23年度改正でメリット増! 生前贈与の「相続時精算課税制度」、注意点は?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月18日 23時0分
相続時精算課税制度は、次世代への早期の資産移転、およびその有効活用を通じた経済社会の活性化を目的とした、贈与税の制度です。多額の贈与がある場合に使いやすい制度ですが、毎年申告が必要、相続税が高くなる、といった問題点もあります。 2023年度の税制改正で大きく変化する、相続時精算課税制度の変更点と注意点について解説します。
2023年以降の相続時精算課税制度
相続時精算課税は、2500万円までの贈与に関して贈与税が非課税となり、贈与された財産に関しては相続時に精算される制度です。
2023年度の税制改正によって、年間110万円までの非課税枠の追加、被災した場合は相続時に再評価する、といった内容に変更されます。相続時精算課税制度の変更点について解説します。
相続時精算課税の概要
相続時精算課税制度は、父母や祖父母から18歳以上の子や孫に対する贈与において利用できる制度です。2500万円の特別控除額があるため、同一の父母または祖父母から上限2500万円までの贈与に関しては、贈与税が課税されません。
その後、相続時にその贈与財産とその他の相続財産を合計した価額を基に計算した相続税額から、すでに支払った贈与税額を精算します。
贈与を受ける際には、相続時精算課税制度と暦年課税制度を併用できないため、どちらを利用するか選択しなければいけない点には注意しましょう。
年間110万円の贈与まで非課税
2023年度の税制改正以降の相続時精算課税制度においては、年間110万円までの非課税枠が設けられます。
これまでの相続時精算課税制度では、毎年贈与額を申告する必要がありました。仮に1年間贈与がなかった場合でも申告が必要なため、申告の手間が面倒だ、という意見もありました。
税制改正以降は、年間110万円まで非課税なので申告も不要です。これまで以上に相続時精算課税制度を使いやすくなるでしょう。
相続財産が被災した場合は再評価
2023年の税制改正により、万が一贈与財産が被災した場合、相続時に資産価値を再評価するようになります。
これまでの相続時精算課税制度では、贈与があった時点での資産価値で相続税を決定していました。そのため、万が一贈与後に被災して財産価値が落ちたとしても、贈与した当時の資産価値で評価され、実際の資産価値よりも高い相続税が課される可能性もありました。
2023年以降、万が一贈与財産が被災した場合には、相続時に再評価されるので、実際の資産価値よりも高い相続税を納めなければいけない可能性が低くなるでしょう。
相続時精算課税制度のメリットと注意点
相続時精算課税制度には、贈与税の非課税金額が大きい、亡くなったときの相続トラブルを回避できる、といったメリットがあります。
一方で、贈与した資産に関しては相続時に精算される、暦年課税と併用できない、といった点には注意しましょう。
相続時精算課税制度のメリット
相続時精算課税制度には、以下の3つのメリットがあります。
2500万円まで贈与税が非課税
相続トラブルを防ぐ
贈与後に値上がりした場合は節税になる
一度に110万円以上の贈与をする際には、2500万円まで非課税で受け取れる相続時精算課税制度を利用することで、贈与税を節税できます。
また、相続前に財産を贈与しておくことで、亡くなった後の相続トラブルも防げるでしょう。
仮に贈与後に資産価値が上昇した場合、贈与時の資産価値で計算してくれるので、相続税を安く抑えることもできます。
相続時精算課税の注意点
相続時精算課税制度は、贈与税に対して2500万円の控除枠が使える制度です。後で相続税が必要となる点には注意しておきましょう。ただし、2023年の税制改正以降、110万円以下は非課税となります。
贈与額が2500万円の枠を超えた場合は一律20%の税率がかかります。また、年間110万円以下なら非課税ですが、年間110万円を超えると毎年申告が必要です。年間贈与額110万円を超えた際や、贈与額2500万円を超えた際のルールも覚えておきましょう。
まとめ
2023年度の税制改正によって、相続時精算課税制度の使い勝手がよくなります。年間110万円以下の贈与は非課税となるため、申告が必要ありません。また、贈与後に財産が被災した場合には、相続財産が再評価されます。
相続時精算課税をより使いやすく改正される一方で、相続税を支払う必要がある、一度相続時精算課税制度を選ぶと暦年課税制度は選べない、といった点はこれまでと変わりません。相続時精算課税制度を利用すべきかどうかは、慎重に判断しましょう。
出典
財務省 令和5年度税制改正(案)のポイント
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4103 相続時精算課税の選択
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
毎年「110万円までなら非課税だから」と贈与してくれる父。しかし2024年からの「変更点」を見落とすと損な結果に!? 注意点を解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月22日 5時0分
-
息子に結婚資金として「200万円」ほど援助したいです。100万円以上だと「税金」がかかると聞きましたが、どうにか節税できないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月17日 4時20分
-
42歳で独身、親が心配し「年100万円」近く振り込んでくれます。親も70代なので「いらない」と言っても「相続税の対策になるから」と言われます。贈与税も払っていないのですが、大丈夫なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月14日 3時0分
-
母から「もう使わないから」と、エルメスの“バーキン”をもらいました。数百万円するようですが、そのままもらって大丈夫ですか? 税金は発生するのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月9日 4時40分
-
娘の結婚祝いに、娘の口座に貯めていた「300万円」を渡したいです。お祝いなら“非課税”で渡せるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月8日 2時30分
ランキング
-
1男女9000人超が答えた「好きな四字熟語」ランキング発表! 3位「明鏡止水」2位「初志貫徹」…圧倒的1位は?
オトナンサー / 2024年11月26日 21時10分
-
2ダイソーで販売「グミ」に回収命令……「深くお詫び」 使用不認可の着色料を使用、5万7000袋を回収
ねとらぼ / 2024年11月26日 18時1分
-
3「運転する夫に『間違えてばっかり!』と怒鳴ったら、路肩に急停止。怖くて大ゲンカしましたが、私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!?「お前が運転しろ」「料理してる時に言われたらどうする」の声も
くるまのニュース / 2024年11月26日 12時10分
-
4ついに出た。新一万円札が「37万円」に大化け!財布の中に眠っているかもしれない“レア紙幣”の正体は
オールアバウト / 2024年11月26日 21時50分
-
5「知らなかった!」常温保存は「虫害」の恐れに経験者続出→開封後の七味は冷蔵庫に メーカー「スパイス全般共通です」
まいどなニュース / 2024年11月27日 7時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください