2023年10月から「インボイス制度」が開始!「会社員だし関係ない」と思っていても、よく行く店が値上げや廃業のピンチに?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月12日 10時40分
2023年10月からインボイス制度が開始されます。インボイス制度が始まるということは耳にしたことがあっても、「会社員だから関係ない」「そもそもどのような制度なのか知らない」という人も多いのではないでしょうか? 確かに、多くの会社員はインボイス制度が始まるからといって、特別な手続きをする必要はないでしょう。しかし、いつも利用している飲食店などが値上げとなったり、経営悪化で閉業してしまったりといった影響が自身に及ぶ可能性もあります。 本記事では、インボイス制度の概要を説明した上で、会社員や消費者にどのような影響が起こりうるのか解説します。
インボイス制度とは
インボイス制度とは、国が消費税の納税額を正しく計算するために導入する新制度です。インボイス制度の下では、事業者間の取引では、税率や税額を正確に記載したインボイス(適格請求書)と呼ばれる書類が使用されます。
消費税納税の仕組みとは
そもそも、消費税は製造や販売など、それぞれの取引が進む中で、二重・三重にかからない仕組みです。具体的に見ていきましょう。
消費者が商品をA店から6600円で購入した場合、そのうち600円は消費税です。そして、A店がB店からその商品を4400円で仕入れた場合、そのうち400円は消費税です。もし、A店とB店がともに消費税分を納税したとすると、最終的に消費された6600円に対し、消費税が1000円となり、二重徴収となってしまいます。
そこで、仕入れ税額控除という仕組みが取られています。今回の例でいうと、A店は消費者から受け取った消費税600円の内、B店に支払った400円を除き、200円を納税する仕組みです。そうすることで、A店が200円、B店が400円納税し、消費税は消費者が購入時に支払った分(600円)が納税されます。
仕入れ税額控除をするにはインボイスが必要となる
インボイス制度開始後は、インボイスがなければ仕入れ税額控除ができなくなります。そして、インボイスを発行するには「適格請求書発行事業者」として登録申請を行う必要があり、「適格請求書発行事業者」になれるのは課税事業者のみです。
現状免税事業者でも、インボイス制度が始まると、取引先からインボイスの発行を依頼されるかもしれません。そうなると、取引を続けるためには課税事業者となるしかなくなってしまいます。
インボイス制度開始後に起こりうる影響
会社員などが消費者として店舗を訪れ、飲食したり商品を購入したりする際には、今までと変わることはありません。
しかし、事業者からすると、免税事業者から課税事業者となり、納税の負担が増加、もしくは免税事業者のままでいると、取引先から取引中止が勧告される可能性があります。
また、例えば飲食店の中にはコロナ禍で店舗での飲食以外に、他の飲食店へ品物を卸し、売り上げを守ってきたような場合もあります。飲食店で一般客が飲食をする際にインボイスを発行する必要はありませんが、品物を卸してきた飲食店からは事業者間の取引として、インボイスの発行を求められるかもしれません。
インボイスの発行により業務量が増加し、その増加分を価格に上乗せさせる必要が出て、課税事業者となることで利益が圧迫されて経営が困難となる可能性もあります。飲食店以外でも、もちろん価格の値上げや、最悪廃業という形で消費者にも影響が出てくる場合もあるでしょう。
また、インボイスを受領する側からしても、書面の授受や手続きの増加という形で対応しなければなりません。このように、インボイス制度開始の影響を免税事業者はもちろん、課税事業者や取引先、消費者など幅広い人が受けると言えます。
まとめ
インボイス制度が始まると、免税事業者の納税に関する負担や多くの事業者の管理負荷が増えることが考えられます。また、事業者の業務内容変更は価格へ上乗せなどの形で消費者にも影響を与えるかもしれません。
人ごとと思わず、制度の仕組みや今後の運用に注目しておきましょう。
出典
国税庁 特集 インボイス制度
国税庁 インボイス制度の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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