初心者にも有効な「ドルコスト平均法」とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月7日 9時50分
NISAの制度改正が発表され、つみたてNISAの投資枠(年間投資上限)が40万円から120万円となり、注目を集めています。さらに新制度ではつみたて投資枠と成長投資枠(現行の一般NISA)の併用も可能なので、どちらを使うかまたはどう配分するか迷っている方もいらっしゃると思います。 しかし、投資初心者で中長期で資産運用を考えることができる、時間に余裕のある方はつみたてNISAも選択肢になるのではないでしょうか。つみたてNISAならドルコスト平均法のメリットを得られます。 つみたてNISAを使う場合、最初に口座を開設し、毎月のつみたて金額と、買う投資信託を決めたら、あとは自動的にドルコスト平均法で資産運用を行ってくれますので、リテラシーや知識がなくても大丈夫、といったような印象を持ちました。価格変動のある金融商品であっても、資産を分散して購入できます。
ドルコスト平均法とは
ドルコスト平均法とは、価格変動のある商品を一度に購入するのではなく、「定期的に一定金額」で分散して購入していく手法のことをいいます。単価が安い時は購入数量(口数)が多くなり、単価が高い時は購入数量が少なくなります。定期的に一定数量ずつ購入するよりも平均取得単価を引き下げる効果があります。
これは、投資する期間が長くなると、平均購入単価も平均値に収斂(しゅうれん)するため、資産形成にとって有効な投資方法となります。分散投資とは、投資する商品を分散するだけでなく、ドルコスト平均法のように、時間を分散して価格変動を軽減する方法もあります。
つまり、時間を味方にする投資手法なのです。
(参考)例えば、A社の株を購入する場合、1回目株価1000円、2回目1250円、3回目800円とすると
1回目 10万円÷1000円=100株
2回目 10万円÷1250円=80株
3回目 10万円÷800円=125株
1回目から3回目まで合計すると305株
平均取得単価 10万円×3回÷305株≒983円(1円未満切り捨て)
1回目 1000円×100株=10万円
2回目 1250円×100株=12万5000円
3回目 800円×100株=8万円
1回目から3回目まで合計すると30万5000円
平均取得単価 30万5000円÷(100株×3回)≒1016円(1円未満切り捨て)
このように価格が変動する銘柄においては、購入額を一定に時間分散を図ることで、平均取得単価を引き下げることができます。
ドルコスト平均法の事例研究
例えば、B社の株価が当初1回目1万円、1年後2回目1万2500円、2年後3回目5000円、3年後4回目1000円、4年後5回目5000円とすると、当初50万円で一括購入した場合、4年後は当初投資金額の50万円が25万円になります。
ドルコスト平均法の場合、毎回10万円ずつの購入を5回繰り返しますので、
1回目 10万円÷1万円=10株
2回目 10万円÷1万2500円=8株
3回目 10万円÷5000円=20株
4回目 10万円÷1000円=100株
5回目 10万円÷5000円=20株
合計すると158株購入できたことになり、4年後に株価が5000円になっていても、158株保有していることで、総額79万円(5000円×158株=79万円)になります。
上記のように、値下がりした時(株価1000円の時)に多くの口数を購入できて、いったん価格が下がっても一定の水準まで価格が戻れば、赤字から黒字へ回復できるため、投資の時間分散効果がよくわかる事例です。
留意点
■短期の投資には不向き
価格変動に一喜一憂して、少しの利益で売ってしまうと、せっかくのドルコスト平均法のメリットが発揮できません。できれば自動的に一定額を長期間購入し続けるサービスを利用してはいかがでしょうか。
■値下がりする商品には不向き
将来的に値上がりする商品や、一定の範囲内で値上がり値下がりを繰り返すような商品には効果がありますが、長期にわたって値下がりする商品には効果がありません。
■やめるときが重要
やめるときの価格によっては損をする場合があります。スタートのタイミングより運用を止めて売却するタイミングが重要です。
まとめ
ドルコスト平均法は、時間を味方につける方法です。価格に一喜一憂せずに10年・20年続けるつもりで始めてみてはいかがでしょうか。
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント
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