親の病院付き添いが仕事で頻繁に行けない…介護保険が利用できる付き添いサービスは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月10日 1時0分
定期的な通院が必要な高齢の親に毎回家族が付き添うとなると、頻繁に仕事の調整が必要となるなど負担が大きくなります。また、遠方に住んでいる人などは、現実的には難しいという人も多いでしょう。このような場合に、介護保険適用で利用できる付き添いサービスがあります。 本記事では、介護保険で病院付き添いが利用できる条件や適用範囲、料金、利用時の注意点などの情報をまとめました。自身や家族は利用できるかどうか、チェックしてみましょう。
病院付き添いで介護保険が使える条件や利用料金
介護保険サービスにおける「病院付き添い(通院介助・通院等乗降介助)」とは、一人での通院が困難な人をサポートするサービスです。自宅から通院先へ移動する際の乗降の介助のほか、乗車後や通院先での移動介助、受診手続き、薬の受け渡しの介助などが含まれます。
以下で、介護保険で病院付き添いを利用できる条件や料金について、詳しく見てみましょう。
対象者
病院付き添いは、高齢者であれば誰でも介護保険で利用できるわけではありません。介護保険で病院付き添いを利用できるのは、次に該当するケースです。
●介護認定が要介護1~5である
●ケアマネージャーが必要であると考えてケアプランに組み込んでいる
介護認定を受けていない人、受けていても介護度が要支援1、2に該当する人は介護保険適用外となるため注意しましょう。
移動の範囲
介護保険による病院付き添いが可能なのは、自宅を起点とする場合のみです。自宅からの出発であれば、2軒以上通院する場合の病院間の移動にも、介護保険が適用できます(※同一の介護事業所が介助を行う場合に限ります)。
また、デイサービスなどの通所系サービス・短期入所系サービス事業所の利用後に通院し自宅に帰宅する場合の病院付き添いも、介護保険の対象です。ただしいずれの場合も、「ついでだから」と移動の途中で買い物や銀行などに寄り道をすると、介護保険の適用外となります。
利用料金
徒歩や車いすで移動する場合の介護保険による病院付き添いの料金は、居宅介護サービス費の「通院等介助」として単位数×地域ごとの単価(10円が基本)で算定されます。通院等介助の介護報酬の単位は、図表1のとおりです(令和4年10月見直し時)。
【図表1】
所要時間 | 通院等介助(身体介護をともなう場合) | 通院等介助(身体介護をともなわない場合) |
---|---|---|
30分未満 | 255単位 | 105単位 |
30分以上1時間未満 | 402単位 | 196単位 |
1時間以上1時間30分未満 | 584単位 | 274単位 |
1時間30分以上2時間未満 | 666単位 | 1時間半以上は343単位+30分ごとに69単位 |
2時間以上2時間30分未満 | 750単位 | - |
2時間30分以上3時間未満 | 833単位 | - |
3時間以上 | 916単位+30分ごとに83単位 | - |
厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」より筆者作成
例えば、30分未満の身体介護をともなわない通院付き添いの場合、単価を10円とすると1050円の介護報酬が発生します。このうち自己負担割合に応じて1〜3割を利用者が負担します。このほかに、ヘルパーさんの交通費も利用者が負担するのが一般的です。
介護タクシーを利用する場合は、居宅介護サービス費の通院等乗降介助(101単位)が適用されます。単価を10円とすると1回あたり1010円の介護報酬が発生し、そのうち約100〜300円を利用者が負担する計算です。加えて、移動距離に応じたタクシーの運賃が発生します。
病院付き添いで介護保険を適用するときの注意点
病院付き添いで介護保険を利用するときは、次の点に注意が必要です。
●病院内での介助は基本的には含まれない
●自宅外からの通院は対象外
●通院以外の目的地には立ち寄れない
病院内で医療機関側が行う介助には、医療保険が適用されます。病院内でヘルパーさんが行うトイレや移動の介助は介護保険の範囲ですが、待合室で待っている時間などは介護保険の適用外です。ただし、人手などの問題により病院側で介助ができない場合は、病院内の介助も介護保険が適用できることもあります。
また、通院の起点は、必ず自宅である必要があることにも注意しましょう。別に暮らしている家族の家からの通院や、ヘルパーさんと外出先で待ち合わせて病院に向かう場合などは介護保険が適用されません。さらに、通院中に寄り道をすると介護保険が適用されなくなる点も、頭に入れておく必要があります。
必要に応じて自費サービスと使い分けよう
介護保険で病院付き添いが利用できるのは、通院介助や通院等乗降介助がケアプランに含まれている要介護1〜5に該当する人です。また、介護保険を適用するには、自宅からの出発であること、通院以外の寄り道をしないことなどのルールを守る必要があります。
家族宅から通院したい、ついでに買い物したいなど、ルールの範囲内での利用に不便を感じる場合は自費サービスを利用するなど、状況に応じてサービスを使い分けるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 各介護サービスについて
厚生労働省 障害福祉サービス費等の報酬算定構造
厚生労働省 令和3年度介護報酬改定における改定事項について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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