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借金癖のある父親がいます。「絶縁」していれば子の自分には関係ありませんよね…?

ファイナンシャルフィールド / 2023年5月16日 10時20分

借金癖のある父親がいます。「絶縁」していれば子の自分には関係ありませんよね…?

「相続で○○○万円入ってきた」などと聞くとうらやましいと感じるかもしれません。しかし、「相続で○○○万円の借金を背負わされた」というケースも起こり得ることを知っていますか?   特に、親に借金がある場合には要注意です。何もしなければ、子が借金を相続することになる可能性があるからです。   本記事では、親に借金がある場合の注意点について解説します。事前に対策方法を知っておき、いざという時に適切な対処ができるようにしておきましょう。

借金は相続財産

民法896条には、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」と定められています。つまり、「権利」だけではなく「義務」も相続しなければなりません。
 
「相続財産」と聞くと、預金や不動産などプラスのイメージになるかと思いますが、実は借金などの負債も相続財産になるということです。
 
被相続人の借金は相続人の借金となり、返済を続けていかなければなりません。
 
なお、民法896条のただし書きに「ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」とありますが、これは養育費の支払い義務などが該当します。被相続人が勝手に作った借金であれば該当しそうな気がしますが違います。注意しましょう。
 

絶縁した子でも相続人

親子の縁は切ることができません。一度も会ったことがない場合や、絶縁状などによって縁を切ることを通告していた場合であっても、親の相続が起きれば子は相続人になります。
 
もしも父親が借金を残して死亡した場合には、相続人の誰かが借金を相続しなければならないのです。相続人が子1人であった場合には、その子が相続します。子からすればたまったものではありません。
 
ちなみに、母親は離婚によって縁を切ることが可能です。離婚後に父親が死亡した場合であっても、相続人にはなりません。
 

借金の相続問題は相続放棄で解決

親に借金があったとしても、それを上回る財産があれば良いのですが、借金の方が多ければ大問題です。子であるからというだけで親の借金を背負わされた子の人生はどうなるでしょうか。
 
そこで国には「相続放棄」という制度が設けられています。その名称とおり、相続を放棄できる制度で、相続放棄をした子は相続人ではなくなり、親の相続の一切から手を引くことができます。
 

相続放棄のやり方

相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ必要書類を提出することで行うことができます。裁判所へ支払う費用は収入印紙800円となっており、大きな出費はありませんので安心してください。
 
弁護士や司法書士などへ代行を依頼した場合には、当然ながら別途で報酬が発生します。難しい手続きではないため、費用が心配な人は自身で行うことをおすすめします。
 

死亡を知った日から3ヶ月以内に手続きが必要

相続放棄は、「死亡を知った日から3ヶ月以内」に行わなければなりません。それを過ぎてしまうと、借金を相続しなければならなくなります。
 
ただ、相続放棄をするということさえ頭に入れておけば、親の死亡を死亡日から1年後に知った場合であっても相続放棄は可能ということです。「死亡日から」と勘違いし諦めてしまわないように注意しましょう。
 
なお、「死亡を知った日」が死亡日以外である場合には、その事実を裁判所に証明する必要があります。
 
絶縁するほどの父親であれば、死亡日に死亡を知ることはほとんどないと考えられることから、きっかけとしては借金の債権者からハガキが届いたなどではないでしょうか。この場合には、そのハガキが証拠資料になります。
 

まとめ

被相続人が残した借金は、基本的に相続人が相続しなければなりません。相続人が子1人のみである場合には、その子が借金を相続することになります。
 
絶縁状態であることは相続に関係しないため注意しましょう。親の借金相続は、「相続放棄」によって解決できる問題です。期日だけは絶対に忘れないようにしてください。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
裁判所 相続の放棄の申述
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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