万1530円
・I種(常時要介護): 7万2990円~16万6950円
・II種(随時要介護): 3万6500円~8万3480円
*所得額による支給停止があります。
2. 短期入院・入所費用の助成
介護料受給資格者が治療等を受けるため病院・施設に短期間の入院・入所(原則2~14日以内。ただし、リハビリ目的による入院に限り、入院期間を原則2~30日以内)をした場合に、年間45万円以内(年間45日以内)の範囲内で、介護料とは別枠で以下の費用の助成があります。
・入退院・入退所時における患者移送費として自己負担した額
・室料差額および食事負担金として自己負担した額
・短期入院・入所利用時のヘルパー等の付き添いに要した費用として自己負担した額
以上のように、受けられる公的制度を確認してから民間の保険を検討しましょう。
出典
厚生労働省老健局 介護保険制度の概要 令和3年5月
厚生労働省 労災補償・労働保険徴収関係
国土交通省 あなたの自賠責保険料・共済掛金が、交通社会に暮らす誰かを支えている。(自賠責保険・共済制度について)
独立行政法人自動車事故対策機構 介護料のご案内/受取り対象となる方
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
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