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「大学無償化」を利用できるのは年収いくらの人? 奨学金との違いについても解説

ファイナンシャルフィールド / 2023年5月18日 2時20分

「大学無償化」を利用できるのは年収いくらの人? 奨学金との違いについても解説

4年制大学でかかる学費は、国公立で約500万円、私立大学であれば1000万円を超えるといわれています。私立の医科歯科薬科系大学の場合、さらに学費が増えていきます。大学になるとはね上がる学費の支払いについて不安になる人も多いのではないでしょうか。   そのような場合、「大学無償化制度」を利用できる場合があります。本記事では、支援が受けられる条件や対象となる大学、奨学金との違いについて紹介します。

大学無償化制度とは?

大学無償化制度とは、「高等教育の修学支援新制度」の通称となります。対象となるのは大学、短期大学、高等専門学校(4年・5年)、専門学校です。
 
お金の心配をせずに学びたい学生のために、2020年4月からスタートしたこの制度は、条件に合った学生が申請し認定を受けることで、授業料と入学金の免除・減額と返済不要の給付型奨学金の支給を受けられます。
 
前年度に申し込むことができなかった学生や認定を受けられなかった学生でも、新年度になると再度申請することができます。特に、以下に当てはまる人は認定されることがありますので、気になる人は一度確認してみましょう。

・無利子・有利子の貸与型奨学金を借りている
・奨学金や授業料などの減額や免除を受けていなかった

 

大学無償化制度が利用できる条件

高等教育の修学支援新制度は、学生を支援するための制度ですが、すべての人がこれを利用できるわけではありません。認定を受けるには一定の条件があります。それぞれの条件について、詳しく解説していきます。
 

住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生であること

まずは、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生であることが条件です。住民税が非課税となっているかどうかは、各地方自治体の市区町村の役場で確認できます。
 
住民税非課税世帯とは、以下に当てはまる世帯です。

・生活保護法による生活扶助を受けている
・障がい者、未成年、ひとり親、寡婦(夫)などで前年の合計所得が135万円以下
・前年の合計所得が市区町村の条例で定める金額以下

どの自治体でも大きく異なる点はないと思いますが、自身の住民票がある自治体で確認しておくと確実です。
 
住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の目安は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

支援対象者 年収の目安
(両親・本人(18歳)・中学生の家族4人世帯の場合)
年収の目安
(両親・本人(19~22歳)・高校生の家族4人世帯の場合)
支援額
住民税非課税世帯の学生 270万円以下 300万円以下 満額
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生 300万円以下 400万円以下 満額の3分の2
380万円以下 460万円以下 満額の3分の1

文部科学省 高校生の皆さんへ 高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)を基に作成
 
また、学生本人と生計維持者が保有する資産額(現金、現金に準ずるもの、預貯金、有価証券)の合計が、生計維持者の人数に応じて2000万円、または1250万円未満であることも要件となっています。

・生計維持者が2人の場合・・・2000万円
・生計維持者が1人の場合・・・1250万円

 

学ぶ意欲がある学生であること

学ぶ意欲がある学生であることというと、抽象的な印象を受けますが、実際は成績等によって判断されます(図表2)。
 
【図表2】

予約採用 在学採用
高校3年生 大学1年生 大学2~4年生
高校2年(申込時)までの評定平均値が、

・3.5以上・・・進路指導等において学習意欲を見る
・3.5未満・・・レポートまたは面談により学習意欲を確認する

次の(1)~(4)のいずれかに該当すること

(1)高校の評定平均値が3.5以上であること

(2)入学試験の成績が入学者の上位1/2以上であること

(3)高卒認定試験の合格者であること

(4)学修計画書の提出を求め、学修の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること

次の(1)か(2)のいずれかに該当すること

(1)在学する大学等における学業成績について、GPA(平均成績)等が上位1/2以上であること

(2)次のいずれにも該当すること
a.修得単位数が標準単位数以上であること
b.学修計画書の提出を求め、学修の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること

文部科学省 支援措置の対象となる学生等の認定要件についてを基に作成
 
なお、大学入学後の成績不振や出席率が悪いと、支援金の打ち切りや返還を求められることもあります。
 

対象となる学校

一定の要件を満たすことが確認された学校が対象となります。現在対象となっている学校は以下のとおりです。

・大学・短期大学:97.8%
・高等専門学校:100%
・専門学校:77.2%

大学、短期大学は、ほとんどの学校が対象になっていますし、高等専門学校に関しては、すべての学校が対象となります。専門学校は、まだ20%ほど確認されていないので、進学するときは対象となっているか確認しておく必要がありそうです。
 

奨学金との違い

一般的にいう奨学金と大学無償化制度の大きな違いは返還義務の有無でしょう。
 
奨学金とは、在学中は返還を猶予される、いわば借金です。奨学金にはいくつか種類があります(図表3)。
 
【図表3】

(1)公的機関の奨学金
(2)民間の奨学金
貸与型 有利子
無利子
給付型

独立行政法人日本学生支援機構  奨学金制度の種類と概要を基に作成
 
無利子の奨学金の貸与を受けるには家庭の収入上限や成績などに明確な基準があり、金額も固定のものが多いです。多くの人が選択する有利子の奨学金は、月額が選択でき在学中は利子が付きませんが、卒業後の返還義務が生じます。
 
大学無償化制度の支給金は返還義務はなく、加えて給付型奨学金の支援もありますので、必然的に受け取ることができる金額が大きくなります。
 

まとめ

大学無償化制度はほぼすべての大学等が対象となっているため、学科選択などで選択肢が少なくなるようなこともなさそうです。進学後も学費のために働いて学業に専念できないという人も、要件を満たしていれば認定を受けることができます。
 
この記事を参考に、要件に該当するようであれば申請しましょう。
 

出典

日本政策金融公庫 子供1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少~令和3年度 教育費負担の実態調査結果~
文部科学省 お金の心配なく学び続けたい学生のみなさんへ 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 支援措置の対象となる学生等の認定要件について
文部科学省 高校生の皆さんへ 高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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