老後は賃貸だと「破産する」って本当? 老後の「平均収入・支出」をもとに検証
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月10日 10時20分
老後の生活資金について不安に感じている人も多いのではないでしょうか。特に、賃貸で生活している人の場合、持ち家の人よりも家賃の支払いで支出が多くなってしまうことが考えられます。収入よりも支出のほうが多くなり貯金がなくなってしまえば、最終的には破産してしまうこともあるかもしれません。 そこで今回は、平均的な金額として、老後の生活ではどの程度の収入が見込め、どの程度お金がかかるものなのか、詳しく解説します。
65歳以上の高齢者夫婦の平均収入額と平均支出額
令和元年に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループが発表した「高齢社会における資産形成・管理」によると、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢者夫婦の月あたり平均実収入額は20万9198円です。そのうち、年金などによる社会保障給付額は19万1880円になります。
もしも老後は働かないのだとすると、収入は年金などの社会保障給付のみになります。年金がいくら貰えるのかは人によって異なるので、自分はいくらもらえるのか、あらかじめ確認しておいたほうがよいでしょう。
ちなみに、日本年金機構によると、令和5年度の老齢基礎年金の満額は月額6万6250円、夫婦2人分の老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた標準的な年金額は月額22万4482円です。
一方、支出額はどのくらいでしょうか。先述した「高齢社会における資産形成・管理」によると、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢者夫婦の月あたりの実支出額は、26万3718円です。もちろん、この金額はあくまでも平均額です。
例えば、この報告書によると、食費や医療費、通信費などを除いた消費支出が毎月5万4026円となっています。毎月夫婦2人の趣味などに使う娯楽費を減らせば、支出額を抑えることができるでしょう。
持ち家か賃貸かで支出額は大きく異なる!
ただし、注意するべきポイントがあります、それは、先述した報告書の実支出額の内訳では、住居費が毎月1万3856円になっているということです。つまり、この報告書で示されている住居費は持ち家の世帯も対象となっているということです。
そのため、賃貸の世帯の場合、住居費をより多く計算する必要があるでしょう。例えば、東京都内で1LDK以上の家に住むのであれば、家賃が10万円以上になることは珍しいことではありません。仮に家賃が10万円だとするならば、夫婦2人での毎月の支出額は30万円以上になる可能性もあります。
足りない場合はどうすればいいの?
金融審議会市場ワーキング・グループが発表した「高齢社会における資産形成・管理」では、高齢者夫婦の家計は毎月5万円程度の赤字となるため、あらかじめ2000万円ほどの貯金をしておく必要がある、という結果になっていました。
このことは「老後2000万円問題」として大きな話題となったので、ご存じの人も多いでしょう。とても2000万円も貯金できない、という人は、老後も何らかの仕事をすることで足りない分を補う必要があります。継続雇用(再雇用)制度やシルバー人材センター、国や自治体による就労支援サービスなどを利用することも考えましょう。
まだ老後までに時間の余裕があるという人は、あらかじめいくつかの対策を取ることができます。例えば、iDeCoなどの確定拠出年金を活用するのもひとつの方法です。確定拠出年金は、自分が決めた掛け金を積み立てながら運用することにより、老後に老齢基礎年金や老齢厚生年金の上乗せ分を受け取れる、というものです。
また、自営業者やフリーランスの人は国民年金の付加年金を活用しましょう。国民年金の付加年金は第1号被保険者と任意加入被保険者のみが利用できる制度です。毎月の年金保険料に400円上乗せすることで受け取れる老齢基礎年金学額がアップします。
あらかじめ収入額と支出額を計算しておこう!
老後の資金計画を立てる際に大切なのは、老後の自身の収入額と支出額を想定しておくことです。そうすることによって、不足分が生じた際に何らかの対策を取ることができます。
特に、「受け取れる年金が少ないので将来は破産するかも」と心配な人や、「賃貸なので毎月それなりの支出がどうしても発生する」という人は、しっかりとした資金計画を立てておくことが大切です。
出典
金融庁 高齢社会における資産形成・管理
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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