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35年間で育休利用女性が37%アップ! ライフプランを立てると国の政策がみえてくる?

ファイナンシャルフィールド / 2023年5月10日 2時0分

35年間で育休利用女性が37%アップ! ライフプランを立てると国の政策がみえてくる?

国の少子化対策では、さまざまなデータが参考資料として用いられています。   前回に引き続き、2023年1月以降に開催されていた「こども政策の強化に関する関係府省庁会議」の資料から、出産後の女性の就業状況に注目して少子化対策について考えていきたいと思います。

第1子出産後、女性の半数超が仕事を続ける傾向がある

図表1のグラフは「第1子出生前後の女性の就業変化」を表したものですが、1985~2019年までの推移が示されています。
 
【図表1】


 
出典:内閣官房こども家庭庁設立準備室 「こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識」
 
グラフのピンクの部分が「就業継続(育休利用)」、オレンジが「就業継続(育休なし)」、黄色が「出産退職」、紫色が「妊娠前から無職」、グレーが「その他・不詳」となっています。
 
1985~1989年では「出産退職」が最も多く、次に多いのが「妊娠前から無職」、続いて「就業継続(育休なし)」「就業継続(育休利用)」「その他・不詳」という順で構成比率が少なくなっているのが分かります。一方、2015~2019年では最も多いのが「就業継続(育休利用)」で、次に「出産退職」「妊娠前から無職」「就業継続(育休なし)」「その他・不詳」という順になっています。
 
1985~1989年と、2015~2019年のデータを比較すると、顕著に違いが見られるのは、「就業継続(育休利用)」と「出産退職」、「妊娠前から無職」の割合です。1985~1989年は「就業継続(育休利用)」が5.5%だったのに対し、2015~2019年では42.6%に上がっています。また、「出産退職」は37.4%から23.6%に、「妊娠前から無職」は35.3%から17.4%に減少しています。
 
出産前に就業していた女性の割合が61.3%から77.4%に上がっていることを踏まえても、いかに出産後、仕事を続ける女性が増えているのかが分かるかと思います。
 
2015年から2019年では、出産後に仕事を継続する女性の割合は、「就業継続(育休利用)」と「就業継続(育休なし)」を合わせると53.8%で半数を超えています。少子化対策を考える場合、この半数超の女性に向けた政策を打ち出すことが大きな課題であると国は考えているのでしょう。
 

出産後も就業する女性に向けてどのような対策が効果的か?

少子化対策については、ライフステージごとに区切って、どの段階でどのような対策が必要かを考えるとイメージしやすくなります。例えば、独身期では結婚に対する支援をいかにすべきかになるでしょうし、新婚期においては妊娠や産前・産後、そして子育て期で対策をどのように組み立てるかが課題になります。
 
前述の「第1子出生前後の女性の就業変化」で見られたのは、出産後、仕事を続ける女性が増えているという傾向でした。そのため、就業の継続を選択する女性に向けて、社会の仕組みや働き方、家族・地域社会の協力、医療制度や保育園・幼稚園といった福祉環境の整備など、多方面でどのような取り組みや改善が必要かを考えていくことになります。
 
例えば、妊娠中の女性が働きやすい就労環境を会社としてどう整えていけばいいか、出産前後で夫が育児休業を取得しやすくするためにはどうすればいいのか、子どもを保育施設などに預ける場合の基準の要件、子どもが生まれたことで手狭になる住居に対して住宅の取得・賃貸でのサポートなど、さまざまな観点から政策を検討していく必要があるでしょう。
 

まとめ


 
少子化対策を巡る報道を見るかぎり、「児童手当を増やしてほしい」「子どもの教育費はすべて国が負担してほしい」「保育園に入りやすくしてほしい」といった、子育て支援の強化を望む意見について、捉え方によっては現状に対する不満のようにも聞こえます。
 
それだけ、少子化対策では個々の家庭に合ったアプローチが必要なことを示しているわけですが、データを基にしてライフステージごとに考えを組み立てていくと、ある程度は頭の中が整理しやすくなるのではないでしょうか。
 
ライフプランを立てる場合、まず自分で調べ、考えることで、自身の家庭にとって足りている国の政策と、不足している政策が見えてきます。足りない分をどうするか夫婦で話し合うことも、特に子育てを前提としたライフプランを立てるうえでは重要といえます。
 
少子化対策は、10年、20年、30年といった非常に長いスパンで考えるスケールの大きい課題です。十分な成果が伴わない場合、政策が打ち切られることも可能性としては見ておく必要はあります。国や自治体、社会全体で取り組むのはもちろん大切ですが、自身の問題として考えることにも力点を置き、子育てについては家庭ごとに対策を講じていくようにしましょう。
 

出典

内閣官房こども家庭庁設立準備室 こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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