【社会人2年目】給料の手取りが1年目より低くなった!? その理由とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月24日 10時50分
社会人2年目に突入してふと気がつくと、1年目よりも手取り額が少なくなっていて驚いた人もいるでしょう。社会人2年目で手取りが減る原因は、住民税の徴収がスタートすることにあります。 本記事では、社会人2年目に給与から住民税が天引きされるようになる仕組みと、住民税額の計算方法を解説します。また、年収別の住民税額のシミュレーションも行っているため、ぜひ参考にしてください。
社会人2年目から住民税の天引きが始まる
社会人2年目の手取りが1年目より低くなる原因は、住民税の納税がスタートすることです。会社員の場合は、従業員の給与からそれぞれの税額を天引きして会社が代わりに納税する、「特別徴収」での納税が一般的です。
社会人1年目と2年目の給与の額面が同じ場合、住民税の金額分だけ、実際に受け取れる給与は少なくなります。
また、2年目の給与が1年目と比べて上がったとしても、給与の上げ幅よりも天引きされる住民税の金額が大きい場合には、手取りは減ります。以下で、住民税が給与から天引きされる仕組みをみてみましょう。
住民税は後払い方式
住民税は、後払い方式で支払う税金です。1月1日から12月31日までの所得を基に、その年の住民税の金額が算出され、翌年に分割して支払います。
社会人1年目に住民税が課税されないのは、前年の所得が住民税を課税される基準の金額(給与所得者の場合、年収100万円)を下回っている場合が多いためです。社会人2年目になると、社会人1年目の給与を基に住民税が算出され、特別徴収での納税がスタートします。
天引きが始まるのは6月の給与から
住民税の特別徴収がスタートするのは、6月分の給与からです。6月~翌年5月までの12ヶ月間に毎月の給与から住民税が徴収され、計12回の分割で前年分の住民税を納めます。
そのため、手取りが減るのは6月分の給与からであり、社会人2年目になったらすぐに手取りが減るわけではないことを覚えておきましょう。
社会人1年目と2年目で手取り額はどれくらい変わる?
住民税の天引きによって、社会人1年目と2年目の6月分以降の手取り額にはどのくらいの差が生じるのでしょうか? 以下で、住民税額の算定の仕組みを解説するとともに、年収別の住民税額をシミュレーションしてみましょう。
※ここでは、昇給や扶養家族の変化、社会保険料額の変化などによる給与額の変動は考慮に入れないものとします。
住民税の算定方法
住民税は所得額に応じて税額が決まる「所得割」と、原則一律で課税される「均等割」で構成されています。
所得割の金額は、課税所得金額に対して10%が基本です。収入が給与所得のみの人の場合、給与の額面から給与所得控除と各種所得控除(基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除など)を差し引いた金額が、課税所得金額となります。均等割は、原則として一律5000円です。
※上記は標準税率であり、特定の目的のもと税率を上乗せしている自治体や減税を実施している自治体もあります。
【年収別】住民税額をシミュレーション
2年目の給与から毎月引かれる住民税の金額は、具体的にいくらくらいになるのか、年収200万円、年収300万円、年収400万円のケースについて、おおよその税額をシミュレーションしてみましょう。
・東京都在住の20代
・基礎控除、社会保険料控除以外の所得控除の適用なし
■年収200万円の場合
住民税の年額は以下のように計算できます。
課税所得金額=年収200万円-給与所得控除68万円-(基礎控除43万円+社会保険料控除30万円)=59万円
住民税額=課税所得金額59万円×所得割率10%+住民税均等割額5000円=6万4000円
6万4000円を12ヶ月で割ると(100円未満の端数は6月分にまとめて徴収。以下も同じ)、毎月天引きされる住民税額は、6月分が5700円、7月分以降は5300円となります。
■年収300万円の場合
住民税の年額は以下のとおりです。
課税所得金額=年収300万円-給与所得控除98万円-(基礎控除43万円+社会保険料控除43万円)=116万円
住民税額=課税所得金額116万円×所得割率10%+住民税均等割額5000円=12万1000円
12万1000円を12ヶ月で割ると、毎月天引きされる住民税額は6月分が1万1000円、7月分以降は1万円となります。
■年収400万円の場合
住民税の年額は以下のとおりです。
課税所得金額=年収400万円-給与所得控除124万円-(基礎控除43万円+社会保険料控除60万円)=173万円
住民税額=課税所得金額173万円×所得割率10%+住民税均等割額5000円=17万8000円
17万8000円を12ヶ月で割ると、毎月天引きされる住民税額は6月分が1万5200円、7月分以降は1万4800円となります。
※いずれも令和5年度の基準で計算した概算値です。
住民税の負担を考慮して家計に余裕を持たせておこう
社会人2年目になると、年度の途中から住民税の天引きが始まり、その分、手取り給与が少なくなります。
社会人1年目に家計に余裕のない生活をしていると、2年目以降に手取りが減ったときに、やりくりが苦しくなる可能性があるため注意しましょう。社会人2年目の6月以降は住民税の負担が発生することを考慮して、家計には余裕を持たせておくことが大切です。
出典
総務省 個人住民税
全国健康保険協会
全国健康保険協会 令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)
厚生労働省 雇用保険料率について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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