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廃止になった「年少扶養控除」ってどんなもの?「児童手当」との違いも解説

ファイナンシャルフィールド / 2023年5月24日 2時30分

廃止になった「年少扶養控除」ってどんなもの?「児童手当」との違いも解説

少子化対策として、国はファミリー世帯向けにさまざまな施策を展開しています。一方、子育て支援に関連する制度で廃止されたものも存在します。年少扶養控除もその1つであり、廃止されたことに対して当時は世間で驚きや不満の声も多くあがりました。   そこで今回は、年少扶養控除について概要や廃止の理由を紹介します。児童手当との違いも解説するので確認しておきましょう。

そもそも年少扶養控除とは?

年少扶養控除は、子育て世代の税負担の軽減を目的とする制度でした。これを正しく知るには、まず扶養控除がどのようなものか把握しなければなりません。
 
扶養控除とは、納税者の所得金額から一定額を差し引けるという所得控除です。文字通り子どもや親などを扶養している場合に対象となります。
 
親族の生計を支えている人は、その分だけ納税に関して優遇されるというわけです。この親族に関しては、範囲や所得などの条件が厳密に設けられており、年少扶養控除の場合は年齢が16歳未満と定められていました。
 
つまり、0~15歳の親族を養っている納税者にのみ適用されます。具体的な控除額は所得税が38万円で住民税が33万円でした。所得金額からこれらを差し引き、最終的に求められた課税所得に税率を乗じて納税額が算出されました。
 

なぜ廃止されたのか?

2010年度の税制改正により、年少扶養控除は廃止が決定されました。所得税と住民税における廃止の時期は、それぞれ2011年度と2012年度です。その引き金になったのは民主党政権が打ち出した政策でした。
 
当時から子育て関連のサポートは重視されており、政策の目玉として政府が掲げていたのは「子ども手当」です。中学校修了までを期限として、その保護者らに支援金が給付されるものでした。この政策はファミリー世帯を中心に好評でしたが、2つの大きな問題を抱えていました。
 
1つ目は、税制面で優遇されながら子ども手当まで受給することに関して、不公平だと反対する人たちがいたことです。2つ目は子ども手当の財源の不足であり、両方を同時にクリアする手段として、年少扶養控除の廃止に至りました。
 

児童手当と異なる点は?

2012年4月から、子ども手当は「児童手当」という名称に変更されました。2023年における児童手当の月額は、子どもが3歳未満の場合は1人あたり1万5000円です。3歳以上かつ小学校修了までの場合は1万円で、第3子以降は1万5000円となっています。中学生の場合は一律で1万円であり、第3子以降も同額です。
 
年少扶養控除と児童手当は、経済面で子育てをサポートする制度である点に違いはありません。ただし、前者は税負担の軽減で後者は手当の給付であり、実現のスタンスが異なっています。
 
なお、年少扶養控除は高所得者であっても対象となる子どもがいれば課税所得が控除される制度でした。それに対して児童手当は、所得が高すぎる場合は給付が制限されるのです。
 

制度の背景や違いを把握しておこう!

年少扶養控除はファミリー世帯にとって魅力的な制度でした。税負担が減ることで子育てに回せるお金が増えるからです。それにもかかわらず、廃止されたのは世論や財政に関する理由があったからです。別の政策を実現するために、打ち切りを検討する必要がありました。前述のような具体的な事情を知っておくと、児童手当との違いも分かりやすくなるでしょう。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除

財務省 扶養控除の見直しについて(22年度改正)

厚生労働省 子ども手当について 一問一答

内閣府 児童手当制度のご案内

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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