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専業主婦がパートタイムで働くときのさまざまな壁<その5>~税金の壁 150万円の壁

ファイナンシャルフィールド / 2023年5月13日 23時0分

専業主婦がパートタイムで働くときのさまざまな壁<その5>~税金の壁 150万円の壁

「その4」では、専業主婦がパートタイムで働く場合の年収にかかる税金の壁として「103万円の壁」の意味を解説しました。「その5」では、「150万円の壁」について解説したいと思います。

「150万円の壁」とは?


 
前回「その4」で税金の壁には2つの意味があり、1つはパートタイムで働く主婦本人が支払う税金に影響を与えるもの、もう1つは扶養者である夫の税金について影響を与えるもので、両方の観点から見る必要があると説明しました。
 
「150万円の壁」は、パートタイム主婦本人の税金に関するものではなく、夫の税金に関するものです。
 
パートタイム主婦の年収が103万円を超えて150万円に達しても、その上昇分だけ本人が支払う所得税や住民税が増えるだけで、夫の税金には影響はありません。ところが、パートタイム主婦の年収が150万円を超えた時点から夫の税金に変化が生じ、それが「150万円の壁」といわれています。
 
「その4」でも説明しましたが、収入には税金がかかる部分とかからない部分があり、かかる部分を課税所得金額といい、かからない部分を経費または各種控除といいます。
収入と課税所得金額の関係は、以下のとおりとなります。
 

1. 収入:xxx万円
2.経費または各種控除:△xxx万円
3. 課税所得金額(1-2):xxx万円

 
パートタイム主婦の収入は、夫の税金の計算に関係する所得控除である配偶者控除および配偶者特別控除に影響を与えます。
 
夫の合計所得金額が900万円以下の場合、パートタイム主婦の年収が0~150万円までのときは、夫が受ける配偶者(特別)控除は38万円で変わりませんが、150万円を超えると36万円になります。その後、年収に応じて段階的に減っていき、201万4000円を超えるとゼロになります。
 
夫の税金を減らす働きがある配偶者(特別)控除は、パートタイム主婦の年収が150万円を超えた時点から徐々に減り、202万円になるとゼロとなって控除が受けられなくなります。すなわち、これは「150万円の壁」というよりは、「150万円からの坂」というべきものであることが分かります。
 
夫の年収が1095万円の場合を例に、パートタイム主婦の年収が夫の税額に与える影響を確認してみましょう。
 
夫の年収が同じでも、パートタイム主婦の年収が変わるだけで図表1のとおり、夫の税額が変わります。妻のパートの年収が150万円から202万円まで増えると、夫の税金が12万6000円も増えることになります。
 
図表1
 

パートタイム主婦の年収 150万円以下 175万円 202万円
夫の年収 1095万円 1095万円 1095万円
給与所得控除 △195万円 △195万円 △195万円
合計所得金額 900万円 900万円 900万円
配偶者(特別)控除 △38万円 △21万円 △0万円
基礎控除 △48万円 △48万円 △48万円
課税所得金額 814万円 831万円 852万円
所得税 123.6万円 127.5万円 132.4万円
住民税(均等割を除く) 81.4万円 83.1万円 85.2万円
夫の税金計 205万円 210.6万円 217.6万円
夫の税金計の比較 ベース +5.6万円 +12.6万円

 
※筆者作成
 

まとめ

税金の壁の影響を考える場合、パートタイム主婦本人が支払う税額と、夫の税額に与える影響の両方を考える必要があることが分かります。
 
次回「その6」では、税金の壁・社会保険の壁についてまとめてみたいと思います。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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