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女性の非正規雇用比率は29歳以降増える傾向に。少子化対策改善ポイントの一つとなるか?

ファイナンシャルフィールド / 2023年5月9日 23時0分

女性の非正規雇用比率は29歳以降増える傾向に。少子化対策改善ポイントの一つとなるか?

2023年3月31日、政府が掲げる「異次元の少子化対策」のたたき台が正式に発表されました。その前段として、2023年1月から「こども政策の強化に関する関係府省庁会議」を開催し、まとめられたものが「こども・子育て政策の強化について(試案)」で、これを次元の異なる少子化対策のたたき台と位置づけています。   今後の流れとしては、2023年6月に取りまとめられる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に向けて、詳細な内容が検討されていくようです。   これまでの記事でも、「こども政策の強化に関する関係府省庁会議」で用いられている資料を基に、少子化の原因を国がどのように捉えているか数回にわたって考察してきましたが、今回は「女性の年齢階級別正規雇用比率(L字カーブ)」というデータについて見ていきたいと思います。

女性は25歳から29歳をピークに正規雇用比率が低下する傾向がある


 
今回取り上げるのは、いわゆる「L字カーブ」とよばれる女性の年齢階級別正規雇用比率です。
 
図表1は2021年時点のデータですが、青のグラフは女性の15歳以上人口に占める就業者の割合である「就業率」、赤のグラフは正規の職員・従業員の割合である「正規雇用比率」を示しています。
 
【図表1】

 
出典:内閣官房こども家庭庁設立準備室 「こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識」
 
女性の場合は「25~29歳」の年齢階級で就業率が83.6%、正規雇用比率が58.7%と、それぞれピークとなっていることが分かります。その後、就業率は30歳代から50歳代までは多少上下するものの、ほぼ横ばいで推移しているのに対し、正規雇用比率は「25~29歳」をピークに低下し続けています。
 
このグラフから読み取れることは、25歳から29歳の間で正規雇用として働く女性の数が頭打ちとなり、以降は退職のほか、就業の継続、もしくは復職や新たに就業した場合でも非正規での雇用が増えるということでしょう。 
 

女性の働き方から少子化対策を考えるためのデータ

このような傾向になるのは、おそらく結婚や出産、子育てなどをきっかけに働き方を変える女性が多いからと推測することができます。しかし、これらの理由で正規雇用から外れているのであれば、子育てがある程度は落ち着いたタイミングで正規雇用として職場復帰することで正規雇用比率は上がるはずですが、実際には正規雇用比率は低下し続けています。
 
つまり、何らかの理由や事情で正規雇用を選ぶことができない、もしくは選んでいない可能性があると考えることができます。
 
人それぞれで異なると思いますが、ライフステージやライフスタイル、経済面などから推測すると、子育てに時間を充てたい、正社員として職場復帰しなくても家計にはそれほど問題がない、仕事上のブランクから正規雇用となるのが難しい、親の介護をする必要があって職場復帰できないなど、さまざまな理由や事情が考えられるでしょう。
 
女性の働き方についてのデータは、女性が活躍する社会を実現することを目的にアベノミクス以降、頻繁に用いられてきましたが、「こども政策の強化に関する関係府省庁会議」においても参考資料となっていることを考えると、女性が働きやすい社会を目指しながら、出生率を引き上げていこうとする国の政策意図があるように思います。
 
女性が働きながら、育児もしやすく、出生率が上がっていく世の中を実現するにはどうすべきか、そうした方向性でも国は少子化対策について考えていこうとしているのかもしれません。
 

まとめ

仮に少子化対策を女性の働き方などから捉えるとするならば、一見、主語は女性であると感じるかもしれませんが、主語を女性のみで考えても成果が上がる少子化対策にはなり得ないでしょう。女性が働きながら、育児もしやすく、出生率を上げていく社会を目指すわけですから、裏を返すと男性にとっても同じ社会にしていったほうがいいはずです。
 
つまり、女性も男性も共に働き、育児も協力して行い、結果として出生率が上がっていく世の中にするにはどうすべきか、今回参照した「女性の年齢階級別正規雇用比率(L字カーブ)」は、そうした政策意図を裏付けるためのデータとして用いられているのかもしれません。
 
また、働き方についてのデータは、ライフプランを考えるうえでも非常に重要です。特に、時代の流れのなかで夫婦がどのような家族観や労働観をもつ必要があるか、長期的な視座に立って考えるためのヒントになるでしょう。
 

出典

内閣官房こども家庭庁設立準備室 こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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