「ジェネリック医薬品」が足りない! 家計への影響は? いつ解消される?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月24日 10時50分
ジェネリック医薬品の供給不足が続いています。2020年以降に相次いで発覚した医薬品メーカーによる「製造不正問題」が原因の供給不足は、2023年になっても解消されるどころか深刻さを増しているという声も上がっています。 医薬品の利用者の中には、今まで利用していた安価なジェネリック医薬品が品薄のため、仕方なく高価な薬を利用している人も少なくないでしょう。家計への影響も小さくないこの事態は一体いつまで続くのでしょうか。
ジェネリック医薬品の供給不足の原因である「製造不正問題」とは何か
2023年になってもジェネリック医薬品の供給不足に関する報道が続いています。この事態の原因となった当医薬品の「製造不正問題」とはなんだったのでしょうか。
・ジェネリック医薬品の「製造不正問題」とは
事の発端は2020年12月、ジェネリック医薬品の皮膚病薬を処方されていた患者から健康被害が報告されたことでした。
その後、皮膚病薬を製造・販売していたメーカーが国の承認にのっとった手順を守っていなかったという違反行為が発覚し、116日間の業務停止命令を受けることになります。同時期に最大手メーカーでも同様の違反行為が発覚して製造が停止。
その後も各地のメーカーで違反行為の発覚が相次ぐという事態に発展しました。2022年に日本製薬団体連合会が行った調査によると、調査対象薬の約3割が出荷停止または調整中となっています。
・「製造不正問題」が起きた背景
ジェネリック医薬品の「製造不正問題」の原因としては、2015年に政府が掲げた「2020年までにジェネリック医薬品の使用割合を80%に」という目標と、2016年の「薬価抑制策」が挙げられます。目標達成のためにメーカーは増産体制を敷いたものの、薬価の引き下げによって、人材や設備の確保などに必要なコストが削減されてしまったようです。
その結果、国の承認にのっとった手順が守られなくなり、品質に関する不正が常態化してしまったのではないかと考えられています。
ジェネリック医薬品の基礎知識
ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、新薬(先発医薬品)と同等の有効成分を同量含む厚生労働省認可の医薬品です。
医薬品には、ドラッグストアや薬局で購入できる「一般用医薬品」と、医療機関で医師から処方される「医療用医薬品」があります。ジェネリック医薬品は後者で、新薬の特許が切れた後に別の医薬品メーカーが法律や国の基準に基づいて製造・販売している医療用医薬品です。
ジェネリック医薬品は、医薬品メーカーによるさまざまな試験を経た上で、安全性や効能などが新薬と同等であると厚生労働省が認可した薬だけが出荷されています。2021年のジェネリック医薬品の使用割合(全国平均)は約79%(厚生労働省調べ)に上り、2021年の数量シェアは2013年の約2倍となっています。
家計への影響と先行きについて
薬によって異なりますが、ジェネリック医薬品は新薬よりも3~5割程度安価であるとされています。そのため、それまで処方されていたジェネリック医薬品が新薬に変更されていれば、家計への影響は決して小さくないでしょう。なお、この供給不足の解消時期については、早くても2024年末、場合によってはそれ以降になるというのが複数の専門家の見解です。
まだまだ先行きは不透明。1日も早い供給不足解消を期待しよう
2020年末に発覚したジェネリック医薬品の「製造不正問題」は安価な薬の供給不足をもたらし、その影響は2023年の春が過ぎても続いています。ジェネリック医薬品の供給不足は医療機関の混乱を招いているだけでなく、新薬と比べて安価なことから家計への影響も小さくありません。
各メーカーは増産体制に入りつつあるようですが、本格的な増産には工場の整備などに5年程度は必要とされています。まだまだ先行きは不透明ですが、なるべく早く供給不足が解消されることを期待しながら見守っていきましょう。
出典
日本製薬団体連合会 医薬品供給状況にかかる調査
厚生労働省 保険者別の後発医薬品の使用割合(令和3年9月診療分)を公表します
日本ジェネリック製薬協会JGA ジェネリック医薬品とは
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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