高齢者を継続雇用する企業には、こんなメリットが!~65歳超雇用推進助成金(1)~
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月7日 23時20分
![高齢者を継続雇用する企業には、こんなメリットが!~65歳超雇用推進助成金(1)~](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_204645_0-small.jpg)
59歳のAさんは、特殊な技術職に就いています。勤務している会社は60歳定年のため、もうすぐ定年退職です。他にはない技術があるため、会社のためにも、継続する方向で考えています。 しかし、定年後に再雇用の制度はあるものの、賃金は低く、1年ごとの契約となります。「定年を5年だけでも延ばしてくれれば……」と、Aさんは思っています。
65歳超継続雇用促進コースの概要
知識が豊富で経験を積んだ技術者は、企業にとっても貴重な戦力です。年齢を理由に雇用条件が悪化するのは、余りにももったいないものですね。
高年齢者雇用の推進を図る助成金に、『65歳超雇用推進助成金』があります。定年を65歳以上へ引き上げ、定年の定めの廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入、高年齢者の雇用管理制度を整備する等を行った事業主を助成するものです。
この助成金には3つのコースがありますが、その1つ、65歳以上の継続雇用を実施した事業主を助成する「65歳超継続雇用促進コース」を解説します。
65歳超継続雇用促進コースは、
A 65歳以上への定年引き上げ
B 定年の定めの廃止
C 希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入
D 他社による継続雇用制度の導入
のいずれかを実施した事業主に対して助成をするものです。
支給額は図表1のとおりです。
【図表1】
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2023/05/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715-3.jpg)
(出典:厚生労働省 令和5年度65歳超雇用推進助成金のご案内 )
実施前の年齢が70歳未満である場合に、支給対象となります。また、「D.他社による継続雇用制度の導入」については、実際にかかった導入経費の2分の1が助成され、表示の金額が最大となることにご注意ください。
自社で就業規則を変更、これで給付金は受けられる?
助成金を受けるのには、要件があります。
(1)制度を規定した際に経費を要した事業主であること。
(2)制度を規定した労働契約または集合規則を整備している事業主であること。
例えば、定年を65歳に引き上げる場合に、自社内で就業規則を書き換えて申請すれば助成金を受けられるというものではありません。制度の規定には、社労士等に依頼して報酬を支払うなど、経費を要する必要があります。
その他に、以下の要件も必要です。
1. 措置実施の6ヶ月前の日から支給申請日の前日までの間に、高年齢者雇用安定法第8条または第9条第1項の規定と異なる定めをしていないことや、同法第10条の3第2項に基づく勧告を受けていないこと
■第8条
定年は60歳を下回ってはダメ(高年齢者が困難である職種は、この限りでない)
■第9条第1項
・定年が65歳から70歳の場合は、定年の引き上げ・65歳以降継続雇用制度の導入・定年の廃止等の措置により、65歳から70歳までの安定した雇用を確保するよう務めなければならない
と定められています。よって、定年が60歳以上であること、または、定年を65歳から70歳とした場合は、安定した雇用の確保がされるように定められている必要があります。
第10条の3第2項には、厚生労働大臣から、65歳以上の安定した効用の確保や就業機会の確保が必要であると指導や助言を受けたにもかかわらず、事業者が高年齢者就業確保措置を取られない場合は、厚生労働大臣からその計画作成の勧告を受けるとあります。この勧告を受けてないことも要件です。
さらに、
2. 支給申請日の前日において1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること
3. 高年齢者雇用等推進者の選任および高年齢者雇用管理に関する措置を1つ以上実施している事業主であること
が必要です。
いつまでに、どこへ申請すればよい?
「A.65歳以上への定年引き上げ」「B.定年の定めの廃止」「C.希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入」、D.他社による継続雇用制度の導入」を実施した日の翌月から数えて4ヶ月以内に申請します。例えば4月20日に実施した場合は、5月、6月、7月、8月が申請可能月です。
ただし、各月開始から5開庁日(行政機関の休日を除く)までの期間限定です。4ヶ月以内、いつでも受け付けるのではなく、月初めの5開庁日しか受け付けられないことに注意が必要です。
また、書類がそろっていて要件を満たしても、各月ごとの予算額上限もしくは四半期ごとの予算額上限の超過が予見される場合や、各月の受付件数の動向から予算を超える恐れが高くなる場合は、支給申請の受付が停止される場合があります。
提出先は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の各都道府県支部です。「65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)支給申請書」に添付書類とともに提出します。添付書類や制度の詳細につきましては、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページをご覧ください。
以上、高齢者を継続雇用する企業へのメリットを確認しました。定年を迎える高齢者を雇用している企業は、一度検討してみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 令和5年度65歳超雇用推進助成金のご案内
厚生労働省 65歳超雇用推進助成金
e-GOV 昭和四十六年法律第六十八号 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) ホームページ
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
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